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[Interview] LAMP IN TERREN – 1年9ヶ月振りの大傑作アルバム「fantasia」を完成させた彼らの現在に迫る!

今回は4月12日に1年9ヶ月振り、待望のニューアルバム「fantasia」をリリースするLAMP IN TERRENの4人へインタビューを行った。4人それぞれ、全く個性の違うメンバーのやり取りがとても面白く、本当にチームワークの良いバンドだと思った。
舵取りをしているのは、ボーカル松本大だと思ったが、他の3人がいて初めてLAMP IN TERRENは完成されるのだな。としっかりと思わせてくれる時間だった。
アルバムの内容はもちろん、アルバム以外にも楽器の事やパーソナルな事を様々聞く事が出来、本当に貴重なインタビューだったと思う。彼らはこれからアルバムを引っ提げてワンマンツアーを敢行するが、それが今から楽しみでならない。そんな事を思わせてくれるインタビューだった。
是非、リリースを直前に控えた彼らの生の言葉を読んで感じてもらいたい。


邑田航平(Optimanotes編集長)

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――本日はよろしくお願いいたします。早速ですが 4月12日にリリースするNewアルバム「fantasia」、こちらを早速拝聴させて頂きました。私の中でどう表現したら良いのかというところで、まだ消化しきれていない部分もあるかと思うんですけれども、とにかく素晴らしい楽曲のオンパレードだったなと思いまして。あとは前作・前々作も好きで聴いていたんですけれども、今までとは雰囲気が少し変わったという印象を受けました。今回の作品は、fantasiaというコンセプトがあって作ったのか、それともコンセプト無く、楽曲が出来てからfantasiaという名前がついて出来上がった物なのかというところをまずお伺いしたいんですけれども。

松本大(以下、松本):1曲1曲ずつ作っていきました。アルバムと関係なしに。デモ音源を溜めるためのフォルダーはfantasiaっていう名前になってました。あまり意識していなかったんですけど、多分この期間の僕はfantasiaだったんだなと思います。今では。

大屋真太郎(以下、大屋):楽曲が出来てfantasiaという名前がついた。

松本:ずっとあったんですけど、結果的にはバランスが取れる感じになって、結果一番良いタイトルだったなと思います。このアルバムに対して。

――楽曲制作とは別の部分でfantasiaという言葉が生まれていて、そういうフォルダーがあってそこに出来た曲を詰め込んでいったら結果的にそれがぴったり来たという。

松本:それがfantasiaだったっていう、出来たと思ったら(笑) 

――奇跡的な良い流れですね。そうすると制作自体はアルバムを作りますっていう事で楽曲を書いていったというよりは、日常の制作活動で楽曲を書いて溜めていた物の中から最終的にあの10曲が選ばれたという感じですかね。

松本:そうですね。

――歌詞の世界観なんですけれども、今伺ったお話と逆行するかもしれないんですが、結構fantasiaという言葉がぴったり来るなという歌詞が多く見られるなと歌詞を読んで思っていて、ちょっと不思議というか。松本さんのすごいパーソナルな心情が表れているものもあれば、それとは真逆で物語的な感じで歌詞が進んでいくものも多かったりしまして。そういった物語的なものとかは、空想的な感じがあったりとか、そこら辺がすごいfantasiaに繋がるんじゃないかなと思って聴いていたんですけれども、歌詞って意識して書かれたものなんですか?そこも全然別枠ですか?

松本:日常の中に不思議な事があるっていう事だったり、そもそも生きているこの現実世界こそがワンダーランドであるみたいな言い方を前作でもしてたんですけど、僕は根っこにその考え方があるので、考え方次第ではどれもが煌いて見えるし、全部不思議に思えるし、「これは石です」って言われても「石って何ですか?」っていう感じで、そこから広がっていったりするので、自分の中では今までの流れとして自分の中のオーソドックスな感じかなと思いますけど。主軸には今までの事があったと思います、これまでの自分というか。

――極論を言うと生きてるってなんだろうじゃないですけど、哲学的になってきますけど、松本さんの元々持っている思考回路的なところで、結構何に対してもこれってなんだろう?みたいな不思議な事が生きていく中で色々あって、そういったものを落とし込んでいった楽曲っていう感じですかね。

松本:そうですね、もしかしたらこのアルバムを聴いた人の中でそういう状況に出くわしたり、そういうものを見たっていう時に曲と現実が繋がって面白く見えてくるかもしれないなと思いますけどね。

――個人的になんですが「innocence」の歌詞が、すごく生々しくて結構胸に響いてくるものがあったんですけれども、あの歌詞はどんな時に書かれたものでしょうか?

