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[Interview] 近藤晃央 – 待望の2ndアルバム「アイリー」を語る

今回は4月27日に待望の2ndアルバム「アイリー」をリリースする近藤晃央へインタビューを敢行した。
184cmというモデルのようなスラっとした容姿が印象的な彼の口から出てきた言葉は、非常に考えさせられる言葉の数々だった。
今作「アイリー」に込めた想い、音楽への情熱、グラフィックデザイナーとしての一面、様々な姿が見え隠れし、非常に魅力的な人物であった。
その魅力は2ndアルバム「アイリー」へ余す事なく詰め込まれている。
是非、今回のロングインタビューを読み、アーティスト近藤晃央を少しでも理解した上でアルバムを聴いてもらいたいと思う。


邑田航平(Optimanotes編集長)

kd4

——4月27日にリリースされるセカンドアルバム「アイリー」の方、早速拝聴させていただいたんですけども、とても良い作品でした。

ありがとうございます。

——まず、タイトルの方からお伺いしたいなと思っているんですけれども、前作1stアルバムが「ゆえん」というタイトルで、今回が「アイリー」ということで、英語に直すと「You&」という前作に対して、今作が「I Re:」という返信という意味合いになっていると思うんですけれども、こちらがすごく意味深なタイトルだなと思っておりまして、今作のタイトルは前作を製作している時から次作はもう「アイリー」にしようみたいな構想はあったのでしょうか?

「アイリー」っていうタイトルまでは考えてなかったんですけど、1stアルバムを作ってる最中にコンセプトが見えてきたっていう感じだったんですね。

前作は、改めて収録曲を見てみると、対人っていうものばかりだったっていう事がありまして。アルバムの中に「君」っていう単語が50回位出てくるようなアルバムだったので、それを完成するちょっと前位に、必然と次は対人ではなく、「ゆえん」「You&」っていうものに対しての、その先に来る「対自分への」っていうものを描くっていうのは見えてました。

——なるほど。そうすると、前作は本当に「You&」とあるように「君と何々」というところで決まっていて、今作に関しては「1人称」と言いますか「私目線」という形でコンセプトを作られていったっという感じですかね?

そうですね、もちろん元々あった曲も収録曲には入ってるんですけど、選曲の一部分として、自分から目線、自分目線、まぁ自分から目線って、結局また対人っていうのは必ず関わってくるんですけど、目線を真ん中に置いていたのをちょっと手前に戻したというか、そういう感覚ですね。

——ちなみに「Re:」という単語なんですけれども、返信という意味合いがありますが、具体的に「ここに対しての返信なんだ」みたいなものっていうのはあるんでしょうか?

過去の自分に対するっていうものは大きいと思いますね。

——それは例えば「月光鉄道」などのエピソードで、中学生の頃に引き籠っていた事とかの自身の体験、そういった過去の自分へのメッセージであったり、そういうところに繋がって行く感じですかね?

そうですね、ミュージシャンって少なからず不特定多数の人に対して、曲という形でメッセージを伝えていくものだと思うんですけど、いわゆる引き籠りの人間に対して、僕もそうだったんですけど「こうした方が良い」とか「あぁした方が良いよ」っていうものがまるで効果がないというか、逆効果にむしろなるというか。
自分では本当は分かっているんですよね。外に踏み出さなきゃいけない。変らなきゃいけない。でもそれを改まって口に出して言われたりすると、入ってこないというか、むしろそれに反発したくなる傾向がすごい強いと分かっているからこそ、人に言われたくないというか。

——あーなるほど。

で、結局じゃあ僕はその引き籠りというものを肯定したいかといったら、どちらかというと否定したいんですけど、変っていかなきゃいけないっていうのもあるので、それをじゃあメッセージとして伝える時に、最初から人に伝えるっていうものだと、絶対壁を作られると思っています。なので、じゃあ僕が伝えるメッセージっていうのは何なんだろうなって考えた時に、もう自分に言えばいいんだなって考えました。
だから、あの時の自分に対して何か伝えることが出来たんだったら、それは誰か人に対して説教してる訳でもないし、自分がもっとこうあるべきだったんじゃないかなとか、そんなに難しく考える事なかったんじゃないかとか、なんか自分にかけるような言葉だったら、良い意味で人事として聴いてもらえるかなっていう風に思ったんですよね。そっちの方が結局入って来る可能性があるんだったらそれで良いと思っていて。なので、遠回しですけど、人に伝える為に一番吸収しやすい方法で言うと、まずは自分からなのかなっていうところが大きいですね。

——先程言われていた、直接言われてしまうと反発してしまうですとか、そういったところが性質としてあると。
今作にしても、近藤さんの目線から、誰かに対してメッセージとして伝えるのではなくて、自分の過去に対して言う事によって、リスナーさんが自分事ではなく受け止めてくれて、やんわりと入って来てくれるっていうところですかね。

