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[先行レビュー]さユり – 2ndシングル「それは小さな光のような」

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終始流れるヒリヒリとした空気感のようなものの中、まるで胸を鷲掴みにされるかのように突き刺さってくるさユりの歌声と歌詞。2ndシングルにして大名曲の誕生である。
思えば、楽曲に流れるヒリヒリとした空気感は前作「ミカヅキ」にもあった。今作「それは小さな光のような」ではその空気感がさらに加速しているように思う。
さユりの歌声はいつだって僕らが抱えている焦燥感や虚無感に訴えかけてくる。そして、少しの救いを分けてくれる。それは、まるで最後さユりと自分自身が同調出来たかのような錯覚をも覚えさせる。
「大丈夫。僕らは弱い。でもこの世界には希望も用意されている。だから一緒に行こう。」まるで、そんな事を言われている気持ちになる。

今作「それは小さな光のような」はノイタミナ他で現在放送されているアニメ「僕だけがいない街」のED曲のタイアップになっている。
珍しく作詞作曲はさユりではなく、アニメの音楽も担当している梶浦由記が担当している。しかし、そこに流れる世界観はさユりのそれそのものである。絶妙にアニメの世界ともリンクしつつ、さユりの前作「ミカヅキ」で歌われた、未完成だけど「それでも前に進むんだ」というメッセージから、更に一歩踏み込んだ歌詞。梶浦由記は、ちゃんとさユりの事を理解し、この楽曲を作ったのだろうな。と感じた。

「歌わないと生きていけない。」と言う、常に息苦しさを感じている酸欠少女さユり。そんな彼女が「ミカヅキ」から更に一歩自分自身の中に踏み込んで「守りたい」「優しくなりたい」と心から叫ぶ様は、その痛さを超えてあまりにも美しい。
始めは胸を締め付けられるような思いに駆られるが、それがあまりに美しい叫びだと感じるのに、そう時間はかからない。今作での彼女の歌声は美しいのだ。
それは、やはり楽曲に希望が散りばめられているからなのかもしれない。「それでも前に進むんだ」という彼女が発するメッセージに僕らは救いを求め、また彼女もそれを歌う事で自身で救われている。そんなギリギリの状況が美しさを生み、輝きを放つ。
自分自身が「それでも前に進むんだ」と歌っていた少女が誰かを「守りたい」と決意するという事は、それだけの苦痛を乗り越えた先にあるものに違いなく、だからこそ産み落とされた美しい歌声なんだと思う。

また、2曲目に収録されている「来世で会おう」だが、こちらはさユりによる作詞・作曲の楽曲である。1曲目「それは小さな光のような」と対になっていて、過去は変えられないから今の自分を肯定し、信じて進んでいこうというこれからの未来に対する希望の歌である。
また、この楽曲も前作「ミカヅキ」と繋がっている。「それでも」いまの自分を肯定できるようになりたい。と歌った「ミカヅキ」での想いが輪廻し、進んできた道を肯定する間での葛藤が描かれている。こちらも見事なまでに美しい楽曲だと思う。
「ミカヅキ」「それは小さな光のような」、そして「来世で会おう」この3曲は全てすべからく繋がっている。同じシンガーソングライターさユりが歌っているのだから当たり前だ。なんて思ってはいけない。ここでの楽曲達の繋がりが示すものは、等身大で現代に生きている19才のさユりというアーティストの苦しみ・悲しみ・後悔・希望・決意、そんな様々な感情が渦巻いた先にある一筋の光だ。これを表現する為に彼女がどれだけの痛みを伴ったか。どれだけ凄い事か。僕はそんな事を感じた。
そして、「来世で会おう」は過去は変えられない事を受け入れ、今を肯定してみせたさユりの初めての楽曲になるのではないか。

さユりはインタビューにおいて自身の歌が「誰かの救いになって欲しい」と願っていた。きっと、この楽曲はその「救い」になれる力を秘めているのだと思う。
楽曲の最後に作ったパートだというDメロの「許せるだろうか、そんな日が来るとしたなら、君は待っててくれるだろうか、この痛みの先で」というフレーズに、彼女は「精一杯の希望を込めた」と語る。それこそが、今現在の彼女の強さを示す言葉ではないか。

今作に収録されている「それは小さな光のような」「来世で会おう」は2曲だけでもアルバムを聴き終えた時のような様々な感情が芽生える作品だと思う。それほど深く重く、テーマが明確にある19才の少女が産み出した生きる芸術そのものだと思う。2曲とも彼女と共に成長してゆく生き物のような楽曲だと感じる。

アニメファンに関わらず、この楽曲達が日本中に響き渡る事を心から願う。
必ず誰しもに刺さる楽曲達だと思う。彼女の歌声が少しでも誰かの救いになってゆけばいい。そんな事を考えずにはいられない。

彼女は今もその歌声を持ってして、自身のストーリーを紡ぎながら世界と対峙しているのだから。


酸欠少女 さユり 2ndシングル 『それは小さな光のような』”ノイタミナ”アニメ「僕だけがいない街」ED




酸欠少女 さユり 2ndシングルM2 『来世で会おう』、『それは小さな光のような』と輪廻したタイムリープMV







Kohei Murata

Kohei Murata編集長・ライター

投稿者の過去記事

バンド活動を通して、自分の音楽を世界に発信する事を志しながら、同時に仕事での独立を目指して様々な業種を経験する。バンドでは日本のみならず台湾でも活動を行い、台湾でのアルバム2枚のリリースや大型野外フェスティバルへの出演も果たす。
その後、様々な仕事を経験し2015年独立。
現在は音楽メディアOptimanotesの編集長兼ライターとして、記事の執筆をしている。

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