松本:あれは「亜人」(劇場第二部「亜人 –衝突-」主題歌)の話の方が先にあったよね?

――「亜人」の話がまず先にあって、それに対して書き下ろした楽曲ですかね?

松本:はい、漫画を読ませて頂いて、もしかしたら自分もそうあったかも知れないっていう事を考えてましたね。たまたま僕は松本大として生まれてきて、松本大として生きてきているけども、もしかしたら違う何かを選べたかもしれないし、この曲を書く上で1番漫画を読んで思った事は、自分は選ぶ事が出来なかったと思っていて。終わりすら選べないんですよね、もはや。絶対に死が来るっていう事が確定していて、それがいつ来るか分からないけど。自分で選んで終わらせる事も出来るかもしれないけど。結末としては死が確定しているから、そこに向かって行くだけじゃないですか、それは全部決められている事で。もしかしたら自分っていう存在がありはするけども。自分のために生きているというよりも、大いなる意思がここでこいつを生かすという事を決めて、そのレールの上にただ沿っているだけかも知れないと思ってる気持ちが昔からあって。それと思いっきりリンクしたんでしょうね。それを歌詞にしていくっていう。だとしても選んでいるのは、意識の中では自分が1つ1つ選んで来ているものだし。広い意味で肯定していくというよりは自分自身の内側にある意識を肯定していくという気持ちで曲を書いていましたね。

――次にアレンジについて、アルバム全体なんですけれども。4人の楽器以外にもシンセの音であったり、打ち込みの音であったり、4人だけのバンドサウンド以外にかなり広がりを持ったアレンジが今回目立ったなと思いました。その辺の変化というのは前作からかなり期間が開いたと思うんですが、バンドとしてのどういう音を出していきたいかみたいな変化にもリンクしていった結果なんですかね?それとも今回の作品を作る上でこういう音を入れちゃおうみたいな感覚的なもので作っていくんですか?

大屋:そもそもLAMP IN TERRENの曲は大がデモをパソコンで作って、それを聴いて個人が色々提案していくんですけど、基本的に入っている打ち込みのほとんどは1番最初に大が持ってきたデモの段階で既に入っていた類の音が多くて。そこにバンドを足していくみたいな形が多かったので。これは要るか要らないかっていう判断はもちろんするんですけど、主に新たに加えた打ち込みの提案は大からのものがほとんどです。

――そうすると皆さんがバンドサウンド以外の打ち込みの部分を考えていったというよりは全部そこら辺は松本さんからアウトプットされてきたものを皆で考えて精査して、という考えなんですね。

松本:だから船なんですよね。僕は舵を取っています。僕は舵を取っているんですけど船を動かしているのは皆です。

――なるほど、分かりやすい(笑)

中原健仁(以下、中原):考え方的にもライブと音源は別物であって良いと思っているし。ライブでは自分達の肉体的なものでも表現出来るし。だったら音源でも必要だと思うものは素直に入れてみていいんじゃないかなという気持ちもあって。大が作ってくれる曲のクオリティーとかも持ってくる音の幅広さとかもすごいレベルが上がっているんで聴いていて選んだりするのは楽しいですね。

――次、アルバムを通して勝手な個人的な意見なんですけども、「光」と「歌」と「音」っていうのが3つの重要なキーワードになっている様に感じたんですね。そこら辺は歌詞を10曲ある中で書いていく中で結構意識した部分ではありますか?

松本:「光」は結構言われてきたんですけど、「歌」と「音」は今初めて言われた気がします。自分の中で「fantasia」を作る上で大事なものだったと思います。結構音楽そのものについて考える事が多くって。音楽って衣食住のどれでもないんで、極論無くても生きていけると思ってて。それで腹が満たされるわけでもなければ、寒さを凌げる訳でもないし、住める場所でもないし、その中で必要とされるものって何なんだろうな音楽において。音楽って何なんだろうなと思っていて(笑)このアルバムに含まれている曲は、今思えば10曲が音楽だったり音楽そのものについて考えている事が根源にあるなと思います。fantasiaって幻想曲という意味ですけど、しっくりくるなって思う部分もあるし。例えば音が無かったらつまんなかった日常だったりうるさい喧騒が、曲を聴くだけで全部が変わっていくような感じが、音楽が持てる力としてあると思ってて。一緒に歩いて行ける曲だったり、背中を押せる曲だったり、景色を変えていく曲だったり、考え方すら変えてしまう曲も中にはあると思うんですけど、聴いた人ひとりひとりのその先の人生が楽しみになるようなものであれば良いなと思っていて、僕は。このアルバムを聴き終った後にこのアルバムが良かったという事よりも、聴いた人のその先の未来が楽しみに思ってもらえればそれで1番僕は嬉しいです。それについて考える事がありましたね。「音」「歌」「光」とかって言うのは、全曲に対して重要なワードだったと思います。

