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[Interview] CIVILIAN – メジャー1stフルアルバムにして、大傑作『eve』をリリースした彼らの今に迫る!


※このインタビューは11月21日に行われたものです。

今回は11月22日に、ついに待望のCIVILIANとしての1stフルアルバム『eve』をリリースしたCIVILIANのメンバー3人に話を聞いてきた。
彼らへのインタビューは今回で2回目になるのだが、相変わらず音楽に対して真面目で真摯で、それぞれが個性の塊のような魅力的な方達だった。『eve』収録曲についてはもちろん、すでに始まっているワンマンライブツアーやレコーディングについても様々な話を聞けた。
正に、今この瞬間のCIVILIANをそのまま切り取れたようなインタビューになったのではないかと思う。是非、このインタビューを読んで、CIVILIANの生の声を確認してもらいたい。


邑田航平(Optimanotes編集長)

CIVILIAN_メインアー写

――本日はアルバムがリリースになるという事で、アルバムの内容を中心にお話をお伺い出来たらなと思っております。アルバムが完成されたのは結構前だと思うんですけれど、完成された時の気持ちというか、「これでパッケージの完成だ」ってなった時の純粋なお気持ちみたいなものを1人ずつお伺い出来たらなと思います。

コヤマヒデカズ(以下:コヤマ):レコーディングが全部終って、そのあとミックスを1曲1曲確認しながらやってもらって、最後にマスタリングをしたのですが、マスタリングが終わった瞬間に「やっと今までずっと待ち望んでたものが出来たな」って気持ちの7割はそう思っていたのと、これは別にアルバムに限った事じゃなくていつでもそうなんですけど、制作が一段落して改めて聴き直したり、ミックスがどんどん上がっていくのを聴いていると、どうしても次にやりたい事がどんどん浮かんでくるので、残りの3割くらいは完成した瞬間に早く次のアルバムが作りたいと思っていました。

純市:やっと出来たなっていう気持ちがあったんですけど、ツアーに向けてずっと考えていましたね。これはライブでどう超えようかなみたいな、カッコよくどう聴かせようかなっていう自分の中でイメージになってましたね。

有田清幸(以下:有田):素直に長かったなっていうのが1番の感想でしたね。実際にレコーディングに入ってからはほぼ1年くらいだったと思います。アルバムリリースまで空いていた前の期間から考えると、ずっと出したかったものが形になって、出来上がった時にそれまでも曲に対しても向き合ってばっかりでがむしゃらにやっていたので、全部出来上って並んだ後にふと長かったなと思ったんですね笑
じわっと来たというか、こんなに長い事作ってる気持ちになった事ないなって、そう感じてたんだなと思って無意識に。なので安堵というか達成感ももちろんあるんですけど、1番は安堵っていうか、ああ良かったって、ようやく出来たっていう。

――では次にアルバムの入りのところ聴きたいんですけど、そもそもアルバムを作ろうってなった時に何かテーマとかは最初にあったんでしょうか?

コヤマ:僕らがCIVILIANに名前を変えた時から“アルバム”の4文字は頭にあったと思うんですよ。アルバムを出したい出したいって思っていて。それと名前が変わる前のLyu:Lyu時代に本来であればLyu:Lyuとしてのセカンドアルバムを出している予定だったものが、僕らが出せなくなってしまったりとかしていた経験があったので、名前が変わった瞬間からアルバムっていうのは何となく意識としてあったと思うんですよ。でも最初に本当にありがたい事にタイアップの話を頂いていたので、それでシングルを切る事になって、そのシングルを切りつつ、アルバムの事っていうのはずっと水面下で進んでいる感じで。例えば「何々をテーマにした」とか「何々をコンセプトに」っていうんじゃなくて、僕らの積年のというか、Lyu:Lyu時代からずっと出したくてしょうがなかったものを、その時点から1曲ずつコレを入れたいっていう風に大事に選んでいって、それが集まったのが今回のファーストアルバムという感じです。

――聴かせて頂いて、『eve』というタイトルも含め、意外とコンセプトがあるように感じられたところがあったんですけど、最初はコンセプトは全然なしで、前から出したかったものをどんどんレコーディングをしていって、タイトルっていうのは最後の方に付いたものですか?

