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ポルカドットスティングレイ – 「全知全能」レビュー

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福岡を拠点に何かを企む、4人組ギターロックバンド『ポルカドットスティングレイ』、ついに待望のメジャーデビュー、そして1stフルアルバム『全知全能』のリリースだ。
インディーズ時代に公開されたMVはトータルで2,000万回という破格の再生数、そしてライブを発表すれば即完売という規格外のスケールでインターネットを中心にバズり続けてきた大本命バンド。
僕は、過去のライブも観てきたし、音源も全て聴いてきた。今作『全知全能』にはそんな過去の楽曲も全てリテイクで再収録されている。
まずは、そこから触れていきたいのだが、僕の最初の感想は「この短期間で何があった!?」というものであった。過去発表された音源もそれはそれはカッコイイものだったのだが、今作収録のリテイクされた既発楽曲『テレキャスター・ストライプ』『人魚』『エレクトリック・パブリック』『夜明けのオレンジ』『シンクロニシカ』『ポルカドット・スティングレイ』という楽曲群は、もう全く別物と言ってもいい程進化している。よりキレのある演奏、バンドアンサンブル、力強さや繊細さ、様々な要素が飛躍的に向上しており、「知っている曲を聴いている。」という感覚に陥らない。全く新しいカッコイイ楽曲を聴かされている気分になった。

恐らく、ライブツアーなどを通じて楽曲の完成形を見た事、メンバー其々のスキルが上がった事が要因なのだと思うのだが、この短期間でこれだけ成長するバンドを僕は久しく観ていなかったし、今後のポルカドットスティングレイが確実に日本の音楽シーンの中心に食い込んでいく事を予感させるものであった。

さて、今作は14曲入りという大変ボリュームのあるアルバムなのだが、既発曲6曲を抜いても8曲の新曲が収録されている。そして、この新しい楽曲群がまた素晴らしい。Vo. & Gt.の雫が書く楽曲はより洗練されたメロディライン、癖のあるコード進行によって、ロック・ポップの新しい扉を叩いている。

1曲目『テレキャスター・ストライプ (全知全能 ver.)』
この楽曲は説明はいらないかもしれない。YouTubeでMVが公開されるやいなや700万回の再生数を超えた、彼らの代表曲だ。
MVは全て雫のディレクションによって作られている。この楽曲がバズった事が彼らを一気にここまで押し上げたと言っても過言ではない。
自然と身体が動いてしまうようなテンポ感のある楽曲。

2曲目『BLUE』
キレの良いリフで進んでいく新曲。言葉の詰まったメロディが印象的。サビで一気に開けるのが気持ち良い。
アレンジが秀逸で、とてもバンド感のある楽曲だと思う。

3曲目『人魚 (全知全能 ver.)』
艶っぽい演奏で始まるブルージーな楽曲。雫のボーカルも全体的に艶っぽい。
ベースとドラムがしっかりと土台を支えながら、ギターも艶やかなオブリを聴かせる。「恋の仕方も知らない」という歌詞が印象的。

4曲目『フレミング』
「24年」という言葉がキーワードになっているような気がする楽曲。歌詞が全体的に印象的で、 Vo. & Gt.雫の事を歌っているのかな?と考えさせる。
とても大人っぽいサウンドの楽曲。ウォーキングベースとギターのカッティングが気持ちいい。

5曲目『エレクトリック・パブリック (全知全能 ver.)』
既発曲の再録音バージョン。とにかくポップで踊らせてくれる楽曲。
イントロのギターが印象的、且つ1回目のサビ後のアレンジの変化が素晴らしい。これぞバンドアンサンブル。という楽曲。

6曲目『サレンダー』
ボーカルとギター1本から始まる楽曲。シンプルだからこそ、いきなり歌の強さが引き立っていて引き込まれる。雫のボーカルがとても力強い楽曲。
メロディラインのリズム感。語感が最高に気持ちいい。
どの曲でも言える事だが、ギター・ベース・ドラムのバランスが本当に良いな。とここまで来て思わされる。音作りから演奏の純度まで、本当に素晴らしい。

7曲目『夜明けのオレンジ (全知全能 ver.)』
「もしも僕が教祖になったなら」という印象的な歌詞で幕が上がる代表曲の1曲。ギターサウンドが既発音源よりも印象的になったな。と思った。
彼らのアレンジ力の高さに驚かされる1曲でもある。本当に様々な引き出しを持っているのだな。と感じる。