――「光」はダイレクトに言葉として出てくる場面だったりとか、最終的に光を求めているところだったりっていう部分で歌詞に表れていると思ったんですけど、全体を通して歌っているシーンが思い描けたりとか、日常音でもいいですし、それこそバンドの演奏の音でもいいですし、とにかく音が鳴っているって、音楽なんですけれども、歌詞っていう言葉からも音が鳴っているっていう点をすごく感じまして。そこら辺がすごい重要なキーワードになっているなというのを感じました。今のですごく納得しました、ありがとうございました。

松本:最高の褒め言葉です、ありがとうございます(笑)

――最後の「eve」という楽曲なんですが、収録曲の中でもTERRENとしては新規軸的なアレンジかなと打ち込みの要素が特に多めに入っている楽曲だと思うので。この楽曲が特に光であったり、これからの希望であったり、捉え方によってはTERRENが進んでいく音楽性のこれから先みたいなものを示しているんじゃないかなと思いまして。その楽曲でアルバムが終わるっていう私の中ですごくしっくりきたんですね。この楽曲を最後に持って来ようと思った理由みたいなものを伺い出来たらなと。

松本:さっき話した事に通ずる事ではあると思うんですけど、これから先、明日以降だったり、今日これから始まる事・今から始まる事・アルバムを聴き終った瞬間から始まる事を楽しみにしてほしいなと思ってるのもあって。eveっていうのは前日っていう意味なんですけど、それは明日が特別な日であるから生まれた言葉じゃないですかeveって。いつも未来が楽しみに思ってもらえたら良いなと思って最後の曲になったっていうのは1番シンプルな思いとしてあったんですけど。

――すごい納得です。ミュージックビデオのお話をさせて頂きたいんですが、「涙星群の夜」を何度も見させて頂いて、かなりインパクトのある世界観だなと。バンド演奏のシーンがもちろんあるんですけど、それ以外の部分でもやっぱりストーリーがあって、あのMVのプロットが美しいなと思いながら見ていたんですけれども、あれは皆さんも意見を出したりして考えたものなのか、それとも監督さんが完全に考えたのかというところをお伺いしたかったんですけれども。

松本:この曲はどういう曲ですよというのを最初に伝えたかなと思います。その上でこういうストーリーはどうでしょう?というお話を持って来て頂いて、うちのアーティスト担当の人が涙がクリスタルに変わるのはどうだろうか?みたいな話をしてて、結果それが上手い具合に合わさったよね(笑)

中原:本当に全員で意見を出し合ってて、柔軟に受け止めてくれる監督だったし、話しながら楽しくって作っていってアイデアを上手く使ってくれたなっていう感じがします。

――誰がリードするっていうよりは皆で意見を出し合って、それこそスタッフさんとかも含めて総力を結集して出来たのがあのMVという事ですよね?

松本:ぐっしゃぐしゃでしたよね。

中原:何気に初めてですからね、自分ら以外にキャストが出てくるのってね。

――今までは、演奏のシーンをメインにという感じですか?

中原:今回の「涙星群の夜」のMVを作る上で、表現する上ではそういうストーリー調にした方が良いという皆の意思が固まっていたので、あとはキャストを誰にするかとか、どういう展開に持って行くか、そういう事は今までのMV以上に意見を出し合ったので、やっぱり初めての事なのでキャストを出すっていう。

――キャストさんが出てくれて演技をしてくれる訳じゃないですか。そうするとやっぱり違いますよね、やる気が。

松本:俺らいらないんじゃねえかっていう話も(笑)

――でもあそこで間に演奏シーンが挟まってくるので、エモーショナルさが伝わってくるっていう。あれがただのドラマ仕立てで5分くらいいのパッケージになっていたら、ちゃんと伝わってこないです。なので、あの演奏シーンは重要だと思っています(笑)