コヤマ:タイトルは1番最後に付けました。

――タイトルを付けた事によって意味合いが出てきたとか、纏まりが出たとかそういったところってありますか?

コヤマ:1曲1曲でもそうなんすけど、タイトルって1番最後に付けるタイプで。画竜点睛っていうじゃないですか?要するに、絵とかだったら描いていたものとかに、最後にダルマに目を入れる感じというか、そういう思いがタイトルを付ける行為自体にそういうイメージがあって、アルバムのタイトルを付ける時も、曲が全部出揃って、それからじゃないと付けられないなって思いはあったので、出揃った曲達を1曲目からずっと聴きながら色んな事を考えていたんですけど、1番最初に話したような、このアルバムって僕らにとって本当に僕らの歩んできたものというか、その時その時作っていた音楽達とか、もっと言えばその曲を作っていた当時の自分達の気持ちだったりっていうものが結構歴史みたいに入っていたりするアルバムだったので、それにふさわしい言葉を何か単語ひとつで言い表わせるものはないかなとずっと探していて、それで最終的に辿り着いたのが『eve』って言う単語だったので、それでタイトルが付いて完成して、初めて僕らにとってもこのアルバムがどういうアルバムなのかがはっきり定義されたみたいなところはあったかもしれないですね。

――深読みなんですけど、『eve』っていうタイトルは前日とか、何かのイベント事の前日みたいな意味合いがあると思うんですけど、そのタイトルが本当にぴったり来るなと思ったのが、最後14曲目はボーナストラックで『メシア』が弾き語りで入っているかと思うんですけど、アルバムとしては13曲目で本編終わりと思っていて、13曲目に入っている楽曲、『明日もし晴れたら』の最後の歌詞だったり、明日に繋がるものっていうところで、またループして1曲目の『eve』に繋がっていくみたいな取り方も出来たりとか、結構深読みが出来る色んな部分があるなと聴かせて頂いていて。タイトルの事はちょっと聴きたいなと思っておりました。
全曲聴いていくと時間が足りないので、ピックアップして色々聴きたいんですけど、これはどうしても聴きたかったのが、3曲目の『残り物の羊』で、「羊」っていうワードがコヤマさんのSNSの昔のアイコンだったり、インスタグラムも羊だったりとか、結構羊っていうワードが何か深い意味合いがあるのかなと感じており、例えば村上春樹における「羊」とか「羊男」だったり、「羊たちの沈黙」のトーマス・ハリスさんにとっての「羊」の意味合いだったりとか、メタファー的なものがコヤマさんの中にあるのかなと思って聴いていたんですけど。

コヤマ:いまだにまだ聴かれた事がない質問ではあるんですけど、例えば『残り物の羊』の「羊」って僕自身の事ですか?とか例えば聞かれたとしたら、決して僕自身の事を歌った歌ではないですね。書いた原動力というか、この曲の歌詞を書いた原因になったものっていうのは違うところにあるんですけど。ただ羊っていう動物の習性とかも関係しているというか。羊って主体性がないっていうと人間界での話なんでわからないんですけど、羊って1匹がどこかに行くと皆わけも分からずガーって付いて行っちゃうんですよ、その1匹に。何か動物をモチーフにしたものを書きたいなと思っていて、自分の存在も含めた世の中の人達の一部分を切り取ったような歌を作りたいと思っていて。だんだん書いているうちに所謂「羊」の動物としての習性だったり、僕自身の「羊」の何となくのイメージだったりがこの曲に1番登場させるのが合っているなと思ったのでそれで「羊」を登場させたという感でしたね。