客観的に捉えてもらうという感じですかね。もちろんダイレクトに伝えた方が良い事とか、人に直接届けた方が良い事があるっていうのは前提とした上で、伝えにくい事っていうものも少なからず存在するので、そういうものを伝えていく為に、その伝えたいものはあくまでも姿勢であってっていう、客観的に聴いてくれる人も含めて、客観的に考えた時に、たぶん自分で気づかなきゃそういうものって意味が無かったりするので、人にあぁだよ、こうだよって言われるものよりも、そうやって過去を振り返ったり自分で変えていく姿勢みたいなものを、聴いた人が客観的に見て、その先でその人が自分と重ねてくれたら一番良いかなとは思いますね。

——ありがとうございます。次に、今作14曲入りということで、タイアップになっている楽曲も多数収録されているかと思うんですけれども、そういった楽曲を収録するかしないかの判断も、やはり今仰られていたような、自分に対して書かれているような歌詞みたいなものをピックアップして入れているという感じですか?

そうですね。ただ、元々1stアルバムが出来た後に、次に発表したシングルが「あい」っていう作品で。「名もなき毒」というドラマの主題歌として書きおろしたんですけど、すごい漠然とした最初はイメージでしたが、次は「あい」っていうものがテーマだなって思っていました。僕その時はそのI「あい」っていう英語のIの「あい」でしたけど。
で、たまたまドラマの主題歌のお話を頂いた時に、そのドラマのプロデューサーさんから、この作品のテーマになるものは「愛」です。と説明を受けまして、それでドラマの脚本も踏まえて、書きおろしさせてもらいました。意味は違えど、たまたま同じ名前を持った「あい」っていうものが、このアルバムの スタートになったきっかけで、そのドラマの方が言ってた「あい」はLoveですが、そのLoveってものも含めて、その「あい」っていう言葉の広がり方、自分って言う意味もあるし、Loveっていう意味もあるし、哀しいと書いて「あい」とも読むし、そういう同じ言葉なのに、意味がまるで違う、ニュアンスがまるで違うっていう。それってもう「あい」そのものというか定義が無いんですよね。

人によって「あい」っていう形が違って、まさしく僕が書くべきことはそれなのかなっていう。その人によって定義が違うものが「あい」で、説明のしようがないものが「あい」でっていう、そこから始まったので、1stアルバムが出来た後に、たまたまそういうお話を頂いた上で「あい」という作品が出来た事によって具体的なイメージが、次のアルバムまでこういうコンセプトでいくんだっていう確信がそこにありました。描きたいもの、アルバムに入れたいものっていうのが明確に自分の中で見えていたので、 選曲もそういう部分はあるんですけど、作る曲自体はそこを目指していた部分は大きいですね。

——今回タイトルがカタカナで「アイリー」というタイトルで、先程からお話している通り、英語で「I Re:」という返信という意味にもなるんですけれども、その前の部分のIという部分がとても重要なワードであったりするという感じですか?

そうですね。もう一つキーワードになっているのが「嬉しさ」なんですが、IRIEって英語じゃないんですけど、ジャマイカの言葉で言うと「嬉しさ・喜び」っていう意味もあるんですよ。

今回描きたいなって思ったのは、自分っていう部分と、嬉しいっていう気持ちの部分を、主にはコンセプトにしてるんですけど、じゃあそもそも、なぜ嬉しいという気持ちをこのアルバムに描こうと思ったかというと、その「名もなき毒」という今言った「あい」という曲が主題歌になったドラマの続編として、「ペテロの葬列」というドラマの主題歌で「心情呼吸」というシングルを書きおろしたんですけど、その時正直ちょっとあんまり音楽に対して前向き、自分自身が辞めようかなと思ってたタイミングでして。活動に対して前向きになれなかったりというか。上手くいかない部分も多かったんで、それは結果とかだけではなくって、対人関係も含めてなんですけど、人間関係も含めて、そういうタイミングで、お話を頂いた中で、すごいフラストレーションが溜まっていたからこそ、そうお話を頂いた時に、作品を作るという意欲が、抱え込んでいたものが多かった分、意欲が湧いてきて、その時に、描こうと思ったものが嬉しさっていうものだったんですよね。