中原:突っ込まれた(笑)

――今回のアルバム制作を通して1番苦労した事をお伺いできればなと思います。

中原:完全に振り幅がいっぱいあるアルバムなんで、実際に自分でプレーするっていうのがめちゃくちゃ大変だったんですよね。めちゃくちゃポップな「不死身と七不思議」とか、今までやろうとした事がなかったし、ずっと自分が聴いているのはJ-POPとかが多かったんですけど、それを自分でやろうとした時に上手くいかなかったりとかっていう葛藤もあったし、レコーディングをしてて、すげぇ暗い曲を録った後にめちゃくちゃ明るい曲を録ったりする事があったので、そこの気持ちを作り方というか、変化みたいなものがすごい大変で、今回のアルバムがすごく時間がかかりましたね。

大屋:基本的にどの曲もそうなんですけど、結構ギリギリまでギターを考えないと気が済まないので、レコーディング前日、1週間くらい前から色々考えるも、結局録るまでは安心出来ないから。僕がそもそも入って初めてなので。

――アルバムでがっつりレコーディングに参加するっているのは初ですよね?

大屋:初なので、探り探りやっていた部分もあるんですけど技術的なところとか、ニュアンスの出し方とか、単純にギターっていう楽器は難しいなと思いました。

松本:僕らだからやれる事っていうものを探すっていう点において、僕らだからバンドをやっている意味のあるものを全曲に対して僕は探していたと思うんで。きっかけは掴めたんですけど、その作業だったりそういうふうに考えている事は大変だったなっていう感じ。

――今言っていたみたいな事を全曲に対して見出していくところで相当苦労しながら制作していくって感じですかね。

松本:苦労とは思っていないんですけど大変でしたね。

――そうするとアルバムが完成した時なんてすごい解放感だったんじゃないですか?

松本:解放感はあったかもしれないですけど、達成感っていうものを人生で味わった事がほとんどなくて。次の事が浮かんでて。アルバムの制作が始まる直前から次の曲を書き始めていたんで。そっちの方に考えがもう行っちゃってるというか。

――脳内は次の事にシフトしながら今の仕事をやっているみたいな(笑)

松本:話しておきながらも昨日も普通に新しい曲を作ってたので。今面白いですよ。意思が2つある感じが。

――パラレルに動いている感じですね。

中原:選曲会議の時に「fantasia」に入れる曲とそうじゃない曲があったんですけど、そうじゃない曲の方が「fantasia」の次のアルバムだよねっていうくらい、本人の中でも構想があるんだと思うし、僕らもそういうイメージが何とあったりとかして。

川口大喜(以下、川口):僕はモードの切り替えが苦労でしたね。何事をするにあたっても、基本的に不安しかないので。ただ自分の表現したいモードと違うところにあったので。だから楽曲が出来てもちろん曲が良いのは当たり前なんですけど、レコーディングの時は必死だし。レコーディングは終わってくる最中とかにこの曲達を今の自分のモードで表現出来るかっていうのはありましたね。全然モードが違ったので。ぶっちゃけ今だから言えるんですけど、今はそういうのはなくて、完全に「fantasia」モードに入ったんですけど。そういう作っている最中とかって別にプレーとかは練習すりゃ出来るんですけど、気持ちの持って行き方が1番大変でしたね。

――レコーディング中はそこまで「fantasia」モードに入れていなかったという?

川口:レコーディング中は単純に必死だったので、前日までフレーズが決まっていなかったりする曲があって。というのもメロディーが変わるかもしれない、そうなって来るとフレージングだったり、歌に寄り添うバンドなので、なかなか決まらなかったりとか。そういうのがあって、ウチ毎回なんですけど録ってる時はそれをする事に必死で。終盤にかかって余裕が出てくると考えちゃうんですよね色んな事。っていうかそもそもみたいな。俺は今音楽でこういう事を表現したいんだけれども。これちょっと俺だけ違う方向を向いていないかな?みたいな。始める前に考えていた不安を思い出して、ずっと不安で不安でってなるんですけど、大概上手く行くんですけど。今回も上手く行ったんすけど、そういうとこすかね。

中原:これ出すのが1年9カ月ぶりになるんですけど、それだけ期間があればここまで切羽詰まってレコーディングしないんじゃないかとかあるかもしれないんですけど、やっぱり全然そんな事なくて。アルバムっていう最後の最後までしっかり詰めてやりたい気持ちは皆あったんですね、きっと。めちゃくちゃつらかったなっていうのはありますね。

――単純に1年9ヶ月空いた事で、レコーディングに対してちょっと離れたわけじゃないですか、一気にアルバムを作るっていうレコーディングからは離れていた事によって大変さが生まれたという事もあるんですか?