――「羊」って言うと本当に先程言っていた1匹行くと付いていくみたいなのって、キリスト教徒下でも所謂救世主みたいなものが引き連れていく信徒達の事を「羊」になぞられていたりという存在なので。人畜無害というか、戦ったりしないという事で、村上春樹の世界でいえば孤独感だったりネガティブさみたいなところを羊のお面をかぶる事によってそれを無垢な存在に、自分を安全なところに守っていくみたいな意味合いがあったりすると思うので。なのでそういうところと多少リンクしたようなところがあるのかな。と思って聴かせて頂いて、是非聴きたいなと思っておりました。
次に、1曲目に入っている『eve』の途中で語りが入っているのですがセリフは聴きとれなかったんですけど、サウンド的に初期のWarpっていうイギリスのレーベルのエレクトニカ的なサウンドっぽいなと思ってアンビエントワークスみたいなところをすごく感じまして。あそこで鳴らされているピアノであったり打ち込みのバスドラであったりっていう全体的な楽曲の雰囲気が、このアルバム全体を通した危うさだったり不安さだったりとかそういったマイナス面みたいなところの奥にあるモヤっとしたものを浄化してくれるようなサウンドになっているなと思っていて、それもあってさっき最後の曲を終わった後にもう1回そこに戻ってくるんじゃないかっていう深読みをしたんですけども、あそこでそれだけ綺麗なサウンドを作ったっていうのはどういった意図で?

コヤマ:僕がこの『eve』で1曲目に作ったのは納期ぎりぎりで間に合わないかもっていうくらいのタイミングだったんですよ。『eve』以外の残りの曲っていうのは全部曲順も決まっていて、あとはオープニングのテーマを付けるか付けないかだけという状況だったんです。どうしてもやりたいなと思っていて。やっぱり『eve』っていうタイトルを付けた時からずっと考えている事で、本来であればもっと早くから色んな音楽を皆に聴いてもらっていたはずが、僕らの力不足もあって、曲がなかなか出せなくて、ライブしか出来なくて、みたいな凄くもがいてた状況が過去にあって、そこから色んな事に踏み出したりチャレンジして今2017年の僕らがいるわけじゃないですか。それって感覚的にはいつまでたっても明けない前日の夜中をずっとループしているような気持だったというか、「いつになったらその日に辿り着けるの?俺らは」みたいなそういう出口の見えない感じがずっとあって。その時に作っていた曲もやっぱり入っているんですよね。そこから名前を変えて、今現在の新しく蒔いた種がやっと芽を出し始めみたいな感じの曲達も全部入っているので、アルバムの1曲目っていうのは明けなかった前日の夜の前日譚みたいなものを短い曲で表現出来たらなっていう思いもあって、僕にとってこの1曲目のインストっていうのはずっと彷徨っていた夜のイメージというか、そういうイメージではありました。

――次に、『どうでもいい歌』なんですけど、これは今までになかったアプローチかなと思って聴かせて頂きました。歌詞通り明るいコード進行でそのまま演奏されていて。そのままいくのかと思いきや途中からはちゃんとCIVILIAN節になっていくという楽曲だと思うんですけど、この曲が結構分かりやすく歌詞にCIVILIANぽさが出ているのかなというのを感じたんですね。それがどういうところかと言うと、色んな楽曲で感じる事なんですけど、「それでも」みたいな、何かがあってマイナスな事があって、こんな事が人には嫌な事があったりするけども、でも「それでも1歩踏み出す」っていう最後の希望じゃないですけど、そういったものがどの曲にでも内包されていて、それがストレートにこの楽曲に出ているのかなというのを感じて聴かせて頂いたんですけど、実際この楽曲の歌詞を書く時はどんな感じだったでしょうか?

コヤマ:この曲が出来た時期的にはLyu:Lyu時代の曲で、書いた歌詞もその時書いたものからほとんど変えてないです。中の言葉使いは多少変えてるんですけど、でも本当にこの曲を作った時は本当にふざけた歌だと思って作っていたんですよ。こんなに良いって言われる事は想定してなくて。クソだなと言われると思って作っていたんです。上等だと思って作ってて、本当にどうでもいいし、誰も救わないし、余計な御世話な曲だなと。でもそれもCIVILIANになってから、こうやってちゃんと届く歌としてパッケージング出来たっていう事自体が、僕らが成長してきた証なのかなって思った事もあって、そういう意味ではすごく色んなバランスが取れた歌になったんじゃないかなと思いました。

――次に、『言わなきゃいけない事』、これに限らず全体的にCIVILIANの歌っていうのは突き詰めていくと他者とのコミュニケーションの歌が多いのかなと思っています。それが全面的に出ている曲かなと思って聴いたんですけど、コヤマさんが歌詞を書く上で他者とのコミュニケーションみたいなものっていうのは楽曲を作る時にどうしても軸に持ってくるものなんでしょうか?