で、その嬉しさというものが、その音楽をやれる嬉しさなのかは分からないんですけど、その時に自分が思った嬉しさっていうのは、辛いとか、しんどいとか、悲しいとかそういう気持ちを素直に口に出せるのが、もうそれが嬉しさだなっていうところで、「心情呼吸」っていうのは、まさにそういう意味のタイトルなんですけど、音楽をやれる楽しさみたいなものに気が付いたのが、マイナスな事をマイナスのまま言えるっていう事が、すごい音楽の楽しさにもう一度気が付いたというか、無理して前向きになんなくて良いんじゃないかっていう、ただ「辛い、しんどいって言えるだけで結構もう嬉しくない?」っていう、そういう感覚に初めてなれたきっかけの曲だったんですね、「心情呼吸」っていう曲が。それで、I、自分っていうものを描き始めたのが、「あい」というシングルだったら、嬉しさというものを描き始めたのが「心情呼吸」という作品で、今回結果的に色んな嬉しさの曲があって、色んな自分というものに対するものと向き合う曲があって、その両方の意味を持たせるタイトルにしたかったんですよ。

——なるほど。

それで、「あい」から始まる言葉でひたすら探して、嬉しさという意味を持った言葉を見つけたのが「IRIE」だったっていう。あとは、自分に対する返信という意味もそうですし、「IRIE」という一つの言葉もそれは嬉しさになる、「I」と「Re:」が一緒になれば嬉しさになるよっていう。だから、自分が返信した事に対するその先に嬉しさが待ってるっていう僕のこのアルバムが出来るまでの流れです。

それが、そのままタイトルになった言葉を運良く見つけられたっていう感じなんです。

——いや、凄いですね。純粋に今凄いと思いながらお伺いしていました。

すごい説明下手ですいません(笑)

——いや、とんでもないです!

ちょっとややこしいんですけど。

——でも、そうやって出来たタイトルが、たまたまそういう意味合いで色んなところに繋がっているタイトルになったというのは、何か運命的なものがやはりあるのかなというものを感じながらお伺いしていました。
ジャマイカ語で嬉しいという意味があるという事は、ジャマイカ語を調べていく中で、初めて知ったのですか?

そうですね、調べていって、Iから始まる言葉って日本語でも沢山あるんですけど、やはり複数の意味を持たせるっていうのはなかなか難しくって、それが何も見つけられなかったら、もしかしたら全く違うタイトルを考えていたかもしれない、それを例えられる何か物体のタイトルにしていたかもしれないですけど、たまたま見つけられた言葉に、「あっこれじゃんっ」というものがあったので、それはそのタイミングで調べたからこそ見つけられたものなのかもしれないですけど。

——ありがとうございます。では、先程音楽を一度辞めようと思ったというお話がありましたが、まさにお話していただいたその「心情呼吸」がきっかけになって、音楽を辞めようと思っていた気持ちの部分が全部解消されていって、今は音楽に対してすごく前向きになれているっていう感じですか?

そうですね、もちろん今も上手くいかない事は上手くいかないですし、全てが良くなったっていう訳では無いんですけど、「心情呼吸」っていう曲に支えられている部分と気付けた部分っていうのは結構大きくて、歌詞にそのままある通りなんですけど、そもそも音楽って自分の中で出来ると思って始めたという訳ではなくて、出来るか出来ないかってよりは、やりたいから始めたんですね(笑)

そして、それってどんな事も一緒で、考えられるか考えられないかという問題ではなく、叶えたかったらやればいいじゃんって。出来るか出来ないかじゃなくてやりたいんだったらやってみればいいじゃんっていう、その発想の転換ですよね。

状況は一緒かもしれないですけど、出来ないからそこで終わるのかって考えた時に、まだもうちょっと戦ってる自分が見たいというか、やりたいと思ってる気持ちが、まだ出来ないという結論に達してない自分を知ることが出来たというか、だから別に負けたっていいんですけど、まだ戦えるよねっていう、何かそういう気持ちにさせてくれたのはこの「心情呼吸」から、だからだと思います。

——それで、そこから2ndアルバムの製作に入っていっている訳ですよね?

「心情呼吸」の後ですね。

——そうするとやっぱりそこでちょっと一歩抜けたというか、もうちょっと自分の音楽をやってる姿を、戦ってる姿を見てみたいという想いみたいなものもアルバム製作に対しては入っているという感じですか?

そうですね、入ってると思います。1stアルバムを出した頃と比べるともう明らかに自分が担っている役割みたいなものは大きくなっていますし、人に任せておいていた事をなるべく自分でやるっていうスタンスで、面倒くさい事も沢山あるんですけど、結局その結論、音楽やりたい、好きな事やりたいっていう事を選ぶんだったら、 どうせだったら「悔い無し!」って言い切りたいなっていう。

どんな結果であれ、そういう事を考え始めると、自分のやることが増えるってことは、色んな場所が見れる、視野も広がるし、自分で責任を負えるんだったらとことんやりたいなと思えますから、そういう気持ちはすごい反映されてると思いますね

——なるほど、ありがとうございます。
今回のアルバムなんですが、結構というかかなり幅広い楽曲が色々入っているな。というのを感じまして、中でも「なんのおと?」という楽曲が、誰が聴いても小さい子供に対して向けた曲だなと分かるような、それこそ「みんなのうた」ですとか、そういったものに使わていそうな楽曲だなというのを感じまして、こちらの楽曲を作ろうと思ったきっかけを教えて頂いてもよろしいですか?