中原:それもあると思います。技術的にも出来るようになってきてる事が多いから。その瀬戸際の曲とかをやるのは結構ギリギリなんですよね。「地球儀」とかボーカルが持って来るデモを弾けないっていうのは僕はすごい嫌なので。絶対に弾いてやろうっていう気持ちでやっていたんですけど。

松本:結構人力じゃ無理な事を打ち込んでいたんですよね。

中原:ドラムも結構その際を攻めてくるんですよ。出来なくはないけど相当難しいよっていうのを作って来るので。でもそれよりも格好良く無いものはやりたくないからやるんですけど。録り終わった後に俺弾けた!みたいな瞬間があったりとか(笑) その期間があったから出来るとも言えますね。出来たっていう風に思います。

――結構アルバムのレコーディングを通して苦労したからこそ、このあと予定されている「fantasia」のツアーだったりとかもどんどん良い物になっていくんだろうなっていうところはありますよね。

中原:出来上らないと分かんないんですよね。人間だし気持ちもコロコロ変わるし。出来上がったらそういうモードにもなりますし。今回のアルバムはめっちゃ良いなって本当に思いますし。

――ちょっとアルバムから離れます。楽曲制作というものについてお伺いさせて頂きたいので、松本さんが制作をする際に1番大切にしている事ってなんですか?

松本:どれかが無いといけないなっていうのは、格好良いと思うか、癒しだと思うか、剣になれるか盾になれるか、面白くあれるか、色々あるんですけど、いずれか1つでも入っていない曲は僕の中で曲になっていないんですよ。ボツっていう方が1番分かりやすい言い方ではあるんですけど。ボツにすらならない、曲にすらなっていないんですねまず。そういうものがないといけないなっていう風には思っています。1番大切にしているものがあるとすれば、その要素を掴んだ上で曲作りをするって事ですかね。

――次に楽曲のアレンジについて、皆さんでアレンジすると思うんですけど、基本的には松本さんが作ってきたデモをベースにして皆さんそれをアレンジして変えていくというスタイルで作っているという事で大丈夫ですかね?例えばギターのソロがポンと入っているものを大幅に変えて全然違うギターソロにするみたいな事もあったりするという事ですか?

松本:結構真ちゃんパターン作ってくるよね。

大屋:大もギター弾いてるし、そこで僕が加わる意味っていうのは大が持っていないもので僕が持っているものは何かなっていうのを常に考えながらギターを弾いているんですけど。そこで俺はこういうのを弾けたんだっていうのに気付くのもありますし。

松本:要素が2つあるんですよね、ギタリストとして。僕はリズムっぽいものを担当。真ちゃんは ロックだったり、メロディーって感じですよね。

中原:前作に比べて真ちゃんがギターソロを弾いている事もあって、より歌に寄り添ったギターになっている曲もすごいあって。聴いていて面白いですね。

――「地球儀」のギターソロとか最高ですよね。

松本:イェー!(笑) 

中原:まさにそれですね。

――「地球儀」のギターソロぐっときました、あれってフロントですか?

大屋:フロントです。

――フロントっぽい歪みがすげぇかっけぇなって思いました。最高でした。

松本:俺達も手をたたいて、大喜びしました。

――次に、アルバムを通して全楽器すごく良い音だなと思って聴いたんですけれども、皆さんレコーディングの音作りで意識した事があれば1言ずつ何か。

松本:音作りは相談出来る人がいるので。こういう事にしたいですって事を言って2人で作っていく感じなんですけど。この話は大喜さんがすげぇ喜ぶよね(笑)ヤクザみたいな完全に厳つい風貌のスタッフがいるんですけど。その人と相談しながら音を作って、楽しいよね。

川口:普通にニュアンスで伝えると、最初にデモ音源をその人に聴かせて。例えば汚い感じでいきたいんですよね、分かりますよね?あの感じ、的な事を言うと。「あ、あぁはい」それが他のスタッフに楽器の名前を指示してとりあえず一旦ベースを作って。そこからこんな感じなんですけど、もうちょっとこういう感じでって言ってくれたら作ってくれるみたいな。俺らも学んでいるっていう感じですね。