コヤマ:そうですね、歌を作る時に昔からそうだったんですけど、僕にとって歌に出来そうな題材って逆に言えばそれしかないような気もしているっていうか、地球上に沢山人が生きていて、それぞれ暮らしているわけじゃないですか?でもそれぞれ自分が見たものの中で生活しているわけで、自分と関わる人の中でしか生活していないわけじゃないですか?という事は、例えば僕にとってのこの世界の全てっていうのは僕と関わっている人との関係こそが世界の全てであって、そこで例えばそこじゃないことで起きている出来事だったり、どっか遠くの国でテロが起こって人が死にました。とかそういう事ってニュースとしてはもちろん知りますけど、僕の生活とは直接の関わりは無いじゃないですか、それって。だから自分にとって1番リアルな事って結局関わりの中でしか分からないなと思っていて、歌うってなるとそこの事にどうしてもなっていっちゃうんですよね。どこかの誰かも分からないテロの事とかってどうしても歌えないんです僕は。どうしても人との関係になっちゃうなという気持ちはあります。

――そこでよりパーソナルな部分が出ているって言うところではあるんですかね。では、1回曲から離れまして、今回のレコーディングなんですけど、使ったそれぞれのギター、ベース、ドラムの種類をお伺いしたいんですけど。

コヤマ:ギターはまず自分が作ってもらっているAddictoneのジャズマスタータイプとストラトとテックの方から借りてきてもらったFenderのカスタムショップ、LUNA SEAのINORANさんシグネイチャーのカスタムショップのやつがあるんですけど、それのジャズマスターと、あと主に使ったのはそれもテックさんの持ち物なんですけど、メーカーが分からないんですよね。メープル縞のストラトがあって、不思議なギターというか、裏にジムマーシャルの直筆のサインが入っている赤色のメーカー不明のストラトと、あと普通にFenderの60年代のビンテージのストラトと、同じく年代が分からないんですけどビンテージのテレキャスと、使ったのはそんなもんだと思います。それを自分のものをメインにしながらとっかえひっかえ使っていってみたいな。

――結構な数を使ってますね。

コヤマ:選択肢が多い方が安心だなっていうのがあって。逆に例えばギターが1本しかなくてこれで完結させなくちゃいけないっていう方が、精神的にプレッシャーがあるというか色んな選択肢の中から選べる方が精神衛生上安心だなっていう。

純市:ベースはAddictoneの自分がメインで使っているジャズベースとAddictoneのプレベが2本、あとVanzandtのプレベが1本で、4本使いました。

――楽曲に対して、どれが合うかなっていう感じで使い分けていたっていう感じですかね?

純市:そうですね、どれが1番マッチするかなとか、結構レコーディングではプレベ率が多いのでCIVILIANになってからの曲ってどんどんパンチ出てきている感じはしますね。

――今パンチと言ってましたけどそれすごく感じまして。今回のアルバムを通して聴いて今までに無いような引き出しが皆さんすごく開いてるなというのを感じていたんですよ。なのでベースでいえば、途中で入ってくるオブリだったりとか、単純に力強いトニックを打つにしても結構すごいバリっと力強いなって感じて。