そうですね、まず曲のレパートリーでいうと「なんのおと?」は子供向けなんで確かに浮いているんですけど、割とどの曲も似ていないというか、サウンド面でいうと、曲によって全然違うので(笑)
それもあれなんですよね、嬉しさのそれぞれの表現っていうか、同じ嬉しさでも、単純にあなたが笑ってくれたら嬉しいと考える人間もいれば、あなたが泣いてくれたら嬉しいと思う人間もいて、競争社会で勝者と敗者が生まれるように、誰かが負ける事によって笑う人だっている、そういう汚い嬉しさもあるし、笑ってなくても一緒に泣ける嬉しさもある、さっき言ったように、しんどいとただ素直に言えるだけで嬉しいと思える嬉しさもある。
今回、「なんのおと?」みたいな子供向けの曲を作ろうと思ったその前に、お姉ちゃんに書いた「六月三日」というウエディングソングがあるんですけど。二人姉弟なんで姉しかいないんですけど、姉弟が結婚するだけで、あっこんなに色んなきっかけがあるんだなーっていう位、命の繋がりを感じたりとか、生まれて育てられて大人になって出会いがあって、その家族、自ら選んだ人とまた新しい場所を作っていく、何かその過程みたいなものを初めて目の当たりにして、その姉に子供が生まれた時に、あっまるで本当に自分の事のように嬉しいってまさにこういう事なんだなっていう。姉が結婚した事もそうなんですけど、子供が生まれた事もそうで、自分の事のように嬉しいってなかなか正直思えないですよね。

——そうですね。

上辺では、全然言えるんですけど、自分の事のように嬉しいっていう感覚なんてなかなか無いんですよ。
それはもう人間として未熟なのかもしれないですけど、そういう風に思えたのは、もしかしたら初めての出来事だったのかもしれないですね、僕からすると姪っ子でその子が生まれて今3歳くらいになったんですけど、その成長していく過程とかを見ていて、本当さりげないどんなシーンでも、もう嬉しくなっちゃうというか幸せになれる、何かそういう空間に初めて触れた時に、共通言語は何だろうとか、向こうと一緒に仲良くなる方法はなんだ、この子とコミュニケーションを取る方法はなんだろうって考えた時に、僕は音楽を仕事にしていて、姪っ子は僕が音楽をやってることをちゃんと自覚しているので、音楽でコミュニケーションが取れたら一番良いなと思って。
1歳半位の時は、妖怪ウォッチとか、その辺が共通言語になってくるんですよ。

——はい(笑)

その辺の歌を歌えばやっぱ喜ぶんです。
そういう子供が分かる歌だとコミュニケーションが取れるんですけど、でもあんまり真面目すぎると、耳には入って来るかもしれないけど、やっぱりちょっと距離が開くというか。

——うんうんうん。

何かそういうものを感じていて、僕がライブでアンパンマンを歌わないだけで晃央のライブには行かないって言われちゃったんで。

——はい(笑)

その共通言語を作ろうっていう(笑)
それでだけなんです。だから、姉の結婚があって、色んな気付くきっかけをもらって、そういう新しい道が生まれて、その子と仲良くしたくて、生まれた共通言語っていう感じですかね。
たぶん昔だったら作ろうとも思わなかったタイプの曲なんですけど、子供とコミュニケーションを取るという事で、自分がミュージシャンであるっていう事なので、ただ子供と一緒に歌える曲だけではなく、何かを学べる曲だったり、大人も改めて考えられる曲だったりすると一番良いかなっていうので擬音語というものを題材にして。
改めてどんな、それってどんな音ですか?って考えた時に、一番最初に浮かんできたのが、「すやすやって何の音?終わりと始まりを繋ぐ音」っていう歌詞で眠る事って、一日の終わりだけど、結局それって終わりと始まりを繋いでる音なんだよなーっていう、眠る音、すやすやってどんな音ですか?それって寝てる音ですよねとは答えられるけど、じゃあ寝る音って結局は何の音なんですか?っていう。
それはもう終わりと始まりを繋ぐ音ですよね?っていう発想が出来た時に、あぁ擬音語ってすごい面白いなって 、大人にも聴いて欲しいなっていうところから書き始めた曲ですね。結構このアルバムの中では、異色ではあるんですけど、聴き慣れると案外シンプルに考えさせられるところを作ったと自分でも思いましたね。

