近藤晃央「相言葉」アーティスト写真※1028am1000解禁

[Interview] 近藤晃央 – デビュー5周年シングル『存在照明』と6年目最初の楽曲『相言葉』に迫る!

今回はデビュー5周年を迎え、9月にアニバーサリーシングル『存在照明』をリリースし、来る11月22日に6年目の第一弾楽曲『相言葉』を配信リリースする近藤晃央さんにインタビューを敢行した。近藤さんへのインタビューは過去にも行っているので、未読の方は是非読んで頂きたいのだが、相変わらずとてもスマートでいて、人間的に深い方だと思わされた。
言葉の選び方、話し方から、彼の聡明さが滲み出ているようなインタビューであった。それは、きっとこの文章の中からも読み取れると思っている。
デビュー6周年目を迎え、これからの益々の活躍に期待せざるを得ない、そんなシンガーソングライター近藤晃央さんの今の生の言葉を楽しんでもらえたらと思う。


邑田航平(Optimanotes編集長)

近藤晃央「相言葉」アーティスト写真※1028am1000解禁

――本日はよろしくお願いいたします。まずメジャーデビューから5周年という事で、おめでとうございます。5周年の記念シングル、『存在照明』の方からお伺いしていきたいと思います。5周年記念シングルというアニバーサリーシングルなんですけれど、5周年を迎えるにあたって『存在照明』という曲の歌詞であったりイメージみたいなものを沸かして作っていったという感じですかね?

近藤:元々は去年のアルバムを出した頃くらいにキャンペーンを回っている最中にアニメのタイアップのお話を頂いて、結果的に最後の最後で決まらなかったんですけれど、それ用に作った曲だったんですよね。それを一旦お蔵入りさせた状態でストックの中に入れていたんですけれど、5周年でCDを出そうという話になった時に、元々『存在照明』というタイトルだったんですけど、これをちょっと作り直したいという事で。
元々タイアップ用に作るものって基本的にフルコーラスを作らずに、ワンコーラスを作ってそのまま置いといちゃったりするんで、ワンコーラスしかない状態だったんですけど、ちょっと作り変えて、良い所は残して、改良するところは改良して、という感じですかね。どちらかというと5周年をテーマに作ったというよりは、元々この楽曲には、「押しのけてでも行く」みたいな、何か推進力みたいなものがあったので、むしろ過去の自分に引っ張られながら作り直したっていう感じですかね。

――ストックが沢山あった中で、5周年を迎えるにあたって『存在照明』の出来ていた部分というのがマッチするかなというところから引っ張ってきたっていう感じですか。

近藤:引っ張ってきた理由は、今の自分と1年以上前に作った作品がたまたまダブったっていうのもあるんですけど。

――ちなみに楽曲自体なんですけど、近藤さんの中ではかなり攻めた感じのバンドアレンジだと思っておりまして、そこら辺っていうのはストックとしてあった状態から、テンポ感だったりとか、作るのであればああいうバンドの結構激しめなアレンジにするっていうイメージはあったんですか?

近藤:そうですね、楽曲の方向性としてはやっぱり最初のタイアップの話が大きくて、元々オープニングテーマ的な感じでアッパーなものを求められていたので、最初からそういう状態だったので手を加えてはいないですかね。最初デモを作ったアレンジの段階から足されたものは弦を足したくらいで、バンド感はデモの段階からああいう感じでしたね。

――ストリングスのアレンジとかが、今回江口亮さんと組んでいらっしゃると思うんですけど、江口さん節のストリングスが入ってかなり盛り上がりがあるなと思って聴かせて頂きました。

近藤:デモを作っていた段階で、バンド感みたいなものは結構テンポ感とかも含めて強かったんですけど、僕的にはそれプラスアルファ何かもう1つ欲しいな。みたいなところで、江口さんはシンセがいんじゃないかって言っていたんですけれど、ただ、シンセを入れて、よりバンドサウンドで派手にするっていうよりは、結構ここに生ものを入れたらいいなっていう、それがちょっとシンガーソングライター感覚みたいな感じで。
逆にアニソンっぽくなっちゃうんじゃないかって江口さんは心配していたんですけど、元々アニソンとして作ったんだったらそれもそれでいいんじゃないかという感じで(笑)

――そうですね、確かに今言われてみるとタイアップの話であったりとか、アニソンの話っていうのを聞くと、そう聴けない事もないかなという感じには確かになっているなと思います。