純市:そうですね、フレーズとしての力強さ説得力みたいなものは演奏出来たかなっていう感触はありましたね。

有田:メインで使い切ったのは3キットくらいですね。普通にライブで使っているDWのキットが1個と、Lyu:Lyu時代に使っていたDWキットがもう一個あって、あとはビンテージのLudwigのキットの3種類で、どっちかというと、録る場所で変えていたのが大きいのと、小部屋で録ったり、大きいルームでオープンで録ったり、逆に衝立を並べまくって録ったりとか、あとは変わった事をしたって言ったら、18インチのキック使ったりとかフロアタムをわざわざリフトアップして中にバンバンぎゅっと詰めて、小っちゃいキックドラムにして使ったりとかっていうのはやりましたね。だいたい3キットですね、バラードはLudwigを使って、早い曲はDWを使ってみたいな。

――Ludwigの音が僕とても好きでして(笑)同じくドラムの引き出しがすごく増えたなと思ったのが、フィルがめちゃくちゃ難しいですよね。でも難しさを感じさせないというか、曲としてはすごい自然に聴けるんですけど、ちょっと「ん?」って聴いてみると、めちゃくちゃ難しい事をやっているなってのが結構あったのと、バラードっぽい楽曲でわざと音の強弱を、例えばドラムロールとかで付けて歌に寄り添うってよりはドラムのスネアで歌ってしまうみたいな感覚を覚えまして。

有田:結構ドラムの主張が強くなったんですよCIVILIANで(笑)

――ドラムですごく楽曲が変わるな。と思いながら全部聴かせてもらったんですけど、そういった事もありドラム、ベースが今回すごいなと思って聴かせて頂きました。

有田:スネアは各曲毎で違うくらい変えています。

――その流れで赫色についてお伺いしたいんですが、これは「将国のアルタイル」のオープニングテーマということで、書き下ろしなので先に話が来てから書いたっていう感じですかね?

コヤマ:そうですね、話を頂いてからゼロから作ったみたいな感じでした、この曲は。

――印象的な出だしのシタールにしても、途中の「海の中で轟いた〜」からの始まるシタールと異国情緒あふれる感じのパートがあると思うんですけど、そこらへんも含めて作品の世界観に近づけていったという感じはあるのでしょうか?

コヤマ:まずワンコーラスだけ僕が作って、アニメの主題歌だったのでワンコーラスのデモを先方に提出して、OKを頂いたのでそこから先を皆で作りました。そこから「将国のアルタイル」の世界観に合うものをサウンドでも表現したいなと思っていて、シタール入れてみようと思って、やってみたら結構いい感じに入れられたので、「これはいけるぞ」と。イントロにシャランっとやって、あとは全く出てきませんってのはさすがにとって付けた感じが否めないというか「この音を入れときゃいいんでしょ?」みたいな感じにとられるのはすごく癪だったので、がっつりその曲の中でシタールの音色が「もっと特徴的になるような展開を作ろう」みたいな話しをして最終的には3人で纏めていったみたいな感じでした。

――ちなみにシタールはギターでエフェクターですか?

コヤマ:レコーディングの時はエレキシタールでした。メーカー名を忘れちゃったんですけど有名なエレキシタールで。

――よくあるやつですね。そこのシタールの頭がジャランとあって、そのあとのコード進行に結構やられたんですけど、オクターブ奏法でCBD♭って半音で動くじゃないですか?あの半音で動くところで結構ヤラレまして、例えばシタールが入ってドストレートなロックに行くんであれば、それこそちょっと違和感があったと思うんですけど、あそこの半音進行ですごくその世界観が繋がったっていう感じを受けまして、3音だけなんですけど秀逸だなと思ってイントロを聴かせて頂いて、そのあとも結構グランジっぽいリフが入るじゃないですか?そこで一気に有田さんのドラム含め、突然ロックするという。

有田:うっさいドラムで(笑)

――3人の中で1番突然ロックを始めるっていうのがすごい格好良くて、「将国のアルタイル」の世界観から全部持ってきているのかなというのを感じておりました。

コヤマ:そうですね、ギターのフレーズとかメロディーもそうなんですけど、やるからには曲の終わりまでちゃんと統一感のあるものにしたいなと思っていました。その意識があって音やメロディーの取り方も、音階やスケールはなるべく意識したものにはしていたとは思います。

――次に、『あなたのこと』についてお伺いしていきたいんですけれど、これはすごく歌詞が詰まっているというのが第一印象で、初めてラップっぽいパートが入っていると思うんですけれど、あれは狙って作ったんでしょうか?