——確かに、「すやすや」という一音を取って、終わりと始まりを繋ぐっていうのはすごい面白い発想だなと思いました。なかなか大人になってくると、そもそも「すやすや」っていう言葉に対して何かを考えるっていう行為があんまり無いと思うんですよね。そんな中、終わりと始まりを繋ぐ、眠る時と朝起きる時。時を繋いでいる音ですよっていう事を言われると、ちょっとハッと思わされるところがあるというか、大人でも。やっぱり楽曲的には子供向けっぽい特徴の可愛らしい楽曲なんですけれども、歌詞は結構深いところを突いているなーというのは感じました。

ありがとうございます。

——なので、その中でも先程も仰っていましたけども、浮いた曲ではあるんですけれども、歌詞だけ読んでいるとすごく深いなという思いがあります。

ありがとうございます。

kd5

——次にちょっとアルバムから離れるんですけれども、グラフィックデザイナーとしても現在活躍されているかと思うんですが、元々は音楽とグラフィックデザインというのはどちらを先に始めたんでしょうか?

音楽が先ですね、グラフィックデザインはどちらかというと、好きで始めたというよりは嫌々やりはじめたもので。ライブハウスで10代、15、6の時からバイトしてたんですけど、ライブハウスのスタッフが7人8人くらいしかいなかったので、1人何役じゃないですけど、1人で色んなタイプの仕事をやらないといけなかったんです。

それがアルバイトであっても変わらずっていう感じだったので、まずはWebから始めました、Webを独学で学んで、ホームページを作れるようになって、最初は更新するだけだったんですけど、それをちゃんと一から作れるようにして、Flash・HTML・Javascript一通り勉強して、Webが一通り出来るようになったら、今度はIllustrator・Photoshop・InDesign、あと、映像編集、アフターエフェクトとか一通り全部、独学で本一杯買って、それでパソコンに関する仕事は全部やれるようになって、それを突き詰めていったら今度は外からいっぱい仕事が来るようになって。アーティスト系が多かったすけどね、バンドのグッズとかCDジャケットとか、そういうものをちゃんとお金をもらって作るようになったのが18歳位の時ですね。

——ちなみに、私なんかでいうと、グラフィックデザインとかは全く出来ないですし、パソコンの知識に関しても、Webが作れる訳でもないですし、HTMLは多少分かります。程度の知識しかなく、じゃあ勉強をもっと進めて行って、そういう事を出来るようになりたい、なりたいかというか、なれるかっていうところを自分で考えた時に、きっとなれないと思っているんですね。

はい。

——興味はあるんですけれども手が出ないというか。そういう感覚ってたぶん色んなところであると思うんですけども、そこで、そのInDesignであったりとかアフターエフェクトまで手を出して、習得してしまうっていうのは、音楽もそうだと思うんですけれども、色んなものにのめり込むような体質だったりするんですかね?

んー、どうなんですかね?そんな一気に覚えたというよりは、やっぱり場数をこなしていかないと。方法論でいうと、何をしたら何のエフェクトがされてっていうのは、ヘルプを開けば分かるし、説明書を見れば分かるし、そういうものは、むしろ勉強すれば誰でも分かるじゃないですか。でも、僕も面白さに初めて気が付くまでは、結構嫌々やってたんで。最初は全然ぐっちゃぐちゃのレイアウトで大した事ないものしか作れなかったですけど、例えば広告的な、ライブハウスだったらマンスリーフライヤーとかありますけど、そういうレイアウトするものではなくって、グッズとかでもそうですけど、描ける範囲の中で何を描いたって良いですよっていう、その表現の自由を与えられると、音楽と一緒で。発注されたものに対してある程度イメージは寄せないといけないですけど、表現の自由みたいなものがあるので、その楽しさに気付いてから、方法論は後で付いてきたかなっていう感じですかね。
あとは、楽しければ「この機能何の機能だろう」とか、押してみて初めて分かるとか(笑)

——あーなるほど(笑)

それで学んでいく事が多いですね。
だから、僕はほとんど基礎的な事以外はほぼ学ばずに、これやっちゃいけないとか、あれやっちゃいけないとか、最低限しか学ばずに、後はもう作りながら覚えていったって感じですね。楽しくないと頭の中に入ってこないんで。
もし自分にデザインとかそういうものに関するセンスとか才能があったとしたら、単純に楽しいと思えた事が才能なんだと思います、きっと。

そこでつまんないって思ってる、嫌々やってる感覚のままだったら、そもそもセンスなんて磨かれないですしね。だから、楽しさに気付けた事が、それがセンスなんじゃないかなーとは思います。

——ちなみに今作のアルバムのデザインも作ってらっしゃるということで、水の中に絵を描くという。

はい。

——とても印象的なアルバムジャケットだと思うんですけれども、こちらはハートですよね?