近藤: 1サビがテンポもずっと変わっていないので、1サビが終わった「ダーン」ってちゃんと89秒で終わっているので、その辺は最初そういう話ありきで作りはじめた楽曲ならでは。頭サビなのもそうですし、っていうところは結構ありますかね。

――歌詞とかに関しては、これも近藤さん節だなと思ったのは、『存在照明』の照明が実際の照らす明りの照明になっていたりっていうところから結構面白い歌詞になっているなと思って読ませて頂きました。この『存在照明』4曲入っていらっしゃるかと思うんですけど、DVD盤は3曲ですかね?
4曲入りの通常盤の方聴かせて頂いたんですが、4曲ともシングルのタイトル曲にしても良いんじゃないかと思うくらい良い曲だなと思っておりまして。
個人的に2曲目の『ベットインフレームアウト』がかなりぐっと来まして、これはすごい大人な曲ではあるんですけれど、視点がすごい面白いなと思いまして、あんまりこういう視点で書かれている歌詞の曲って世の中にあまりないんじゃないかなと聴かせて頂いて。
近藤さんは男性な訳なんですけど、歌詞が女性視点で全部書かれているじゃないですか。これを作るにあたって女性視点で描いていこうと思ったきっかけは何かあるんですか?

近藤:直接的な事を書くつもりだったので、何かしらフィルターはいるなと思ったんですよね。
異性ってだけでフィルターが立っているので、結構思い切った事も言えるというか、多分これ同じ内容で女性が歌ったらより重くなると思うんですよね。なので、それを芸術として捉えてもらうか愚痴として捉えてもらうか、そこは紙一重だなと思っていて、それを音楽っていう芸術として捉えてもらうにはフィルターが必要だなと思ったんで、異性というだけで聴いてもらう方からしても、客観的・女性視点の曲を歌っているけど歌っているのが男性であって、作ったのが男性っていうだけで結構フィルターになるというか、そういう意味合いが強かったですかね。

――確かに今、女性が歌っているところを想像してみたんですけど、女性がこれを歌っていると確かにフィルターがないですもんね。

近藤:そうですね、本当に経験談みたいになるのかなと思うんですけど。

――聴いていて、近藤さんの声で歌われていると何かその物語っぽくなるというか、多分今仰っていた「男性が書いて男性が歌う事によってフィルターになる」というところだと思うんですけど、なので結構すっと入ってくるというか、すごく尖っているんですけれど、嫌みなく聴けたなという感じがします。あとは単純にメロディーが素晴らしいなと思いました。

近藤:最近はあまりこういう曲がないですからね。昔の昭和歌謡のヒット曲って歌詞がエグい事を言っていたりするんですよ、直接的な言葉を、吐いていないけどそれを連想する言葉とか。昔の方が歌詞の題材に対してすごく直接的だった部分があるんで、今時代が変わってあまり直接的な事をあえて避けるようになってきたのもあると思うんで、それは時代の変化だと思うんですけど、そうやってフィルターを通せばまだそういうものって表現出来る事が沢山あるかなって思うので、それが上手く出来た曲なのかなって思いますし。あと、ネタにしてもらう事が多いですね、やっぱり。「なんでこういう曲を作ったんですか?」とか。

――結構周りの方から突っ込まれたりいうのが多いですか?

近藤:そうですね、食い付き具合が。例えば、「これいい曲だよね」とか言ってくれる事ってもちろん今までも沢山あったんですけど、「良い曲だよね」じゃなくて「これ何?」みたいな食いつき方が面白かったすね。特にやっぱり女性と男性の視点って分かれるので意見が違いましたね。

――実際こういう場面とか繋がり方みたいなものって世の中的にあると思うんですけど実際に。不倫とか浮気だったり、そういうものってあまり表現しないというか、表に皆さん出さないじゃないですか、当たり前ですけども。なので、何となくそのあまりおおっぴらに言う事ではないみたいな現状に今はなっているなというところで。

近藤:直接そこまでの単語を使うってなると、多分僕もどこかしらストップがかかってたかなと思うんですけど、何かそこに直接辿りつかず、体の関係=心みたいなところが、イコールであったりイコールじゃなかったりみたいな、うまい距離感を表現出来たら、良い意味で直接的な事を言っているようで、かといって間接的な事が多いっていう絶妙なバランスを目指したつもりではあるんですけど。