コヤマ:この曲を作る前とかにCIVILIANになってから、一回意識して歌詞の単語を短くしようって意識してやってた時期があったんですよ。それまでのLyu:Lyuの時って、遠慮なく長い歌詞を平気で書き殴っていたと思うんですけど。「長いね歌詞が」ってよく言われてて、全然気にしてはいなかったんですけど、ただCIVILIANになった時に改めて自分の作ったメロディーを俯瞰して聴いてみた時に、やっぱり言葉が詰まっているがゆえにメロディーがすごく分かりづらかったり、一発聴いただけだとメロディーが取りづらいものがあるなと。そういう自覚はすごくあったので、言葉のインパクトとか力だけに頼るんじゃなくてメロディーの美しさだとか、音楽そのものの力というものをもうちょっと引き出すような歌詞の書き方をしてみようと思って、CIVILIANになってからなるべく抑えめにして歌詞を書いてたんです。たぶんそれの反動みたいなところもあったんだと思うんです。この曲を作っていた時は。抑えようって言って、それはそれでフラストレーションがすごく溜まってて、一曲くらいかつての自分のメンタリティーみたいなものでメロディーじゃなくて言葉を思いっきり書き殴る曲を作りたいと思って。それで最初のきっかけは意識してラップがしたいとか思ったわけではなくて、本当の最初のきっかけは単純にそういう想いだったと思うんです。「メロディーのために言葉を抑えてみたいなものをやめた!」みたいな感じで書き殴るみたいな。そういうのを書いていたら、案外そういう書いている途中でわりとこれはリズミカルなメロディーの見せ方っていうか、メロディーっていうよりは所謂ラップみたいな、そういう歌い方もいけるかなという感じで書き始めてからそういうのを思っていました。

――次に『生者ノ行進』なんですが、今回のアルバムでついに完成という事で、ファンの方達のコーラスが入ってのバージョンだと思うんですけど、最初に企画としてライブでファンの方のコーラスを録ってそれで完成させようというところがあったと思うんですが実際に完成させてみて皆さんどうですか?

有田:良くなったと思いました。やっぱり。

――最初シングルで出した時のバージョンと比べてみて達成感みたいなものってあったりするんですか?

有田:自分達がライブでやりたいって言って、コールアンドレスポンスやろうっていうきっかけになった曲だったので、きっかけがちゃんと形になっているっていうのはすごく勇気を貰うというか、俺達にもこういう事が出来るんだっていうのがちゃんと示せて、かつ参加してくれている人達にも恩を返せるっていう、それはすごくいい事だなと思いました。

純市:元々挑戦していた曲っていうか皆で歌える曲が俺らもやりたいなっていうので、原曲はコヤマが持って来たんですけど、シングルを出す時点からそういうイメージはあったみたいで、「本当はもっと大歓声を録りたいんだけどな」って、レコーディングでは俺らとスタッフで何回も録って重ねたんですけど(笑)、その段階からずっとああいう事をやりたかったねって言う話はしてました。

――実際に今回これを完成させるにあたって、例えばBPM的な部分とかも含め結構作り込むというかしっかり合わせるのも大変だったんじゃないかなと漠然と思ったんですけ、そこら辺の苦労とかってあまりなかったんでしょうか?

コヤマ:多分その苦労していたのはエンジニアさんで僕らの苦労は全然なかったです。僕らは完成したものを聴いて「素晴らしいです!」って言ったくらいで(笑)

純市:一応テンポをライブ中に取ってお客さんに「このリズムで」と言って歌ってもらってたんですよね。

――意外とそこの苦労はしていないという事ですね(笑)

有田:各会場ごとに環境が違ったので、ちゃんと録れるかどうかはすごい不安でしたけどそういうものになれたのはエンジニアさんの力だと思います(笑)