基本的にはハートを描いたんですけど、水の上なんで(笑)
滲んでいくのが分かっているので、結構時間との勝負とういうか、5秒経ったら形が変っているという(笑)

——なるほど。

すごい難しいものだったんですけど。不規則な形に変っていくからこそ水に何かを書くっていうのを選んだんですけど、誰かこれを見た時に、ハートだと認識出来ない、全員出来ないとまずいなっていうけども、ハートとして認識されなくてもいいな位の混ざり方っていうものが理想だったので、そういう意味では、上手く描けたんじゃないかな―とは思うんですけど、なぜハートを描こうか(笑)と思ったかというと、そもそも嬉しさって絵で描くとどんなもの?っていうのをそのまま落とし込んだって感じなんですよね。
嬉しさって言っても、さっき言ったみたいに本当に色んなタイプの嬉しさがある。人の幸せが自分の幸せ、人の不幸は自分の幸せっていう、本当に人によって考え方が違うし、場面によって考え方が違うからこそ、この色彩で綺麗な嬉しさ汚い嬉しさ、闇のある嬉しさみたいなものをハートの色の数だけではなく混ざり方で伝えたかったという感じです。

——最初にこのジャケットを見た時に、今はiTunesだったり、moraだったり、色んな配信サイトから音源をダウンロードすることが多いと思うんですけれども、昔ってレコードだったじゃないですか。レコードの時代って私の個人的な感覚なんですけれども、アートワークにとても力が入っているというか、聴かずとも飾るだけでもう一個のアート作品になっているっていう作品がすごく多かった時代だなと思っていて、今作のこのジャケットを見させて頂いた時に、ちょっとそれに近い感覚を覚えまして。

ありがとうございます。

——アート作品としても素晴らしいなというのを感じました。なので、今のお話を聞いて、あっやっぱりアーティスト(笑)なんだなというのを、グラフィックデザイナーとしても。

どうなんですかね(笑)、わからないですけど、でも僕はグラフィックデザイナーではありますけど、プロの絵描きではないので、滲ませられたからこそ描けた部分ももちろんありますし、それが直線的な線だったらただのつまらない絵になってたと思いますから、色んなタイプの曲が色んな視点で一つの作品に入り込んだその繋がりとか関係性がそもそも水のようなものだとしたら、うーん、音楽があるからこそ成立する絵なんだと思います。

——それではですね、ここからちょっと昔の話などをお伺いしたいなと思っていまして、そもそも音楽を始めるきっかけみたいなものがあれば教えて頂いてもよろしいですか?

音楽はですね、元々CD買ったり聴いたりするのがすごい好きで、小学校の頃から毎週、レンタルで絶対新譜は5枚は借りてくるっていう、1カ月に3枚か4枚位は、もうCDに注ぎ込むみたいな感じだったんで、聴くのはすごい好きだったんですよ。ただ、僕はどちらかというと、勉強と運動は出来ても音楽だけはもう成績がめちゃ悪くて、唯一の欠点みたいな(笑)

——はい(笑)

当時は、成績表でいうとここだけがダメだよねって言われてしまうような感じだったので、母親にピアノ習いたいって言っても、「いやーっ」と言われて。

——(笑)

音楽はいいんじゃない?みたいな感じで、結局習わなかったんですね。歌ってもそんなに歌も上手くなかったし音痴だったし、音程も取れなかったですし、どちらかというと一番遠い分野だったんですよ(笑)

中学校の時は学校に最初は行ってなかったんですけど、学校生活に戻って、楽しいと思ったきっかけが音楽の授業で。、ギターの授業があって音楽室にギターが40本位置いてある、音楽の先生がもうギターオタクみたいな先生だったんですよ。その授業が、思いのほか楽しかったんですよね。だから、給食早く食べて音楽室行くみたいな事を5人位でよくやっていて、そこからギターがちょっと位弾けるようになったら、今度はそれに合わせて歌いたいなと思うようになってきた時に、一人で家で誰も聴いてない部屋の中で歌ってると、開き直ってるじゃないですか?

——はい。

それで、でかい声出せば音程取れるんだなっていうことにすごい気が付いて、今まで自信が無いからちっちゃい声で歌ってるから自分が何やってるか分かってなかったんですよね。

ちっちゃい声で歌ってるからこそ、音程というか音符がどこにいるかも分かってないんです。けど、単純に自分に聴こえていれば、「あっ音程は取れるんだな」っていう、ただ自信がなかっただけなんだな。みたいなところに気付いてからは歌うのも楽しくって、人のまねをするっていう事は、もちろん最初の始まりでしたけど、そのギターに学校で出会ったことが最初のきっかけでしたね、音楽に対する。

——そうすると、もしかしたら学校に戻った時にたまたま音楽の授業でギターが無ければ、もしかしたら今音楽をやってらっしゃらないかもしれない?