――すごく個人的な話ですけど、すごく絶妙なバランスだと思います。なので、気に入って何回も聴いているんですけど(笑)
次に『ひとつになれないことを僕らはいずれ知ってゆくよ』という曲ですね、これは僕正直この4曲の中で1番良い曲だと思っておりまして、単純にメロディーとして。メロディーとコード進行が秀逸だなと思って聴きました。
これも何度も聴かして頂いたんですけど、この曲に限らず最後に入っているもう1曲の『めぐり』も含め、以前お伺いした時に過去の自分に何かを語りかけたり、あまり直接的にダイレクトにリスナーの方にメッセージを発信するっていう事をそこまでしていないっていう事を確か仰っていて、やっぱりそこに何かしら一個フィルターを通して、それが過去の自分であったりとか、別の何かであったりするところに落とし込む事でより伝わるんじゃないかっていう事を確か仰っていたと思うんですけど。

近藤:そうですね、多分人に対して、「あぁだよ」「こうだよ」っていうのが僕が聴く立場だったらアドバイスに聴こえるというか、それって言い方変えたら下手したら偉そうに聴えるかも知れないみたいなところで、説得力は自分の中にしかないから、自分に響いたものを他人に共有してもらうんじゃなくて、共有したいって言った人が自分のものになればいい。みたいな感覚では確かにあるので。
ライブとかはまた別物なんですけどね、目の前にいる人達に対してっていう感覚があるんですけれど。楽曲を作る時の視点でいうと対人であっても、その反対側にいるのは自分であったりとかっていうのがやっぱり多いですね。

――その『ひとつになれないことを僕らはいずれ知ってゆくよ』という楽曲にしても最後に入っている『めぐり』にしても歌詞に関してはやっぱりそういう感覚で書かれているという感じですかね。

近藤:作っている時期が全然違うのであれなんですけど、「ひとつになれないことを僕らはいずれ知ってゆくよ」は今年の春先くらいに作って、「めぐり」は8年くらい前に作った曲なので、全然作っている時期が違うので、単純に比較は出来ないんですけど。
あと、無理やり光を見出す事があまりないので。ただ、かといって暗闇は暗闇のままでっていうそういうものを描いても…いい楽曲ももちろんあるんですけれど、アーティストとしてやるからには 1/100でも少し光を見出した状態で作品づくりは出来たら良いなと思うので。
光がないわけじゃないですけど、でも楽曲を作るっていうのは本当にある種思ってもいない事を書くと歌っている時シラけてくるっていうのがあるので、その分すごい前向きだねっていう楽曲はあまり作ってこなかったはずですけれど。しっくりくるなっていう作り方の中で出来たタイプの、特にその曲はそうですね。

――今仰って頂いた事を私も感じていて、前作のアルバム『アイリー』とかもそうなんですけど、その頃からずっと無理くり光を見出していくような歌詞っていうのはあまり書かれないなというイメージはあるんですね。ただ、直接的に光を見出すような歌詞を書かない事によって逆説的に光が見えてくるというか、誰もが結局持っているネガティブさっていうのがやっぱり人なので、人生の中で皆さん持っていると思うんですけど、そういったところに刺さってくる、何か柔らかいところに触れてくるような事を言ってもらう事によって逆にそこがすっきりしてくるというか、そういった意味で1パーセントの光かもしれないですけれども、結果的に光っていうのがやっぱり内包されているんじゃないかな。というのはすごく近藤さんの楽曲を聴いているとよく思う事です。

近藤:個人的には全部色が違うので比べられないんですけど。本当に1曲目に持ってきてもいい曲だったなというか、当初から思ってたんですけど。

――ちなみにこれは編曲・アレンジも近藤さんがやられたんですよね。

近藤:そうですね。元々生でレコーディングするっていうのは前提だったので、各パートはもちろんミュージシャンにお願いしたんですけれど、基本最初作った時から大げさには変わらず、結果的に今回録りはビクタースタジオでやったんですけれど、すごく環境的にも良かったので、編曲が良かったというよりは単純にプレイヤーも、ライブで一緒にずっとやってきたメンバーにお願いしたので理解も早かったですし、「こういうふうにしたい」みたいな、バラードだけど決してナチュラルにしたいわけではなくてとか、「近藤君がやりたいのってこういう事だよね?」と分かってもらうのが早かったですし、ちゃんと忠実に再現してもらったなっていう感じはあるので、レコーディングも編曲に関してもすごくスムーズにやれたなと思いますね。

