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LAMP IN TERREN – 「fantasia」レビュー:1年9ヶ月振り、待望のニューアルバムを聴いた!

通常盤

通常盤

1年9ヶ月振り。とてもとても長い時間だと思う。その間、LAMP IN TERRENに起こった様々な出来事が詰め込まれた、本当に「待望の」という言葉が似合うような、そんなアルバムだと思う。
全10曲、どこを切り取っても素晴らしい音が鳴っている。そして、松本大の描く歌詞世界が飛び込んで来る。前作「LIFE PROBE」前々作「silver lining」と、全曲歌える程に聴き込んだLAMP IN TERRENの待ちに待ったニューアルバムとあって、僕は再生をする前に一呼吸置いて、心を落ち着かせてから聴き始めた。
そして、初めてこのアルバムを聴いた時から少し時間が経つが、まだ完全に僕の中でこの「fantasia」というアルバムは落とし込めていない。それ程までに進化を遂げ、全曲に対して「名曲だ!」と胸を張って言えるような、そして本当に深い世界が広がっている。
これからこのアルバムを聴く人は、きっとLAMP IN TERRENの進化に、そして深い世界観に飲み込まれ、最後には「光」を見出すのだと思う。

一言で言う。LAMP IN TERREN、1年9ヶ月振りのニューアルバム「fantasia」は間違いなく2017年を代表する名盤だ。

さて、前置きが長くなり過ぎてしまったが、早速アルバムのレビューをしてゆこうと思う。
1曲目、アルバムの幕を開けるのはシングル曲「キャラバン」から。掻き鳴らされるギターのコードが幕を開けるのに相応しい。松本の歌が入ってきた瞬間に鳥肌が立つ。
「魔法の様な唄を唄って 目映い今日を色付けていく あの消えない光に向かっていくよ 魔法がほどけない内に」という歌詞に涙腺が緩む。松本の言葉・声は何故こんなにも僕の心を駆り立てるのだろうか。バンドの演奏も唄に寄り添うように素晴らしいプレイを披露している。大屋の弾くギターの音が素晴らしい。

2曲目「地球儀」。イントロで入ってくるシンセが印象的でLAMP IN TERRENの変化を感じさせる。
1曲目に続き、「唄」というキーワードがとても響いてくる。「僕らなら歌っていけるよ」「今なら飛べるさ音に乗って」そんな言葉達が、自然とLAMP IN TERRENの4人の姿を想起させる。そして、なんと言ってもこの楽曲はギターソロが素晴らしい。何度も何度もギターソロだけでも聴ける程に素晴らしいギターソロ。今作は大屋がメンバーとして初めて全曲にしっかりと参加したアルバムだが、正直このギターソロを聴いただけでも、大屋の存在感やバンドのあり方に変化が起こった事がよく分かる。
土台を支える、中原と川口も前作と比べて素晴らしい進化を遂げている。その時々で一番出てくる歌やギターに綺麗に寄り添いながらも、しっかりとそれぞれの主張を忘れない、そんな理想的な演奏。

続けて「涙星群の夜」。
なんだろう、この楽曲はMVも公開されている今作のリード曲なのだが、もう素晴らし過ぎてどう表現していいか分からない。イントロでいきなり始まる松本の歌も裏のアルペジオも、イントロのギターフレーズも、走るドラムも、ニクいライン取りをしてドラムに寄り添うベースも、その全てが琴線に触れてくる。公開されているMVもとても素晴らしい映像作品に仕上がっているが、楽曲だけでも十分過ぎる程名曲だ。これから先のLAMP IN TERRENに欠かせない楽曲になってゆくのではないだろうか。と感じさせる。
「君が願いを叶えるまで 震える手を引いていたいけど あの流れ星を掴めるのは 他ならない涙の出所 それが美しく見えていたから」
なんて美しい歌詞なんだろうか。松本大の書く言葉は心の柔らかいところにそっと触れてくる。そして、それは僕の涙腺を刺激する。詩人。そんな言葉が本当に似合うボーカリストだと思う。
文句のつけようがない楽曲。

