ぼくりり

ぼくのりりっくのぼうよみ – 「Fruits Decaying」レビュー

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ぼくのりりっくのぼうよみ、3rdアルバムがリリースされた!
1stアルバム「hollow world」2ndアルバム「Noah’s Ark」とリリースしては世間を騒がしてきた彼の3rdアルバムとあって、早速聴いてみた。
まずは一聴。率直な感想としては、ぼくりりの音楽性の幅の広がりだ。今作ではSOIL&”PIMP”SESSIONSと2曲コラボをしている。
それも、アルバムの1曲目と最後の曲という重要な位置で。前作「Noah’s Ark」の最終曲『after that』はニコラ・コンテとのコラボで話題になった。今作は、その先にあるようなアルバムだと思った。
SOIL&”PIMP”SESSIONS節のトラックにぼくりりのラップ・歌唱がうまくハマっている。

着実に音楽的に前に進んでいる。そんな印象を植え付ける名盤だと思う。

1曲目『罠 featuring SOIL&”PIMP”SESSIONS』
前述したSOIL&”PIMP”SESSIONSとのナンバー。ホーンセクションやウッドベースが印象的なトラックにより艶っぽくなったぼくりりのラップと歌唱。リリックもトラックに合うような大人な仕上がりになっている。サビの歌が非常にポップで素晴らしい。
1stアルバムの頃、歌唱よりはラップの印象が強かったぼくりりだが、今作で歌唱とラップは五分五分にバランスされ、より洗練されたと思う。

2曲目『朝焼けと熱帯魚』
1st,2ndの雰囲気を引き継いだようなナンバー。
曲を引っ張るエレピの音が印象的で、打ち込みのトラックにぼくりりの素晴らしいメロディとラップが絡む。トラックは、もはやぼくりりの盟友とも呼べるササノマリイが担当している。前作の『Be Noble』1stの『CITI』に引き続き、これまた相性が良い。ササノマリイのシングルにぼくりりが参加したりと仲を深めてきたからこそ実現出来たような楽曲だと思う。お互いの良いところをきっとお互いに分かっているんだろうな。と思った。

3曲目『Butterfly came to an end』
アルバムの中でも、特に声・歌唱が艶っぽいと感じた。デビュー時は高校生だったぼくりりの大人な姿が目を瞑ると想像出来るような秀逸な楽曲。
R&B歌手さながらの素晴らしい歌唱。デビューと同時に各所で話題となりヒットを飛ばしたぼくりりの心情を歌っているのかな?と勘ぐるような歌詞が印象的だ。

4曲目『For the Babel』
イントロでいきなり驚かされた。今までになかった手触り。スラップベースと早いBPMで突き進むロックな1曲。
終始攻めるようなトラックと、その上で自由に飛び回るように歌うぼくりり。力強いリズムトラック。ぼくりりの新たな魅力が爆発した楽曲だと思う。

5曲目『SKY’s the limit』
CMソングにもなっている楽曲なので、もう耳慣れた人は多い楽曲かな。
季節は冬だけれど、とても夏が似合うようなトロピカルな1曲。鮮やかなトラックに爽やかなメロディ。この楽曲も、ぼくりりの新機軸だと思う。1stでファンになった人は少し驚くような良い変化が聴ける。
「Sunrise 光包まれて~」から始まるサビがとにかく印象的に鳴り響く。心が洗われるような爽やかさ。

6曲目『playin’』
古いBarで流れていそうなジャジーなイントロを抜け、クラブサウンドとラップが始まる。この楽曲は1st,2ndに通じるものがあると思った。ぼくりりの得意分野という感じがする。間奏で、またスイングするトラック。ジャズとクラブを行き来する気持ち良いトラックが素晴らしい。ここまで6曲聴いてきて思うのは、ぼくりりが本当に大人になっているというところだろう。
無理に大人ぶるわけではなく、素直に大人になっている。そんな印象を受ける。良い成長感。

7曲目『つきとさなぎ』
ここで、もう1曲ササノマリイとのコラボ。しかし、異常な程相性が良いな、この2人は。2曲目『朝焼けと熱帯魚』もそうだけれど、ササノマリイの作り出す哀愁と切なさを内包したトラックとぼくりりの声は本当に素晴らしい組み合わせを聴かせてくれる。
トラックに引っ張られている部分もあるのかもしれないが、ササノマリイとのコラボ楽曲のリリックは、より哲学的に感じる。リリックの深さが他の楽曲に比べて強い。それが、またトラックとの相性の良さを深め、聴く者の心に飛び込んで来る。
素晴らしいの一言。

8曲目『たのしいせいかつfeaturing SOIL&”PIMP”SESSIONS』
アルバム最後の楽曲にして、SOIL&”PIMP”SESSIONSとのもう1曲のコラボ楽曲。1曲目『罠 featuring SOIL&”PIMP”SESSIONS』とはまた違った雰囲気の落ち着いたトラック。メロウなリズム、ウッドベース、ホーンセクションがたまらない。気持ち良い。語りかけるように歌うぼくりりの歌唱も素晴らしい。
アルバムを締めくくるのに最高のコラボ曲だと思った。こんなに耳を気持ち良くさせてくれる楽曲でアルバムが終わる事で、アルバムもう一度最初から。と思ってしまう。

全8曲。アルバムとしてはやや曲数が少ないかもしれないが、満足度。という点で言えば全く問題がない。全8曲、とにかく表情を変えて新しいぼくりりの世界を見せてくれる。これは魅了される。
1stアルバムの衝撃は今でも忘れない。あれは衝撃そのもの、モンスターのようなアルバムだった。有り体だがそれがまだ高校生という事もあって、とにかく驚いたのを鮮明に覚えている。そして、2ndが出た時には、一気に洗練された事、1stからの変化、その世界観の広がりを感じさせ、幸福な気持ちにさえなった。
そして、今作3rdアルバム「Fruits Decaying」は、ジャンルなんてものに縛られない自由さ。音楽の楽しさ、感動、遊び、深さ、そんなものが内在しており、芸術音楽へ昇華していると感じさせた。

2ndまででファンになった人達はもちろん大満足する出来のアルバムだと思う。更に、今までちゃんと聴いた事がなかった新しいリスナーの心も掴めるようなポップネスがアルバムに散りばめられている。
このアルバムでぼくのりりっくのぼうよみは、また一歩未来へ足を踏み出した。そんな事を感じさせる3rdアルバムだと思う。

騙されたと思って、この文章を読んでいる人みんなに手にとってもらいたい。そんなアルバムがまた1枚完成したな。と思った。

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Kohei Murata

Kohei Murata編集長・ライター

投稿者の過去記事

バンド活動を通して、自分の音楽を世界に発信する事を志しながら、同時に仕事での独立を目指して様々な業種を経験する。バンドでは日本のみならず台湾でも活動を行い、台湾でのアルバム2枚のリリースや大型野外フェスティバルへの出演も果たす。
その後、様々な仕事を経験し2015年独立。
現在は音楽メディアOptimanotesの編集長兼ライターとして、記事の執筆をしている。

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