――アレンジに関して言うと、私の方で思ったのはすごくシンプルだなっていうところですかね。何か過剰なアレンジが入っていないというか、シンプルなアレンジなので、この楽曲って韻を踏むところがすごく印象的に響いてきたり、より歌が全面に出てきて、なのでメロディーが私的に4曲の中で1番良いなと思って聴いていて、そのメロディーラインっていうのもすごく表に出てきていたので、本当に素晴らしい曲だなと思いました。
最後『めぐり』なんですけど、こちらは8年前という事で本当に初めて楽曲を制作した頃ぐらいの曲ですか?

近藤:そうですね、1番最初に3曲くらい同時進行で作ってたんですけれど、その内の1曲っていう感じですね。

――それを今回5周年のシングルにボーナストラックではありますけど、入れようと思ったきっかけは?

近藤:僕は正直言うと入れようと思っていなくて、レーベル的に5周年という対比みたいなものを入れたいっていうので。結構初期に作った曲ってやっぱり時間が経っているので、僕的にはクオリティーが低いとは思わないですけれど、やっぱり作風として作り方も含めてやっぱり今の方が良いなって圧倒的に思うので。古い作品をわざわざ引っ張ってこようっていう感覚はあまりないんですよね。もちろん新しければ良いってものでもないんですけれど。なので本当に対比っていう形で入れた、もちろん歌っているのは今の自分なのでそこまで並べて聴いてみると大差ないように思うんですけれど、作り方としてはやっぱりちょっと今の自分とは違うなって、悪く言えば未熟だなとは思います。

――普通に聴いていると、やっぱり今のレコーディングで作り替えているというところがあると思うので、自然と聴けてしまう感覚はあったんですけど、ただ近藤さんの中では未熟だなっている点が中にはいくつかあったりするんですかね?

近藤:そうですね。

――それも含めて、その対比として表に出して聴いてもらうっていう。

近藤:何かその最新と最初っていう。

――今伺った話を元に、11月22日に配信リリースされる6年目の第1発目の楽曲ですね、『相言葉』についてお伺いしたいんですが、まず歌詞の作り方が面白い作り方をしてるじゃないですか?単純に楽曲を作るというプロジェクトで動いていたかと思うんですけれども。そもそもこのプロジェクトをスタートするにあたって近藤さんもそのプロジェクトのスタートから入って決めていったという感じなんでしょうか。

近藤:そうですね、テーマは僕自身が決めさせてもらって、窓口を広くするっていうのが最初の目的ではあるんですよ。窓口を広くするっていうのは、やっぱり早々に体験出来ない事を募集しても、難しいテーマを掲げて、そもそもメッセージが届くのか?っていうのがあったので、やっぱりシンプルなものっていうのを募集したいっていうのは関わっている人間の共通の見解ではあったんですね。
ただやっぱり、テーマがシンプルになってくればなってくる程、逆にそれが自分の作風に合うのか、みたいなっていうのも若干思ったんですけど。
ちょっとそれは聞いてみない事には分からないっていう感じだったので、すごく分かりやすいテーマとして「ひとりじゃないと思った事」っていうのを募集したんですよね。
結構僕の作風として、特に歌詞に関しては割と難しいといわれる事が多いので、そういう窓口を広く設けたからには出口も広くないと意味がないだろうなというところで、かといって思ってもいない事を書いたら自分がシラけるって言うのもあるんで、結構どうなるか分からないまま始まったんですけど。
いざ募集してみたら、もちろんすごく美しいエピソードとかもあったんですけど、大体ひとりじゃないと思っている人間って孤独だと思っている人間なんですよね。ひとりじゃないって気づいた瞬間があったとしても、それまでずっと孤独だったりとかしていて自分が思っていた程そこまでキラキラしたものではなかったんだなっていう。
ひとりじゃないって言ってしまえばすごくシンプルなんですけど、それに至るまでの経緯とか大体1人じゃないって気づく瞬間ってそれまで孤独だったからそう思ったっていうのがあったので。思い返せば僕自身も結構そうですし。ひとりじゃないっていう瞬間って確かに言葉にしてしまうとすごくシンプルで分かりやすいテーマではあるんですけど、いざ頂いたエピソードとかを読んでいると、やっぱりそこまでシンプルなものではないものが多かったので、それをそのまま描こうかなという感じでしたね。