4曲目「heartbeat」。ライブ会場限定と通販でリリースされた楽曲。ここまでの4曲を陰と陽で分けるならば、陰に位置するようなコード進行で始まるので、楽曲が始まった瞬間にハッとさせられる。
「君の心の中で僕は息をしていますか 遠く離れていても 今聞こえる音を手繰り寄せるよ」という願いにも似た歌詞に胸を握られるような、ちょっと苦しくなるような、そんな気持ちにさせられる。
演奏も、アルペジオを基調としながら、ベース・ドラムも抑えながらも内に熱い想いを秘めたような、そんな演奏で楽曲の雰囲気が素晴らしい。それでも「光」を。と求めるような世界がLAMP IN TERRENにしか描けない世界だと思った。

5曲目「innocence」。「亜人」(劇場第二部「亜人 –衝突-」主題歌)として書き下ろされた曲。
個人的にアルバムの中でも松本の歌唱に一番打ちのめされた楽曲だ。「亜人」とリンクするような歌詞の世界、そしてこれでもかとエモーショナルな松本の歌が胸に響く。曲調も他の楽曲と少し毛色が違うように感じる。
書き下ろしだから。という事もあるのかもしれないが、イントロで4つ打ちで入ってくるドラムや空気感を作り出すギターやベースも、他の収録曲よりも緊張感が漂っている。そして、演奏がとにかく難しい。一聴すると、サビなどはシンプルな構成に聴こえるのだが、1曲通して聴いていくと、とにかく演奏が複雑に作り込まれている。
歌詞も「何を選んでも弾かれる日々の先で この目に映っている色はどうだった 疑いようもない程 頭では解っている 絶え間ない定めの中から捉えた色」という部分なんかは、「亜人」にリンクしながらも松本というフィルターを通す事でしか出て来なかった言葉だと思う。
紛れもなくアルバムのフックになる曲だと思う。

「at (liberty)」。とりあえず、ベースとドラムの音がかっこ良い!リズムが印象的な事もあるが、耳をリズムに持っていかれる。ギターは控えめながら、しっかりとこの楽曲の雰囲気を作り出していて、本当にバンドの魔法がかかった楽曲だと思う。
「あれから理想は放り投げたのさ 望むと共に痛むから」というパートのコーラスが印象的に響く。全体的に暗い世界感なのだが、最後の最後「行こう」と歌う松本に救われる。
苦悩の先にある、「それでも」を見事に体現している楽曲だと思う。ラストの松本のシャウトが切なく胸に刺さってくる。

「pellucid」言葉はいらないんじゃないかな。とにかく優しくて切なくて、美しくて、もう泣くしかない。なんでこんなに綺麗な曲を書けるのだろうか。
日常というのは、人間というのは、いつだって心にモヤモヤとしたものを抱えている。そんな当たり前かもしれない事実に優しく寄り添ってくれる歌。間奏のギターが最高に切ない。なんという素晴らしいフレーズ。そこからの転調で、完全に涙腺が崩壊する。
「有りの侭でいられる」そんな簡単そうで一番難しい事を言葉にしてくれる松本の声が心に染みる。何度でも繰り返し聴いていたい曲。

8曲目「オフコース」。今までのLAMP IN TERRENにはなかったような曲調。明るくポップなのだが、どこか切ない。そこら辺にLAMP IN TERRENのDNAがしっかり混じっていると思う。
「当たり前なんか要らなくて だけど変わることも怖くって 当たり前じゃなくなった途端に 大切だなんて言わないように」
「当たり前なんか要らなくて だけど変わることも怖くって 当たり前じゃなくなった今はもう ただそれを信じたくもなくて」
という歌詞にとても惹かれた。なんだろうか、松本大という人間に少し触れられたような気がする、そんな温かな言葉達が沢山詰め込まれている。