8曲目『顔も覚えてない』
レーベルメイトの「ヤバイTシャツ屋さん」が参加している楽曲。ヤバTもクリエイションの面白さで今のシーンを席巻しているバンドだが、この2バンドの組み合わせはとてもしっくりきた。
曲は攻撃的なのだが、途中で入ってくるネタのようなパートでうまくバランスが取れていて、あくまでゴリゴリに攻めすぎないあたりがとても良い。
エジマハルシのギターソロが前面に押し出され、大声パートなどとても楽しめる。

9曲目『ジェット・ラグ』
とにかくポップ。アルバム中一番ポップなのではないかな。純度の高いポップ・ミュージック。
バンドアレンジも比較的シンプルに組まれていて心地いい。

10曲目『シンクロニシカ (全知全能 ver.)』
アルバム中で僕が一番好きな既発曲。のっけからカッコよくてふっ飛ばされる。ギターのキレが凄い。そこへ乗ってくるボーカルがまた最高。
ライブでのキラーチューン。ベースとドラムもこれでもかと主張してくる。ここまで全パート主張してバランスが取れている事に驚きつつ、胸が高まる。
サビでリズムが変わり、とても艶っぽくなる。

11曲目『極楽灯』
ミドルテンポバラード。タイトルと良く雰囲気が合っていると思う。
ボーカルが前面に出ており、歌詞がとても自然に入って来る。「小田急線」というワードがとても良い。アルバムここまで、こういった楽曲がなかったので、とても聴き入ってしまう。素直に良い曲だ。

12曲目『ショートショート』
ギターのリフで疾走する曲。4つ打ちのドラムも印象的。段々とバンドのアンサンブルが変化してゆく。歌に寄り添いながら戦っているようなギターパートが気持ちよく飛んでくる。本当に変幻自在なバンド・サウンド。芯はしっかりしているのだけれど、どこかチャレンジングなアレンジをどの曲にも盛り込んでいる。という印象で、ここまできても全く飽きさせない。

13曲目『レム』
出だしのリヴァーブとディレイの効いたギターが綺麗。これぞポルカドットスティングレイとでも言うべきポップネス。爽やかなギターサウンドとポップなメロディ、しっかり土台を支えるリズム隊。そして、やはり楽曲の中で何度も変化するバンドアンサンブル。Violinのクリープハイプ・長谷川カオナシもとても良い仕事をしている。文句の付け所がない楽曲だと思う。

14曲目『ポルカドット・スティングレイ (全知全能 ver.)』
自らのバンド名を冠した既発曲。随分と以前のバージョンと演奏が変わった。
アコースティック・ギターに、雫の英語の語りから始まる。留学していた雫の英語が気持ち良い。ちょっとボサノバっぽい雰囲気。ゆらゆらと身体を揺らしたくなる。
静かにアルバムの幕を下ろす、最後にぴったりな楽曲。自然と気持ちも落ち着いてゆく。

全14曲、本当にボリュームがあるのだが、聴き終わってしまえばあっという間で、またリピート再生してしまう。
これがメジャー1stフルアルバムというのを疑いたくなる出来。最高の良盤。今までのポルカドットスティングレイが全て詰まっていて、それでいて、これからのポルカドットスティングレイも予期させるような素晴らしいアルバムだ。名刺代わりには、あまりに素晴らしい出来だと思う。

引き続き、これからもポルカドットスティングレイはインターネットでバズられてゆくのだろう。ただ、今回のこのメジャーデビューでメディアへの露出も増えると思うので、きっかけがあれば、一瞬で日本を代表するようなバンドへ成長する絵も見えてくる。

なにはともあれ、このアルバムがシーンに投下される事は日本の音楽界に何かしらの刺激を与えるだろうな。と思わされた。
これからの彼らの活躍がますます楽しみになった。

来年になると、このアルバムを引っ提げた全国ツアーが始まる。
今からツアーがどんなものになるか楽しみで仕方ない。きっと、凄まじい熱気の会場になるのだろう。
このアルバムを聴いて、そんな想像が止まらなくなった。

既にファンの方は勿論、ポルカドットスティングレイを知らなかった人達にも是非聴いて欲しい、そんな素晴らしいアルバムだ。

Kohei Murata

Kohei Murata編集長・ライター

投稿者の過去記事

バンド活動を通して、自分の音楽を世界に発信する事を志しながら、同時に仕事での独立を目指して様々な業種を経験する。バンドでは日本のみならず台湾でも活動を行い、台湾でのアルバム2枚のリリースや大型野外フェスティバルへの出演も果たす。
その後、様々な仕事を経験し2015年独立。
現在は音楽メディアOptimanotesの編集長兼ライターとして、記事の執筆をしている。

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