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杉山裕紀 – 悩ましき日々 Vol.6

春がそこまできている。
暖かくなったり寒くなったりと忙しい気候だけど、風邪をひかない様に気をつけてください。
しかしまぁ、言っておいてなんだけど前回の掲載から今回の掲載日までに三度、風邪をひいた僕です。
舞台の本番が終わって強めの(強いという表現が正しいかどうかは解らないけど)風邪を一度、自主制作の映画を撮り終えて一度、そして今これを咳き込みながら書いているから計三度。
稽古中や本番中に風邪をひかない分いいけれど、本番が終わると必ず体調を崩す。緊張の糸が切れるというか何と言うか、とにかく体調を崩すので最近は本番の緊張感を保ったまま生活してみようとしたら、逆に張りつめすぎて結局風邪をひいた。
我ながら貧弱だなぁと思うけれど「お前の体調はジェンガかっ!!」って自分にツッコミをいれながら毎日頑張っています。あぁ、今のおもしろくないなぁ。

話は変わって、【くるり】の『東京』という曲が凄く好きだ。
春は出会いと別れの季節と良く言うが、この曲は僕にその表現をはっきりと感じさせる。
パッと聴くと男女の別れのようにとれるけれど、もし僕がこの曲で短いドラマを作るとしたら男性同士でキャスティングするだろう。僕にはこの曲が友達、それもどこか深い部分で繋がっていたはずの、親友に近い間柄だった二人の別れの曲に感じるのだ。

例えば読書、例えば芝居、例えば音楽。傾ける熱意が共通の場所にあった二人がどこにでもあるような理由で別れてしまう。
例えば進路の違い、例えば価値観のズレ。
ありふれた理由の別れが二人にはとてつもなく大きなものになる。その解消されなかったわだかまりを抱えたままどちらか片方が東京へと出てくる。
時間が経って日々の忙しさに忙殺されそうになりながら、段々と別れの理由なんか薄れていく中でふと昔の事を思い出して、かつて親友と呼べた筈の「彼」に電話をしてみようと思うけれど今更何を話すのか。今更どんな声で「彼」に声をかけるのか。解らないまま、また月日だけが過ぎて同じようなことを何度も繰り返す。
その内彼は気づく。あんなに辛いと思ったことも思い出になっていることに。
思い出すたび少し胸の奥がヒリつくけれど、それも悪くないのだ。だから彼は今日も思い出す。自分の事なんかとっくに忘れているかもしれない、親友だった筈の「彼」の事を。

的な。的な話を想像する訳です。
あ、少し恥ずかしいぞ。なんだこれ。まぁいいか。

話を戻して。
別れは誰にでもあるし、乱暴な言い方をするとその理由も大半はどこにだってあるもので。でも当たり前だけどその重さみたいなものは当事者が決める事なのだけどそこに固執していると今度は前には進めなくなる。だから思い出にして次に進む。そういう事を繰り返して僕達は新しい環境に適応していく。

思い出にしたり、時には忘れたりしていつの間にか大人になっていたけれど『東京』の彼の様に、訳の解らないことを言い続けたいし、すぐに風邪をひかないように季節には敏感でいたいものです。
おわり。

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杉山 裕紀

杉山 裕紀舞台俳優

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フリーの役者をしながら何とか毎日を消費している人。
普段は舞台を中心に活動しているが、声がかかれば映像の仕事にも参加。

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