恐らく、アルバムでもう一度やって来たフックになる楽曲「不思議と七不思議」。楽曲自体はとても明るい。演奏もとても綺麗でハープシコードの音が印象的に鳴っている。
サビのリズムもとてもポップでアルバムの中でも、かなりシンプルな作りをしている。イントロや間奏のギターフレーズもとてもポップだ。
そんな演奏の中で歌われる「科学ではもう解き明かさているらしい不思議 君と繋ぐこの手だけが知る僕の不思議」。そもそも、この楽曲の歌詞の発想に魅了される。日常と世界の不思議と退屈と、そんな中にあるちょっとした「光」と「不思議」。そんな事が描かれている。
特別な事なんてないかもしれない、でも退屈な繰り返しの日常も、その全てが愛おしくて特別なのかもしれない。君と繋ぐ手が知っている不思議。そんな素敵な世界。

アルバム最後「eve」。大切な日の前日。
「明日はいつも特別な日 まだ知らない世界に触れる ぼくの日」
「たとえ世界が瞬く間に終わるとしても いつだってきみは輝き続ける 過去より今より明日よりもずっと ぼくの側で息をするみたいに」
イントロの打ち込みのフレーズから引き込まれる。ベースインが印象的で、その後に入ってくるドラムを引き立てている。まるで全楽器で一緒に歌っているような演奏。
LAMP IN TERRENのこれからも示すような、LAMP IN TERRENにとっての「eve」でもあるような、そんな事を考えさせる曲。バンドが全体で入ってくると、凄くLAMP IN TERRENの音になるのだけれど、それでもやっぱりこの曲は楽器全部で歌っているような気がする。
きっと、彼らにとっても大切な曲なんではないかな。と勘ぐってしまう。
唸りながら動き回るベースがカッコ良い。本当に良い曲。最後に相応しい。終わってほしくない。と思いながら最後を迎え、アルバムの余韻がいつまでも続く。この曲を最後に持ってきた事に拍手をしたい。最高のアルバムの終わり方だと思う。

全10曲、本当に本当に捨て曲なんて存在しないし、全曲を名曲と呼びたい。1年9ヶ月待って良かったと心から思う。LAMP IN TERRENの描く世界に触れられる幸せを噛み締めながら、何度も何度も繰り返し聴いている。そして、何度聴いても涙腺が崩壊する。
なんて素晴らしいアルバムを作ってくれたのだろうか。僕はこのアルバムに完全に恋をした。勿論、これから先のLAMP IN TERRENの事が楽しみで仕方ないし、ライブを早く観たい。でも、今はこのアルバムを聴き続けていたい。と思う。
10曲が終わっても、まだまだ聴き足りなくて何度も何度もリピート再生してしまう。

松本・大屋・中原・川口。この4人だからこそ作れた名盤。冒頭にも書いたが、本当にどこを切り取っても素晴らしい瞬間しかないし、どこを切り取っても間違えようもなくLAMP IN TERRENの音だし世界だ。

2017年、このアルバムを届けてくれた事に最大の感謝をしながら、これから先もずっと大切に聴き続けたいアルバムがまた1枚出来たと心から嬉しく思っている。

LAMP IN TERREN「地球儀」Music Video

LAMP IN TERREN 「キャラバン」 MusicVideo

LAMP IN TERREN「涙星群の夜」Music Video

LAMP IN TERREN 劇場2部「亜人 -衝突-」主題歌「innocence」


Kohei Murata

Kohei Murata編集長・ライター

投稿者の過去記事

バンド活動を通して、自分の音楽を世界に発信する事を志しながら、同時に仕事での独立を目指して様々な業種を経験する。バンドでは日本のみならず台湾でも活動を行い、台湾でのアルバム2枚のリリースや大型野外フェスティバルへの出演も果たす。
その後、様々な仕事を経験し2015年独立。
現在は音楽メディアOptimanotesの編集長兼ライターとして、記事の執筆をしている。

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