――スタッフ含め、皆さんの力で作った一曲という感じですね。
次に後半に入ってる『I’MHOME』、これは僕の感想なんですけど、アルバム中で1番1人の歌だなと思いまして、ひとりぼっちの歌というか、見えない聴けない分からない。そして帰って行くという、明確に最後の一節にきっといつかまた会えるよっていう、コヤマさんにしてはすごく分かりやすく最後に光を見出している曲だなと思いまして、この一節を入れるにあたった経緯が何かあれば。

コヤマ:1人の曲というのはその通りで、決別の歌というか、ある人とある人がいて分かり合えなかった人の歌なんですよ。「I’M HOME」って直訳すると「ただいま」とかいう意味で、自分がいて誰かがいてその人と分かり合おうとして理解し合おうとしたんだけど、それが叶わなくて、それで優しい諦めの歌みたいなもののつもりで書いた曲で、最後のラストのサビの歌詞も、「また会えるよ」とは言ってるけども、会える保証なんて無いんですよね。でも希望というか、ある意味祈りみたいなものとして当時書いてたのだと思うんです。会えたらいいなというか、そういう機会があってほしいなという感じで書いていたので、そこは確証があって言っているというよりは、そういう事がまた死ぬまでの間にあってほしいなという願望というか祈りの歌みたいな感じです。

――次にアルバム全体、CIVILIANというバンドについてなんですが、印象的なのは安易に救いのメッセージをくれないというのをすごく感じてまして、ただ、安易に救いのメッセージがないからこそ響くものがあるというか、誰もが全曲が当てはまるとは言いませんけど、アルバムがあって、13曲14曲入っている中の楽曲で、聴いていくうちにどこか胸の心の柔らかい部分に刺さってくるような言葉が沢山ちりばめられていて、そこでCIVILIANというバンドとリスナーがリンクする事によって、同調出来るので、結果的に救われるっていう不思議な体験を僕自身も実際していて、世の中的にポップスとか、最近流行っているシティポップスとかもそうですけど、結構分かりやすく救いのメッセージだったりとか綺麗な事を歌っていたりとかのアーティストさんが大多数を占める中、ちょっと特異な存在だなと思っているんですね、昔から。そこら辺の特異な存在っていうのは世間的に見たらカウンターカルチャーの一種だと思うんですけど、音楽の歴史を紐解いてみていってもJohn Lennonのベットイン・キャンペーンであったりとか、nirvanaが出てきた事、グランジが出て来た事とかターニングポイントで、やっぱりカウンターカルチャーっていうのは重要視されてきて、カウンターだったものがメインストリームに変わる瞬間があって、自然とそうなっているような存在だとCIVILIANはそう思っているんですけど、そういったところは何か意識をする所ってあるんでしょうか?

有田:俺とかは歌が好きなんですよ。だからやってるだけで、楽曲の内容にもちろん共感するところもあるからこそ良いと思ってるんですけど、他にポップスを歌っている人達と比べて真逆の事を言ってると思わなかったりとか、ただちゃんと言ってるだけだというか、安易に希望をくれないって言っている意味もあると思うんですけど、「これを知らないとこれは分かんないよね」っていうのも、ちゃんと言っているだけのような気がしています。だからあんまりそこまで考えた事はないです。

純市:僕もそうなんですけど、出会って超長いですけど「こいつの悪いところが好き!」みたいな。僕は歌詞を書けないんで、ちょっとそういう事は言えないんですけど、こいつの世界をベースで俺はどんだけ膨らませれるかみたいな事を考えてプレイしてます。たぶん性格悪いんですよ(笑)