――結構私の中で歌詞を書いて歌う方というと、メッセンジャーたるべくというか、やっぱり何かしら表にメッセージを発する人というイメージがあるんですね。その発し方というのもは様々だと思うんです。先程の『存在照明』の4曲に関しては私の中でずっと持っていた近藤さんのイメージ通りといいますか、何かやっぱりひと癖あるなという歌詞の書き方というイメージだったんですね。なので色んなフィルターを通して、客観的に書かれたものであったり共感を呼んでいくというような歌詞が多いな。というイメージであったんですけど、近藤さん自身も1人で戦っているっていう孤高の存在ではないですけど、1人ですごい戦ってらっしゃるシンガーソングライターというイメージを勝手に抱いていたんですが、今回のプロジェクトの楽曲を初めて聴いた時に「がらりと変わったな」っていうイメージがありまして。
ただ今仰っていたみたいに全然思っていない事を書いていてもシラけてしまうっていう部分を鑑みた時に、この歌詞が書けた事というのは、やっぱりエピソードが200通以上届いたという事で、そういったエピソードから何か影響を受けて少し近藤さんの中に変化があったのかなというイメージを持っていたんですけども、そこら辺はどうでしょうか?

近藤:「孤高の存在」っていうのを自分で言うのもあれかなとは思うんですけど、やっぱりメンバーがいる訳じゃなくて自分で活動している中で、日々の孤立感とか孤独感というのは大いにあると思うんですけど、必ずしも同じ立場ではないんですけど、かといって音楽活動をやっていく上で常に1人かって言ったらそうでもない訳じゃないですか?
そもそも今回「ひとりじゃない」と思った事っていうエピソードを募集するっていうところに結論として出せたのは、タイミングもあって。
ちょうどこのプロジェクトが動き始めたのが7月だったんですけど内容を話し合っているのが6月くらいで、その時レコーディングをやってたんです。
『存在照明』のレコーディングやっている時に、限られた予算の中で色々工面をしなければいけないところが沢山あったんですけれど、そういうのをメンバーも江口さんもそうですし、全て愛情で補ってもらったような感覚だったんですよね。「お金じゃないよ」、みたいなところで。頼む前にそうやって言ってくれる人達がいるっていうのはすごく恵まれた事だなと思いますし、その関係性って今から始まった事ではなくてデビューの時から積み重ねてきてそういう環境にいるっていう事は、すごい恥ずかしいんですけど「ひとりじゃない」と思いましたね、やっぱり。
全く同じ立場の人間で気持ちを分け合うっていうのは、もちろんソロのミュージシャンである限りは永遠に出来ない事なのかも知れないですけれど。
かと言って、まるで自分の事のようにやってくれる人達が、たぶん元々いたんですけど、改めてそういうのを目の当たりにすると、1人でやっている、孤独だって言っている自分が寧ろ馬鹿らしくなってくるというか。そういう気持ちにもなりましたし、あとそれこそ以前コラボしたダイスケとかも、あの時はコラボ企画を一緒にやってましたしたけど、元々友達なので、たまに会ったり近況報告してきた時とかに、励まそうとはしてないんですけど、弱っている事を言うと怒ってくれたりもしますし。常に1人じゃないって事は難しいですけど、共有しようと思えば共有してくれる人がいるし、それを感づいてくれる人達もいるし、それで1人ぶっているのが逆にちょっと「カッコ悪いな」と思う事も結構沢山あるので、そういう意味で、タイミング的に今だったらこの題材を書けるかもっていう自分の中の説得力はありましたかね。
もちろん頂いたエピソードっていうのは、それぞれヒントにはなっているんですけれど、今回はあくまでもエピソードを募集するっていう事で、歌詞を募集した訳ではないんですね。
なのでその人達の物語と自分の物語で同じ接点があるものを誰にでも当てはまるように書ければな。というのが一番理想的だったので。なのでエピソードは正直拾い切れていないかもしれないです。結局僕が歌う事になるので、その200通りあったエピソードの中で、すごい綺麗なエピソードを聞かせてもらったなと思ったとしても、楽曲の中で落としどころが分からなかった物も、もしかしたらあるかもしれないです、具体的にそれがあったとは思いませんけど。もしかしたら自分の中で無意識にそういうふうに思った物も、もしかしたらあるかもしれないけれど、基本的にはやっぱりそれを自分の細胞の一部にして書いていったっていう感じですかね。

