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King Gnu – 「Tokyo Rendez-Vous」レビュー

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King Gnu『Tokyo Rendez-Vous』である。
何がって、Srv.Vinciから改名後初となるアルバムがついにリリースされたのだ。突如バンド名の改名を発表、同時に楽曲『Tokyo Rendez-Vous』の発表。その発表は僕の中であまりに衝撃だった。出音一発目で持っていかれた。少なくとも、僕が知る限りここ最近の日本では全く聴かなかった肌触り。

それからしばらくして、『Vinyl』の発表。ここでもまたふっ飛ばされた。音もMVの映像も何もかも最近日本にはなかった新しい音楽。
そんなKing Gnuが満を持してアルバムをリリースとの事で、早速聴いたのでレビューをしてゆこうと思う。

先に書いておくと、King Gnuの音楽は本当にジャンルレスだ。ロック・ヒップホップ・ソウル・ジャズ・テクノ・現代音楽と、これでもかとジャンルを横断し飲み込んだ後に吐き出されたような音楽。これは、小澤征爾の楽団にも在籍をしていた鬼才音楽家、そしてKing Gnuを引っ張る重要人物「常田大希」の才能が爆発した結果でもあると思う。そして、周りを固めるメンバーも一癖も二癖もあるミュージシャンが揃っている。だからこそ、完成したアルバムなんだと思う。

1曲目『Tokyo Rendez-Vous』
King Gnuの狼煙を上げる一曲。アルバムタイトル曲でもある。ベースの印象的なイントロから、オールドスクールなドラムのリズムに、常田のラップが印象的に響く。そして井口の高音ボーカルが冴える。Tokyo Underground。そんな言葉がよく似合う新世代ストリート・ミュージック。昨今の日本の音楽シーンではCity Popが台頭を表し、一つのムーブメントを作っていたが、あきらかにKing Gnuの音楽はその中でも異質である。この音楽になんてジャンルをつければいいのか、そもそもジャンルなんてものは関係ないのではないかと思わされる。
強靭なリズムに印象的なラップと歌、攻めて来るギターサウンド。これだけあれば何も必要ない。そんな事を思わされる。

2曲目『McDonald Romance』
ジャジーなピアノが印象的なイントロからタイトルにもある通り「McDonald」=「安い」というワードが頭に浮かぶような歌詞。シンセによって80sの音楽を彷彿とさせるが、King Gnuの個性はぶれない。1曲目同様ジャンルレスだ。艶っぽいボーカルが素晴らしい。短い曲ながら、その中毒性は十分過ぎると思う。

3曲目『あなたは蜃気楼』
笑い声から始まるこの楽曲は、ゴリラズの音楽にも通じるようなミクスチャー感覚がある。メロディはJ-Pop感がある。演奏はここまで書いてきたKing Gnuの個性・中毒性を失わない。際どく新鮮なバランス感覚で鳴らされるポップネス。ニューミュージック。そんな感覚を受ける。

4曲目『Vinyl』
恐らくアルバムで最大のキラーチューン。イントロのワウの効いたギターから持っていかれる。拍子の組み方が面白い。そして、アルバム中一番オールドスクールなドラムにスクラッチ、井口の艶っぽい歌声が響く。そして、サビで悩殺される。カッコイイ、、。感想前の合唱で歌われるパートも印象的だ。
ギターソロはこれでもかとキレキレだ。その後の歌戻りの演奏が最高の出来。嫌でも身体が動く。こういう曲をキラーチューンと呼ばずに何をキラーチューンと呼ぶのか。
最強の曲。

5曲目『破裂』
ストリングスが印象的なバラード。リズムもアルバム中唯一ダウンテンポで気持ちが良い。
ボーカルも素晴らしい。サビのストリングスが楽曲を盛り上げる。ちょっとBeatlesなどにも通じるものがあるな。と思った。サイケデリック感を感じさせる。
全ての楽器が優しく、聴いていて優しい気持ちになる。

6曲目『ロウラブ』
ギターのカッティングが曲を引っ張る。そして、ベースラインが1曲通してとても印象的な楽曲。
サビでシンガロングしたくなるような楽曲だと思う。ところどころ、フリージャズのような演奏パートが差し込まれていてグッとくる。
ヴィブラートを聴かせたギターソロが堪らない。

7曲目『NIGHT POOL』
ウォン・カーウェイの映画からインスピレーションを得て作られたというこの楽曲は、アルバム中一番艶っぽく色気があり、エロスを感じさせる。
演奏もやや控えめでチルアウト出来るような音像。ハイトーンのボーカルが心地いい。
アルバム後半にこういう曲が入っていると、自然と最後に向かう感覚を植え付けられて良い。

8曲目『サマーレイン・ダイバー』
アルバム最終曲、そしてライブの最後に演奏される曲としても、King Gnuの代表曲の1曲と言っていいと思う。
「”Dance dance, anyways, it’ll work.” she says.」という歌詞の歌唱がゴスペルのようでとても印象的だ。オーケストラと生楽器のバランスが渋い。これぞKing Gnuの真骨頂と言わんばかりの激渋い曲。
最後の最後に最高に気持ち良くさせられる。アルバムの最後を飾るのにこれ以上ない程相応しい曲。

アルバムとしては8曲入りはやや少なく感じるかもしれない。
けれど、聴き終わった時に物足りなさなんて1mmもない。大満足の8曲だ。そして、King Gnuとしての最初のアルバムにして最高傑作。そんな事を思う。
確実にシーンに新しい風を送り込む、新しい音楽。こんな音楽に出会えて僕は純粋に幸せだと思った。

台頭しているCity Popsに一石を投じるアルバム。音楽ファンみんなに聴いてもらいたい。
凄まじく純度の高い芸術音楽。だが、Popである。誰でも聴ける音楽に仕上がっている。

これからの音楽シーンに確実に根付き、存在感を常に光らせるバンド、それがこのKing Gnuだと僕は確信した。
誰も無視出来ない。その答えがこのアルバム『Tokyo Rendez-Vous』には詰まっている。

少し興味を持っている人も、全く知らない人も是非アルバムを手にとって欲しい。
そんな事を考えながら僕はアルバムをまたリピートする。

やはり最高だ。

Kohei Murata

Kohei Murata編集長・ライター

投稿者の過去記事

バンド活動を通して、自分の音楽を世界に発信する事を志しながら、同時に仕事での独立を目指して様々な業種を経験する。バンドでは日本のみならず台湾でも活動を行い、台湾でのアルバム2枚のリリースや大型野外フェスティバルへの出演も果たす。
その後、様々な仕事を経験し2015年独立。
現在は音楽メディアOptimanotesの編集長兼ライターとして、記事の執筆をしている。

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