中原:自分の好みのものを作ってもらえるし相談出来るからやりやすくて、俺らが何をやればいいかって言ったら、ニュアンスだったりそういうのは意識しています。すごく強くピッキングしてみたりとか。

松本:逆に課題みたいな感じで渡されるみたいな時もあるよね。この音を弾きこなしてみろって。

中原:この音で良い音にしてみろみたいな(笑)俺はそこで一旦くじけた曲があったんですけど。涙星群の夜を録る時に、俺が鳴らしたい音のニュアンスを伝えたら音を作ってくれたんですけど、TECの方が弾くとめちゃくちゃいい音なのに自分が弾くと全然思ったものとぜんぜん違うっていう。結局今の技術では足りなかったので、今出来る事で自分のニュアンスを出すようにセッティングし直してやったりとか。

――ちなみに今回使ったベースは何本程?

中原:Fenderのジャズベース・プレシジョンベース・Gibsonのホロウボディになってるやつがあって、フレットレスっぽいニュアンスとか。リッケンバッカーみたいな丸い感じの音を作りたいって相談をした時にそれを持って来てくれて。それは「オフコース」で使ってるんですけど。あぁいうのって普通のベースの柔らかい感覚で弾くと、全然太い音になってくれないんですよね。普通よりはなるんですけど芯がなくなるというか。横に弾くんじゃなくて縦にベッて弾いて。めっちゃマニアックな話なんですけど(笑)

――いやいや分かります、結構サスが出づらいじゃないですか。

中原:アコースティックベースっていうか、コンバスみたいな感じで、どうやってサスを伸ばして、あとはアタック感というか太さ芯を出せるかみたいなところを考えながらやってましたね。3本ですね使ったのは。

――「オフコース」の話はすごくしっくりきました。結構深いですよね。ホロウボディとかコンバスもそうですけど。

中原:完全にカントリー調なんで。

――普通のベース音+深みみたいな、周りの音が鳴ってるので。他の方はどうでしょうか。

松本:マンドリンを弾く時に家でレコーディングしたりとか。

――マンドリンが入っているのは松本さんが弾いたんですか?

松本:家で録音しました(笑)

――マンドリン持っていらっしゃるんですか?

松本:一応借りもので。家でマイクを立てて「こうかな?」って色んな所チェックしながら、「ここが1番良い音がする!」って言って、家で1人で録音ボタンをしてやりました。

――大屋さんは今回使ったのって 335とジャズマス以外で何かあります?

大屋:「オフコース」は335は結局使わなくて、330かな。ハーモニーっていう12弦とか。

中原:大がバッキング弾いていたのはレスポールスペシャルだったり、ジャズマスは使ってないよね、結局ジャガー。

――普通のシングルコイルのジャガーですか?

中原:そうですね。あとストラトです。ストラトが一番多いかもしれない。

松本:今回大活躍でしたね。「涙星群の夜」とかは全部ストラトでやりましたね。

――松本さんは今まで通りムーンギターズですか?

松本:「at (liberty)」はムーンでやったよね。その他は「不死身と七不思議」をレスポールスペシャルでやったのと、「オフコース」は基本僕はアコギだったので。それギブソンの型番忘れましたけど、色々アコギ弾いたけど結局使われなかったとかあったよね。抜いたんだよね。「地球儀」もストラトだったっけ?まぁだからストラトですねほとんど(笑)

――ストラト率が結構高いって事ですね。

松本:そうですね。なのにライブで使っているギターにストラトがあまり存在していないっていう。

大屋:ジャズマスで最近やる時フロントでやるから、似たような事は何となく。

中原:すげぇマニアックな事を話すんですね。そういう感じじゃないと思ってしまって。

松本:『GIGS』とかでしか話さないですよね。マニアックの話しするとすればアンプが結構沢山ありましたね。MARSHALLのJTM45のオフセットていうのと、リイシューかなんかですよね。凄まじく良い音がするんですよ。あとSUPROでしょ?俺が弾いているDevided by 13。あとはVOXの電圧上げて鳴らすっていうのがあって。あと雷みたいな音がするMAGNATONE使ったね。

――めちゃくちゃ使ってますね。

松本:今回5台くらいですかね。

――ベースは普段Ampegですよね?