――最初に楽曲を聴きながら歌詞を見ていたんですけども、私にしてもすごくリンク出来るというか、人間であれば皆誰しもリンクする部分がこの楽曲の中にはどこかしらあるんじゃないかなっていう事を思いまして。
例えば一個例を取ると、「逃げたっていいよ」という歌詞があると思うんですけど、「逃げたっていいよ、あの日の言葉になぜか僕は勇気をもらったんだ」というこの一節だけを取っても、例えば今は何かすごく大変な事に直面していて、それをしんどいながらもやっている方がいたとした時に、「逃げたっていいよ」って言われると何か楽になると思うんですよ。
実際にここではそれを言われた事によって逆に向かう勇気をもらったっていう表現ですけど、逆に本当に逃げたっていいのかなと感じていたりとか、ここで書かれている事というか近藤さんの書いた歌詞もあるんですけども、それをまた違う捉えをして救われるというか、色んな取り方が出来るフレーズが沢山盛り込まれているなと思いまして。なので今までには無かった救いが沢山詰め込まれた楽曲だなという印象を抱いています。

近藤:でもそれは本当に「逃げたっていいよ」ってどこかのエピソードに書いてあったのかと言われると書いてはいなかったんですけれど、基本的に殆どのエピソードの共通点として、殆どが「マイナスの共有」だったんですね、辛い時言われた言葉とか、しんどい時に側にいてくれた人とか、孤独だと思った時に待っててくれた人とか。多分その人達も本当は、一緒に楽しい事をした友達とか、笑い合った瞬間とか、本当は沢山あると思うんですよ。
でも「そういうエピソードを下さい」といった時に送ってくれるのは、どちらかというとマイナスの共有みたいな感じの話が多かったんですよね。
それをすごく短くまとめたら、どういう事なんだろうって考えた時に、全体的に僕が描きたいのは涙を共有する人と笑い合うところが芯になってくるなっていうので、全定的にそれをちりばめたような感じがしますね。

――確かにそうですね。「ひとりじゃなかった」っていうワードなんですけども、ひとりじゃなかったのメタファーって結局孤独じゃないかなっていうか、出発点が。

近藤:「ひとりじゃなかった」って言い換えたら2人以上だったって言う事なんですけど、ひとりじゃなかったっていう言い方をしている時点で1人だったって思っているって事ですからね。

――なのでそういうものが内包されているテーマなのかなという。

近藤:皆さんから頂いたものを全部そのまま書いていくと、もちろん文字数がすごい事になるので、一旦全部飲み込んで、これを纏められる言葉をなんだろうなって考えた時に1人の主人公が言われた言葉として分かりやすいものを選んでいたという感じですかね

――今主人公という言葉があったんですけど、この楽曲の主人公がいるとして、その主人公ってきっと辛い思いも色々しながらも最終的にきちんと人の事をちゃんと信じられるというか、人って感情が揺らぐものなのでネガティブになる事もあればポジティブになる事もあれば、という波をずっと持ちながら生きているのが人だと思うんですけど、そういった波であったり、ただ、そこの中で信じていく事だったり、人の良心みたいなものっていうところまで、意外と読んでいくと深く描かれているような気がして、すごく綺麗な歌詞だなと思っているんですけど。なのでフックになっている「綺麗事は本当は綺麗なままでした」っていう歌詞だったり、そういったところに、そういう部分が現れていて、とてもいい歌詞だなと思いますね。なので近藤さんの中でもターニングポイントになる1曲なのかなという気がしていて。楽曲自体バラードとしてこちらの曲もメロディーも素晴らしいですし、歌詞がスっと入って来やすいっていうところもあったのでより多くの人に届いてほしいなと思いながら聴かせて頂きました。