どうなんでしょうね、元々好きではいたので、それがどういう関わり方になっていたかは分からないですけど、シンガーソングライターっていう道はなかったんじゃないですかね。

——なるほど、ありがとうございます。ちなみに音楽を始めた時に、ある程度歌う事も始めた時に、影響を受けていてよく聴いていたアーティストとか、もしいればいくつかお伺いしてもよろしいですか?

そうですね、世代によって違うんですけど、ギター始めて、そのまま高校に進学した時に、やっぱありきたりですけど、アコースティックギターから始めた人間はエレキを持ちたがるんですよね。エレキを持とうと思った時、買ってみようとか、弾いてみたいって思った時に最初に影響を受けたアーティストはHi-Standardでしたね。横山健さんが持ってるナビゲーターのレスポールにガムテープ張ってある状態みたいなのにすごい皆当時は憧れていて、僕はどちらかというとビジュアル系のバンドよりも、そういうカジュアルで割とありのままで勝負してるみたいな、いかに感情的であるかという部分の方が、僕は惹かれる部分が多くて、あの時代に音楽にも芯があって、でもセンスもあって、でもメロディアスだからこう心にも響いてっていう、その最初のバンドがHi-Standardだったんじゃないのかなって今考えても思うので、それは大きな影響を受けましたね。

あと日本語ってすげぇな、面白いなって思ったのは椎名林檎さんの影響も大きいですし、あとシンガーソングライターってすげぇな、歌、歌で聴かせられる人間がすごいなって思ったのはハナレグミさんでしたし、なんか日本のアーティストが多かったですね。そういう所々色んな人に影響を受けてるんですけど、シンガーソングライターとして、空気の使い方とか、弾き語りだと「あっリズム通りやんなくていいんだ」っていう、ただそれだけで結構大きな発見というか、「そうだよね一人でやってんだもんね」っていう、当たり前の事なんですけど、でもそういうのって改めて考えてみないと気付かないというか、すごい抑揚持ってるハナレグミさんとかを見たら、「あっすげぇな」って単純に思える、そういう部分部分で色んな人に影響受けてるとは思いますね。だからこそ、すごいジャンルも混在してるタイプのアーティストに今なってるんだと思います。

——ありがとうございます。では、今現在なんですけれども何か気になっているアーティストっていらっしゃいますか?それは別に影響受けているいないとか関係なく。

そうですね、色々いるんですけど。音楽は今自分で調べたら、調べた分だけ出てくる時代なんで、カッコ良さみたいな部分がやっぱ時代によって変ってきたと思うんです。どちらかといえば今複雑なものの方が指示されるというか、今ひたすら音数が多い時代になってきてるんで。逆にメロコアっていうものとかがすごい昔の事のように思われたんですけど、最近は同郷なんですけど、フォーリミ(04Limited Sazabys)とかはその世代を受け継いでいるので、あぁ何か久々にこういうバンドが出てきて、しかも地元一緒だから何か嬉しいなーと思ったりもしますし。あとシンガーソングライターだとさっき椎名林檎さんの話もしましたが、何かその椎名林檎さんが凛としたトゲのような、でも美しい言葉を発する人だったんですけど、それに何か続く若い人っていうのがなかなか出てこないなーと思った中で、それとは違うんですけど、甘い砂糖で綿菓子を作ったようなアーティストが今吉澤嘉代子だなと思います。

——では次にですね、楽曲の製作に関して、最初に楽曲を製作する際に一番気を付けているというか大切にしている事ってどういった部分でしょうか?

そうですね、自分が覚えられるものっていうのは大きいですね。あまりにも偶然的にできたメロディーって、録音してないと忘れるものなんですけど、録音してないと忘れるってことは、たぶん一回聴いただけじゃ覚えられないって事かと。
それは、どの人が聴いても同じなんじゃないかなとか。忘れたものは忘れたものでいいみたいな(笑)

——(笑)
一回デモみたいなものを作って、「やったー曲が出来たな」と思って、例えばですけど1週間後とかにぱっとすぐに思い出せて、自分の中にもうその曲が入っているみたいな時は、「あっこれはいけるな」っていう。

それは良いメロディなんだと思いますし、そうですね、あとはなるべく一曲の中に詞先の部分を作りたいってのは最近はありますね。
メロディばっかりに一時期なってたんですけど、もう作曲が先で、やっぱ曲に対する乗っかり方っていうものが一番大事だと思ってたんですけど。、やっぱり文字、伝えたい事を省略した方が伝わる部分と、省略したくない部分も出てくるので、Aメロとかはなるべく詞先にするようにとか、何かそういう感じですね。特に何かこういう風に作るっていう絶対的は方法はないですし、人それぞれ作り方やセンスが違うんですが、さっき言った僕が通ってきた好きなミュージシャンっていうものが色々ぐっちゃぐちゃになってそれが混ざっ状態が自分の好みだとは思うんですよね。だからその自分の好みにハマれば、必然と同じアーティストはいないと思うようにはしてます。

