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米津玄師 – 「orion」レビュー

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2月15日に米津玄師の2017年初の音源がリリースされた。
表題曲「orion」はアニメ「3月のライオン」第2クールのエンディング曲として、発売前からすでに流れていた。「3月のライオン」第1クールのオープニング・エンディング曲はBUMP OF CHICKENが担当しており、米津玄師本人も公言している通り、彼が敬愛するバンドであり、そんなBUMP OF CHICKENからバトンを貰う形でエンディング曲を歌える喜びを語っていた。
更に、「3月のライオン」の舞台は東京月島が設定になっており、米津玄師自身も月島に住んでいた事があるという事で、何か不思議な縁を感じていたようだ。

さて、そんなアニメタイアップの「orion」だが、まず一聴。とにかく素晴らしいメロディとアレンジ。
前作「LOSER/ナンバーナイン」で表現してみせた「ナンバーナイン」の更に先にあるような打ち込み主体のアレンジに素晴らしいメロディと歌詞が乗っている。これは愛の歌だ。
米津玄師がハチ名義でボーカロイド楽曲を発表していた時代からのファンからしたら驚きを隠せないような変化かもしれない。それほど、愛に満ちた歌詞がとても印象的だ。ただ、驚きはあれど歌詞の世界観、言葉選び、そういった部分に関しては何も変わっていない、これぞ米津玄師の世界だと感じた。

祈りにも似たサビの歌詞、星座をテーマに描かれる愛の姿。決してストレートな歌詞の世界ではない。米津玄師だから表現出来たとでも言うような深い歌詞だ。タイトルになっている「orion」も星座の一つであり、リスナーにイメージを植え付ける為の歌詞なのではないかと感じる。

楽曲は、ストリングスがとても印象的に曲を進めてゆく。そして、さらにエモーショナルに熱量を孕んだ米津玄師の歌唱が印象的に響く。
サビでベースが楽曲を一気に盛り上げるパートにグッとくる。相変わらず楽曲の作り方がうまい。と単純に関心してしまった。YouTubeで公開されているMVは本日時点ですでに220万再生を超えている。こちらは公開からまだ1週間程度でだ。どれだけファンが米津玄師の新曲を待ちわびていたかがよく分かる。

米津玄師は確実に成長を遂げながら前へと進んでいる。
彼が素晴らしい作曲家である事を疑う余地など、どこにもないのだが、新曲が発表される度にやはり驚かされる。「orion」は彼の代表曲の1曲になってゆく名曲だと思う。

2曲目「ララバイさよなら」、こちらは打って変わって生楽器のみのバンド・サウンドに仕上がっている。しかも、これでもかとシンプルにだ。僕の中で米津玄師と言えば、アレンジが凝っている。というイメージがあったが、見事に良い意味で裏切られた。ギターもイントロのフレーズ、歌裏のアルペジオ、そしてサビでコード弾き。というなんともシンプルな構成だ。オブリすら入って来ない。もちろん、これは意図的なものだろう。
サビから始まる楽曲なのだが、いきなり印象的過ぎるメロディで始まり、一気に引き込まれる。そして、演奏がシンプルな事で言葉がより引き立ち、ざらついた雰囲気の歌詞世界とざらついた演奏が見事にリンクしている。
どこか、彼の中にあるふつふつとした感情が爆発寸前で描かれているような、そんな印象を受けた。振り切れてはいない、でも落ち着いてもいない。誰もが感じた事のあるような少し黒い感情が滲み出ている。
きっと、この楽曲に共感して琴線に触れる人は多いのではないか。言葉使いも含め、とても人間的であると思う。

3曲目「翡翠の狼」、これまた2曲目から一気に雰囲気が変わる。毎度驚くのだが、彼のリリースする作品はシングルにも関わらずアルバムを聴いているようなボリューム感がある。バラエティに富んでいる。なんて使い古された言葉では表現出来ない、全てがリード曲になりそうで、雰囲気の違う楽曲が詰まっているのだ。
だから、3曲聴き終えた時に、自分があまり息をしていない事に気付かされ、それだけ米津玄師の世界に引き込まれていた事を自覚する。
この楽曲は、どこか懐かしいようなハチ時代~dioramaあたりの雰囲気を感じる。メロディメイクやアレンジの仕方、楽器の使い方など、きっとハチ時代からのファンが大喜びする楽曲ではないだろうか。
そして、最近ファンになった人は新たな米津玄師の世界に触れ、きっと魅了されるはずだ。相変わらず素晴らしいメロディ。ストーリーのような、何か物語を読んでいるようなそんな気分にさせてくれる楽曲だ。こういう曲を書かせると彼の右に出るアーティストは今他にはいないのではないかと思う。
1曲の中で1冊の小説を読み終えたような、そんな満足感がある。
アレンジに関して言えば、様々な楽器の音がその物語を盛り上げるように施されている。所謂バンドサウンドでもないし、「orion」のような感動的な演奏でもない、オリジナル。そう、圧倒的なまでのオリジナリティ。それがこの楽曲には存在している。
歌唱に関しても、他2曲に比べエモーショナルと言うよりは、ストーリーテリングのような本当に物語を読み上げるような優しい歌唱だ。

米津玄師は、7月にホールワンマン2daysを行う事をすでに発表しているが、ここに収録されている3曲がどのように演奏されるのか楽しみで仕方ない。昨年のTour「はうる」で魅せた圧倒的な演出や演奏がどう進化するのか、初のホールライブで一体どういった演奏になるのか、今からこの3曲をライブで聴くのが楽しみで仕方ない。

そんな事を思わせるシングルだ。
2017年、始まったばかりだがこんな名曲がすでに生まれてしまって、この先の今年の日本の音楽業界がどうなってゆくのか楽しみで仕方ない。米津玄師は確実に日本のロック界を変える存在だと、そんな事を更に確信させられた。

■「orion」 Music Video

■リリース情報
米津玄師 New Single『orion』
発売日:2017年2月15日(水)

オリオン盤(初回限定)

オリオン盤(初回限定)


オリオン盤(初回限定):CD+クリアシート+ハードカバー仕様 ¥1,700+税 / SRCL-9313
ライオン盤(初回限定) (C)羽海野チカ・白泉社/「3月のライオン」アニメ製作委員会

ライオン盤(初回限定)
(C)羽海野チカ・白泉社/「3月のライオン」アニメ製作委員会


ライオン盤(初回限定):CD+DVD+紙ジャケット仕様 ¥1,700+税 / SRCL-9314〜9315
通常盤

通常盤


通常盤 ¥1,200+税 / SRCL-9316

<全形態共通・初回封入>
7/14(金)・7/15(土)東京国際フォーラム ホールA公演 チケット最速先行応募券封入
応募期間:2/14(火)12:00〜2/19(日)23:59

<CD収録曲>
M-1:orion
M-2:ララバイさよなら
M-3:翡翠の狼

<DVD収録内容> ※ライオン盤のみ
「3月のライオン」第2クールエンディング ノンクレジットムービー



Kohei Murata

Kohei Murata編集長・ライター

投稿者の過去記事

バンド活動を通して、自分の音楽を世界に発信する事を志しながら、同時に仕事での独立を目指して様々な業種を経験する。バンドでは日本のみならず台湾でも活動を行い、台湾でのアルバム2枚のリリースや大型野外フェスティバルへの出演も果たす。
その後、様々な仕事を経験し2015年独立。
現在は音楽メディアOptimanotesの編集長兼ライターとして、記事の執筆をしている。

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