近藤: メロディーに関しては、本来は同じメロディーのところのお尻3文字とか母音を揃えたいタイプなんですけど、今回はあまりそういうのは優先しなくて、書きたい事を素直にはまれば良いなっていうところで書いていたので、作り方としては昔の頃に近いような感覚でしたね。
僕はあんまり歌詞優先のタイプではないのでメロがあって後から歌詞書くタイプなので、響きというのは重要だなと思っていたんですけど、今回は歌詞を先に作った訳ではないんですけど、メロに対して母音がそろっていなくても、そのままはめていったという感じだったので。最近には無かったタイプの曲だなとは思いますし、 ある程度分かりやすさみたいなところは重視したのかもしれないですね、無意識に。

――9月に『存在照明』が出ているんですけど今回11月、2ヶ月しか空いてないんですが、その2ヶ月間で出たこの『存在照明』と今回の『相言葉』がすごく良い意味でものすごく対比的な楽曲達だなと思いまして。

近藤:そうですね、全然違いますね。

――タイプが全然違うというところで『存在照明』の中の4曲も全然タイプが違うんですけどそこも含めシンガーソングライターとしてすごく幅広さですかね、懐の広さもそうなんですけど。

近藤:どうなんですかね?あんまり色んな事をやり過ぎると良くないっていう話ですけどね(笑)

――僕は逆に何か新しいものを見せてもらえている感覚だったので。リスナーって2タイプいると思うんですよ、自分が好きな楽曲の似たタイプの物をずっとやり続けてもらいたいっていう人と、どんどん色んな引き出しを開けて違う近藤さんを見せてもらった方が魅力的に見える人っていると思うんですけど、後者の方がどっちかって言うと、『存在照明』の4曲と『相言葉』って、その5曲だけでもアルバムを聴いた感じというか、すごくお腹いっぱいになったというか。
「こんなのもあるんだ、こんな姿を見せるくれるんだ」っていうところで、すごく単純に楽しめました。突き刺さった言葉も、涙腺の緩むような場面も沢山ありましたし、トータルで良い5曲だなと私的にはありました。

近藤:5年を積み重ねてきた中で、1年じゃ分からない事はさすがに分かってきたりとか、もちろん5年でも分からない事はありますけど、自分の作る音楽というものを欲してくれる人の傾向として、全員が一緒ではないですけど、ある程度似ている部分もあります。
僕もそうなんですけど、物事をシンプルに捉えられないとか複雑に考えてしまう、別にそれが間違っているとかではなくて言葉を選ばなければ捻くれているとか、同じではないですけど、そういう傾向があるなと思うんすね。
出口の広い曲を作りたいってなった時に、その人達を納得させられる出口の広い曲ってなんだろうって考えたら、あまりにも根拠のない言葉を連ねて作っても、ただの王道バラードで終わってしまうような気もするんですよね。言い方を変えれば、僕自身がそういうところがあるので、自分自身が響けば結果その人達も何かしら響いてくれるのかな…みたいな期待感のもと作った王道バラードという感じですね。

――それはでもすごい事ですよね。ちょっと取り方を変えれば、近藤さんが近藤さん自身を信じて出した出口の広い曲っていう捉え方も出来ると思うので。たぶんそこは近藤さんの強さかなと思います。今回11月22日、『相言葉』をリリースした後に、12月からワンマンツアーが始まるという事で、名古屋・大阪・東京ですかね?ストリングスを入れてアコースティックバンドでやられるという事で、こちらはリハーサルとかは始まってらっしゃるんですか?

近藤:まだこれからですね。

――何かイメージとか沸いたりしているんですか?

近藤:9月に5周年のライブをZeppダイバーシティーでやったんですけれど、その時はバンド+ストリングスという形で、どちらかというとバンド映えする楽曲を中心にお届けはしたんですけど、そのライブを見に来てくれた色んな人に言われたのが、「弦との相性がすごくいい」っていう事を言ってもらって。
今年の3月にもブルーノートでライブをやった時に、ワンマンライブだったんですけど、自ら企画したライブじゃなかったんですよね。ブルーノートにオファーをもらってやったライブだったんですけど。なので、チケットの金額をおおよそブルーノートの標準に合わせたんですね。今の自分で正直6000円台のライブって、総合的にはやっぱり高かったので。6000円台のライブって何が出来るんだろうなって考えた時に、普段入れないカルテットを入れてみたのが最初だったんですよ。
元々のレコーディングの時点で弦が入っている曲がめちゃくちゃ多いので、それをライブでやれるって言うのはすごく贅沢なんですけれど、やっぱり生で見る機会としてあまりなかったので。しかもカルテットで。
なのでそれをもう1度やりたいなっていうところが主なきっかけだったんですよね。
今回はアコースティックバンドっていう9人編成でやるんですけど、ブルーノートの公演も踏まえて、ダイバーシティのライブも踏まえて、アコースティックになると自然と歌の居場所ってすごく広いので、音は多いんですけどボーカルに対して周りの楽器がそれに寄り添ってくれるような形でお届け出来る、それぞれ好き嫌いはあると思うんですけど、たぶんバンドが好きな人にとっても、ある種スペシャル感を提供出来るライブにはなると思いますし、元々アコースティックの方が好きだっていう人ももちろんいるので、そういう人からしても「アコースティックでここまでやれる」っていう空間にもなると思います。今回着席にしたのでオールスタンディングじゃなくて。なので、本当にゆっくり聴いてもらえるなと思いますね。