中原:AmpegのビンテージのB-15とかそのあたりでN・S・Bっていうのがあるんですけど、今回はB-15のNを使ってましたね。でっかいスピーカーが1発ボンって入ってて。その中にヘッドも内蔵出来るっていう。本当にビンテージの面白いやつで。めちゃくちゃいなたい音が出る。俺Lowの音が大好きなんですけど。Low感がすげぇしっかり出る良いものを借りて。大体それてやってますねレコーディングは。

――ドラムは何SETくらい使いましたか?

川口:僕は基本的に1セット、Ludwigしか使わないですね。

――今までもライブとかも通してずっとそういう感じですか?

川口:TECチームからの借り物なんですけど。スネアは結構入れ替えますけど、スネアもLudwigかGRETSCHですね。

松本:サバ使った?今回。「heartbeat」で使ってたよね?

川口:“サバ(鯖)ライド”って呼んでる特殊なPAISTEのライドがありまして。今売ってないんですけど緑の・・・。

松本:緑色なんですよ。キモいんですよ。

川口:勝手にサバってあだ名付けてるんですけど。僕はスネアを変えるくらいですかね。あとはチューニングで全部音変えちゃうっていう感じですね。

――次に音楽的な影響なんですが、皆さんが今影響を受けていたり、コイツらかっけぇなと思うミュージシャンを教えて下さい。

中原:単純にベースが上手くなりたいなと思って、R&Bのベースをよく聴いたりとか、スラップもやりてぇなと思って、ラリー・グラハムとか。ボナも聴くし、そのあたりの人とかを聴いてて。ジャミロクワイが多いですね。本当にベース格好良いんで。この間ベースマガジンにサチモスのHSUさんと対談をやっていて。めちゃくちゃ羨ましくて。あぁいうのを持っておきたいなと思っています。上手くメロディに絡めるし。リズムも作れるから。

大屋:僕は元々高校生の時に好きだった人も、最近改めてアツいみたいなのでラリー・カールトンです。

――335はそっからですか?真っ直ぐ分かりやすいですね。

松本:よく弾いてるもんね、真ちゃん。

大屋:単純だなーって自分でも思うんすけど、正直中学生くらいか高校生くらいの時にRoom335を頑張ってコピーするけど、この人は化け物だと思って。やっぱり20歳を超えたけど化け物だっていう。永遠のテーマ的な神ですね。

――川口さんは?

松本:大喜をオチに使っといた方が良かったかもしれないですね。

中原:メンバー誰でも言えるっていう。

川口:誤解じゃないですけど、何でってなるかもしれないですけど、今1番影響を受けているのはYUKIちゃんじゃないですかね。ドラムなんですけど、ボーカル見ちゃうんですよね。ボーカルの表現だったりっていうものをドラムに取り入れようとしているので。DVDとかもよく見て研究しているんですけど、YUKIちゃん。すごいんですよね、1曲1曲に対する表現が。女性なんですけど、これはやるべきものがあるなと思いながらよく見てますね(笑)

――ボーカルの表現力みたいなところを自分のドラムに活かせるように聴いてるって言う?

川口:このドラマー超格好良いっていうのはもちろんいますけど、最近ここ数年は別にドラマーだからドラマーを格好良いっていうよりかは。歌ありきのバンドって歌が命なんで、ボーカルもいるじゃないですか。

松本:最近こういう事をやりたいなっていうのをやっている人がいて、これを自分なりに鳴らしたり自分で変化させていったりするのは面白そうだなと思っているのは、改めてフォスター・ザ・ピープルがすごい聴けるのと、M83、The1975、友達に教えてもらったプリファブ・スプラウトっていうバンドと、結構幅広いんですけどそっちに行っちゃうと。ザ・フレイっていうバンドとか、コールドプレイですね。事あるごとに感覚は似ているって言われるジェフ・バックリィも最近すごい聴いています。似ているって何なんだろうね、何が共通点かっていわれると言葉にするのが難しい。YUKIちゃん全然いいと思うんだよ俺は(笑)

川口:本当に分かんな良いなと思って。付いていけないんですよ、詳し過ぎて(笑)

松本:結構有名どころを言ったよ俺は。

川口:でも分っかんねぇ。

――アーティストLAMP IN TERRENを構成する要素は様々あると思うんですが、その中で一番重要だと思う3つの要素を教えて下さい。

川口:1番は歌やと思うよ。これはまず皆。

松本:お客さん?お客さんというか総じて人だと思ってるよ。このバンドは「この世の微かな光」っていう意味を込めているんですけど、命の灯火みたいなものが自分の感覚の中であって。遠くから見たら1個の灯火だと、とても小さいのかも知れないですけど。ライブだったり音楽が広がっていく事でその光が広がっていく事で最終的に遠くから見ても大きな光になるようになれば良いなと思ってて。人っていうのが自分の中で結構キーワードになっているなと思います。自分も相手も含めて。人です。あとは、光なんじゃないですか?