——そういった色んな影響を受けてきたものが全部ミックスされて今構成されてるのが、近藤さんの音楽であるという感じですかね。

そうですね。メロディーとか楽器っていうものに対してはすごい人から影響を受けたものが混ざってると思います。
ただ言葉のチョイスとかは音楽から学んだというよりは、どちらかと言うと人間関係だったり、人に対して学んだ事なので、だから言葉というものに関しては、音楽というよりは、会話でしょうかね、会話の中で増え、そこで吸収してきたものだと思っています。

kd2
——ありがとうございます。では、構成する要素というものについてお伺いしたくて、この質問は初めてインタビューさせて頂く方皆さんに聞いているんですけれども、近藤さんを構成している要素は様々あると思うのですが、その中で一番重要だと思う3つの要素を挙げて頂いてよろしいでしょうか?

そうですね、一個は家族。
あとは何でしょう、家族と、あっお米!
(笑)ウチ農家なんで、米自分の家で作ってるんですけど、何かご飯食べないと、何のエネルギーも出てこないというか。

——実家から送って頂いているんですか?

送ってもらってます、はい。

——美味しいお米食べてらっしゃるんですね(笑)

そうですね、あとは時間があったら稲刈り田植えは手伝いに帰ります。

——そうなんですね!

そうですね、あと一個は何だろうなー…細かさとかですかね。

——細かさ?

たぶん結構僕うるさいタイプのアーティストだと思うんですよ。音楽だけやってればいいっていうタイプのアーティストじゃないっていう。それがもちろん悪い方に出る時もありますし、良い方に出る時もありますけど、そういう細かさみたいなものが無くなると、もしかしたら自分じゃないのかなーと思いますね。

——なるほど、ありがとうございます。では次にですね、近藤さんに影響を受けて音楽を始めている方、または今後始める方というのが、現在いたり、これから現れてくると思うんですけれども、そういった方達にシンガーソングライターとしてのアーティスト目線で何かメッセージを頂けないでしょうか?

大いに勘違いしろっていう事ですね、うぬぼれでも勘違いでもいいんで、何か自分の事天才だと思った方が絶対良いとは思います。
その大きな勘違いって、根拠のない自信でも、始まるきっかけを作るというか、それがいつかへし折れても良いんです、でも、もしくはもう勘違いしたまま突っ走れるんだったらそれでも良いんですけど、その根拠のない自信って失ったらもう戻ってこないんで、歩き始めたらその歩いてる途中までに技術も身につくだろうし、細かい事は後から付いてくると思うんですけど、やろうとするきっかけって絶対自信なんですよね。その自信が、出来るか出来ないかやりたいって思う自信の場合もあれば、絶対出来るっていう、その根拠のない自信の場合もあるので、その自信は持ってて欲しいなーと思います。

——ありがとうございます。では、今回のインタビュー記事を掲載させていただくにあたり、読んでいただく読者の方々に対して、今回の「アイリー」というアルバムのメッセージをいただけますでしょうか?

そうですねー本当に色んなタイプの曲が入ってるので、どこが引っかかるか正直分からないですし、聴く人によって違うかもしれないです。その人の性格によってキラキラしたものが響く場合もあるし、ドロドロしたものが響く場合もあるし、それは分からないですけど、人間ってそもそも綺麗な心を持った人間が、汚い事を考えないかといったら、たぶんそうじゃないんですよね。
汚い事を考えてしまう人間が、そのあとどうするかによって綺麗な人間が生まれると思うんです。だから皆たぶんドロドロした部分を持っていて、キラキラした部分も持っていて、それをどう外に出すかによってただ印象が違うだけで、隠し持ってるだけなんだと思うんですよね。だから隠し持ってる部分に響くもの、それが無垢なピュアさでもいいし、本当に人の背中を突き落としたいと思う汚さでもいいし、自分の中にしか見えてないところの扉が開くといいなとは思います。
なので、聴いてもらってそういう感性に触れてくれたら一番いいなと思います。

——本日はありがとうございました。

ありがとうございました。




 

Kohei Murata

Kohei Murata編集長・ライター

投稿者の過去記事

バンド活動を通して、自分の音楽を世界に発信する事を志しながら、同時に仕事での独立を目指して様々な業種を経験する。バンドでは日本のみならず台湾でも活動を行い、台湾でのアルバム2枚のリリースや大型野外フェスティバルへの出演も果たす。
その後、様々な仕事を経験し2015年独立。
現在は音楽メディアOptimanotesの編集長兼ライターとして、記事の執筆をしている。

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