――東京キネマ倶楽部とかも席を用意してという感じですね。

近藤:そうですね、キネマ倶楽部は去年ツアーをオールスタンディングでやったんですけれど。同じ会場ではあるんですけれど、全然別の空間にはなるかなと思いますね。最初ブルーノートだったって事もあって、本当はビルボードとかっていうのも考えたんですけど、結構ハードルも上がってしまうので、自分達で工夫出来る会場を選んだっていう感じだったんです。

――では最後にこれからリリースされる最新配信シングル『相言葉』について、これから聴いてくださる方々へ何かメッセージを頂ければと思うのですか。

近藤:まず、そうやってエピソードを共有して楽曲を書くっていう事は初めてではなかったんですけど、企画としてすごい久々の感じだったので、本当に沢山色んな話を頂いて。
歌詞を募集する企画ではなかったんですけれど、かといってこの歌詞が自分ひとりでは書けなかった。エピソードを送って下さった方々は、結構面倒くさい事だと思うんですよね、それをわざわざ送ってくれるって。普通の日常会話の中だったらポロっと出てくるかもしれないですけど、その手間をちゃんとかけてくれて、あのエピソード送ってくれたので、まずその行為自体にすごく感謝したいなと思いますし、だからこそちゃんと共有出来る、今までの曲でもちゃんと共有出来ているんですけど、自分達のものだけでは終わらない様な、出口をやっぱり広くしたかった曲なので、誰にでも聴ける曲にしたいっていうのが最終目標でした。でも、かといって当たり障りないかなって言われたら、割とそんな事もなくて、ちゃんと捻くれている人にも響くように。自分自身が響いているから多分そういう事で、なので本当に色んな人に聴いてもらいたい楽曲になったなとシンプルに思うので、何かそういう広がりの一部になっていったら、自分にとってもそうですし、エピソードを送ってくれた人も、送ってくれたけど実は相手に対して恥ずかしくてそんな事は言えないみたいな事もあると思うので、改めてあんな事あったなって思い出すきっかけのシンボルみたいになってくれたらなと思いますね。

――「きっかけのシンボル」いいですね。本当に言葉がとても力強くて間口も出口も広くという楽曲だと思うので、たぶん沢山の人に愛される楽曲だと思うのではないかなと信じております。では本日はここで終らして頂こうと思います、ありがとうございました。

近藤:ありがとうございました。

近藤晃央「相言葉」配信ジャケット写真※1028am1000解禁

■近藤晃央 ONE MAN TOUR 「damp sigh is sign」 
前売りチケット料金 6,800円 全席指定

12/1(金) 名古屋ダイアモンドホール 18:00開場 19:00開演
12/2(土) 大阪バナナホール      17:00開場 18:00開演
12/8(金) 東京キネマ倶楽部      18:00開場 19:00開演
http://t.pia.jp/pia/artist/artists.do?artistsCd=99180001

■「相言葉」ダウンロードはこちらから(11/22(水)~配信スタート!)
配信リンク

Kohei Murata

Kohei Murata編集長・ライター

投稿者の過去記事

バンド活動を通して、自分の音楽を世界に発信する事を志しながら、同時に仕事での独立を目指して様々な業種を経験する。バンドでは日本のみならず台湾でも活動を行い、台湾でのアルバム2枚のリリースや大型野外フェスティバルへの出演も果たす。
その後、様々な仕事を経験し2015年独立。
現在は音楽メディアOptimanotesの編集長兼ライターとして、記事の執筆をしている。

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