古川本舗

7年間の集大成、古川本舗ラストライブ「.RESPONSE.」レポート

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こんなにも有終の美という言葉が似合うライブに、僕は一生のうちどれだけ出会えるだろうか。
それほど、素晴らしく、そして暖かく、胸に響くライブだった。

開演の19時を少し過ぎ、観客達の緊張感も伝わる中、会場が暗転すると同時にこれから始まる奇跡に期待をする歓声と拍手に会場が包まれた。
そして、演奏隊が次々と登場する。古川氏は至って普通の様子でステージに現れた。その後のMCによると、最後とあって実は心中穏やかではなかったようだが。
きっと、誰もがこの瞬間から古川本舗が今日で終わるという事を意識していたと思う。

そして、ステージは始まった。
過剰なMCは挟まず、次々と楽曲を演奏してゆく。その楽曲達ひとつひとつが宝物のように思える。なんせ、生演奏で聴ける最後の瞬間なのだから。
僕は思う。なぜこれほどまでに素晴らしい楽曲達を生み出してきた古川本舗は終わってしまうのだろう。と。
そして、そんな事が頭を過ぎりながらライブを観ていると、どんどん時間は進んでいく。

最終的には、2回のアンコールを含め、全25曲約3時間にも及ぶライブだったが、本当に一瞬の出来事だった。
古川氏が最後の曲とアナウンスをした時には、「え!?もう終わりなの?早くない?」と思ったが、終わった後に時計を見たら3時間以上経っていた。
それほどまでに、熱くしなやかで音に集中させるライブだった。

古川氏は最近手に入れたというチェリーレッドのES-335を持っており、演奏隊もエレキベースやリードギター、キーボード、とアコースティック色の薄いバンドらしい演奏だった。
そのチェリーレッドのES-335を弾いていたら「めちゃくちゃ良い曲が出来た。曲を作るつもりではなかったが、良い曲が出来たから、それを聴かせに帰ってくるから。」とMCが入る。
なんとなく、会場の観客達に若干の安堵感が訪れたような気がした。「古川本舗は終わってしまう。でも、古川氏は音楽をまた届けてくれる。」そんな安堵感だ。
また、別のMCでは「古川本舗は今日で終わり、ですが、ですが、やるから、どうせ俺。」という発言もあり、古川氏の音楽の旅はまだまだ続いてくれるんだな。と思わされた。

本編最後の曲は、定番にもなっている「アン=サリヴァンの休日」だった。この時、会場の観客達がサプライズで綺麗な緑に光るサイリウムを取り出す。
会場が数え切れないほどの美しいサイリウムで包まれる中、キクチリョウタ氏の伸びやかな歌が響きわたる。そこに最後であるという湿っぽさは全く存在しなかった。ただ、ただ、幸福な空間。そんな風に感じた。

そして、「本当に7年間ありがとう。」という言葉を発し、メンバー達がステージを後にする。
当然のようにアンコールがかかり、再度メンバー達が現れる。またしても歓声に包まれる会場の中、1度目のアンコールの最後は代表曲のひとつでもある「girlfriend」だった。観客達も一緒に歌い、会場に一体感が生まれる。
僕は思う。本当にこれで最後なのか?こんな幸福感に包まれた最後があるのか?観客達が全力で楽しんでいるのが、物凄く伝わってくる。と。
そんな事を思っているとアンコールがあっという間に終わった。そして、更に続くアンコール。またバンドが出てくるかと思いきや、出てきたのは古川氏のみであった。

MCで古川氏は言う。「2曲弾き語るから。」と。そして演奏された曲は「スーパー・ノヴァ」とライブでは珍しいシンガロン4に収録されている「サーカス」だった。
この時の「スーパー・ノヴァ」は、純粋に奇跡だったと思う。最後という切なさを内包しつつ、感情が静かに爆発するような素晴らし過ぎる弾き語りだった。
会場の誰もが古川氏の歌声に引き込まれているようだった。

本当は最後の1曲まで1人で終わらせよう、と考えていたらしいが、寂しい気持ちからメンバーに最後は一緒に演奏しようと提案したところ、快くみんな乗ってくれた。との事で、最後の1曲を前に、また演奏隊がステージに上がる。
本当に本当に最後の1曲である。古川本舗が終わりを迎える瞬間である。そこで演奏されたのは、なんと本編でも最後に演奏された「アン=サリヴァンの休日」であった。ただし、1つ違うのはボーカルが古川氏だという事だ。
途中、ドラムがビートを急遽変え驚く古川氏の姿や、アドリブでビートに乗っていくキーボードなど、遊び心に溢れた「アン=サリヴァンの休日」だった。

そして、本当に演奏が終わり、古川本舗は7年間の活動を終えた。
終わった時でさえ、僕は本当に古川本舗が終わるだなんて少しも思えなかった。しかし、終わってしまった事は紛れもない事実なのだ。

はじめに書いたが、僕はこれほどまでの有終の美を見た事がない。
観客みんなを幸せにして、楽しませて、最後は自分達まで楽しんで活動を終えるグループは他に知らない。

古川本舗は確かに活動を終えた。しかし、古川氏の音楽はこれからも続いていく。
僕は、今後の古川氏の鳴らす音を期待しながら次の活動を心待ちにしようと思う。

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2015年12月4日 吉祥寺SEATA
古川本舗 FINAL SINGALONG 「.RESPONSE.」

Kohei Murata

Kohei Murata編集長・ライター

投稿者の過去記事

バンド活動を通して、自分の音楽を世界に発信する事を志しながら、同時に仕事での独立を目指して様々な業種を経験する。バンドでは日本のみならず台湾でも活動を行い、台湾でのアルバム2枚のリリースや大型野外フェスティバルへの出演も果たす。
その後、様々な仕事を経験し2015年独立。
現在は音楽メディアOptimanotesの編集長兼ライターとして、記事の執筆をしている。

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