――すっきりしました。それっぽいですね。

松本:どの曲にもそれがないと成立しないと思うんですよ。

中原:確かにそうだ。

松本:ですっ!!

――歌・人・光。 では、ライブで1番大事にしている事は何でしょうか?

中原:僕はお客さんです。お客さんと一緒にライブをするっていうバンドとしての精神性でもあるんですけど。僕が1番分かりやすく動きやすいしアイコンタクトっていうかお客さんとコミュニケーションをとりやすい位置にいるので。お客さんとかの声もよく聴こえてくるし。俺はお客さんがいないとステージには絶対上がれない、それは当たり前なんですけど。上がる度胸というか自分の気持ちを支えてくれるのはお客さんだし。お客さんの方が色んな気持ちを持ってライブハウスに来てくれてライブを見るんだけど、その時は俺がお客さんを支えたりとか。その支え合いがライブだと思ってるし。俺は絶対聴いてくれる人が大事です。

大屋:これはプレー的な話になるかもしれないですけど、自分の攻撃的な部分を大事にしている。そもそもたぶんかなり普通の人に比べて引っ込み思案というか、遠慮しがちだったりするんで。けどそれだとお客さんと対話も出来ないし、自分では暴力的なまでに攻撃的になろうと努めてます。ナルシスト的な部分とか、音とか色々攻撃的になろうとはしていますね。

――普段あまり出てこない内面的な部分を、楽器を持つ事で ライブで出していくという感じですね。

松本:作曲する時は船だと思っているんですけど、僕が舵を取って1人で方向を決めているけど皆で船を動かしているっていうのがしっくりきたなと思うんです。ライブだと車なんですよねイメージは。大喜がモーターだったとすると、真ちゃんがたぶん車輪なんですよね。健仁が外装だとして、僕は歯車ですね。その場に1番合う自分をいつも考えている気がします。乗せてあげたいと思うし。お客さんがライブ会場にまで持ってくる気持ちをちゃんと乗せてあげたいなと思うし。聴かせるところは聴かせてあげたいなと思うし。その状況に1番合うように大喜がモーターを調整してくれてて。僕はただそこに同調していくっていう事を結構大事にしているかも知れないです。

川口:自分はひとりじゃないって事を1番意識していますね。お客さんもですけどスタッフも含めてステージ上っていうのはやっぱり何が起こるか分からないし、怖かったりもするし、もちろんそれを乗り越えて楽しいところ目指して頑張っていくんですけど、1人じゃないっていう意識だけっす。

松本:メンバーもスタッフも含めて自分の歌で楽しんでもらったら良いなと思っています。

――今回のインタビュー記事を読んでくれる読者の皆さんに対して、今作「fantasia」のメッセージを松本さんから代表してお願いいたします。

松本:僕らはこのアルバムが良かったって言われる事よりも、このアルバムを聴き終えた後の事の方が大事だと思ってて、アルバムを聴き終えた後やライブが終わった後に、このライブすごい良かったねって言われるよりも、それを観たそれを聴いた聴き手の皆さん1人ひとりのこれからが楽しみになるようなアルバムであってほしいなと思ってて。そういうアルバムが出来たと思っているので、でもなんかこれは音楽っていうのは聴かれないと音楽って言う命が宿らないと思っているのでぜひ聴いてみてください、損はさせません!

――ありがとうございました。

一同:ありがとうございました。

Kohei Murata

Kohei Murata編集長・ライター

投稿者の過去記事

バンド活動を通して、自分の音楽を世界に発信する事を志しながら、同時に仕事での独立を目指して様々な業種を経験する。バンドでは日本のみならず台湾でも活動を行い、台湾でのアルバム2枚のリリースや大型野外フェスティバルへの出演も果たす。
その後、様々な仕事を経験し2015年独立。
現在は音楽メディアOptimanotesの編集長兼ライターとして、記事の執筆をしている。

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