コヤマ:自分で言うのもなんですけど悪いと思いますよ。性格悪い奴じゃなきゃこんな歌書けないですね(笑)例えばJ-POPにおける歌詞だったり、流行っているものの歌詞の内容って僕も気になってすごく追うんですよ。今人気の人達の歌詞って何が歌われているんだろうってすごく気になって、やっぱり追うんですけど、1つの大きな音楽の転機になってるのって絶対東北の震災以前と以後で変わっていると思うんですよ。特に震災後に日本中がパニックになって、「皆で頑張ろう!」みたいな感じになっていったわけじゃないですか。そんな中でかつて僕がすごく好きだったバンド達がいて、震災以前よりもっと何年も前の時ですけど、例えばsyrup16gであったりとか、かつて所謂絶望を歌うって言う事が結構ブームだった時も多分あった様な気がしたんですね。その後に出てきた、例えば凛として時雨とかをはじめとした、9mmもそうですけど残響とかも言ってる事はかなり暗いじゃないですか。世の中にすごく悲惨な出来事が起きて、皆の意識が頑張って行こうに変わっていったケースで、そんな中で歌の中でネガティブな要素ってだんだん求められなくなってきたなってすごく思うんですよね。なんで音楽までそんな辛い事を聴かなきゃいけないんだって、辛い事は現実にいっぱいあるんだから、もっと希望がある事を聴きたいんだっていう風に世の中がなっていたんだろうなって思ってるんですよね。 大衆音楽みたいなもののそういうメッセージの歌が沢山増えていって、聴いてて辛くならない音楽というか、そういうものがやっぱり求められたんだろうなっていうのは、僕はすごく思っています。でもそのシーンの流行り廃りっていうのは当然日本だけじゃなくて世界中であるわけじゃないですか?音楽だけじゃなくて色んなものに流行り廃りというものがあって、でも流行っている廃れてるって言うのは置いといて、たとえ流行っていても廃れていても消える事だけは絶対にないと思っているんですよ。今でも僕らのような歌を望んでいる人達って絶対どこかに存在しているし、それが世の中のメインストリームになるかそれともアンダーグラウンドになるかっていうか、カウンターカルチャーになるならないって言うのは、これから先僕らも分かりませんし、僕自身は歌う事を全く変えずに天下を取りたいと思っています。もっと多くの人に響くはずだと思っていますし、それは変えずにやっていきたいし変えようと思っても変えられる事でもないだろうなって。こんなに長くこういう事を歌っているので僕自身も変えようと思った時期もありましたけど、結局こういう事を歌っている時がやっぱり1番自分の中でエモい感じになるし、それはたぶん1人の人間として変えようがないなって思っているところもあるので、自分が背負ったカルマみたいなものだと思ってこれからもやって行こうっていう感じです。

――今エモいという言葉が出たんですけど、今回のアルバムって前半から中盤にかけて激しめな楽曲が入っていて、後半ちょっと落ち着いていくと思うんですけれど、演奏的に。後半戦の方が当たり前ですけど激しくない分、歌が表に出ているという印象を受けまして、ドラムやベースのアプローチも含め、意外と静かな曲の方がすごくエモーショナルだなって僕は感じたんですけれど、例えばどの曲でもいいんですけど後半戦の曲とかでそういう意識とかがあった楽曲とかってありますか?

有田:全般的にLyu:Lyuの時もそうなんですけど、ミドルテンポやスローテンポってうちの十八番なんです。スローテンポで歌に対して寄り添っていたりとか、歌を生かすために「ここぞ!」っていうところにフレーズを入れたりとかする感とか、やってきたバランスっていうのは昔から培ってきたものはあるので、そこはバンドとしても他のバンドに負けないポイントだなって思ってます。

――確かに「歌に寄り添う」って単語が出たんですけど、歌に寄り添うような演奏がお2人とも、ノリ感も含めてですけどあって、その分やっぱり歌がすごくエモーショナルで静かだったと思ったら間奏ですごくギターがかき鳴らされたりとか、っていう、感情を揺さぶるような演奏が後半戦すごく多かったと思って聴かせて頂いたので聞いてみたんですけど。

純市:バンドの本領なんじゃないですかね。ベースもスローテンポとかミドルテンポは指弾きなんですけど、そっちの方がやっぱり評価されるんすよね。「お前のタイム感、指の方がいいよね」とか「ノリいいよね」とか。だからちょっとピック頑張りてぇなって(笑)

――今回のアルバムリリースをしましてワンマンツアーももう始まっているかと思いますが実際にワンマンツアーを始めてみて今どんな感触でしょうか?

コヤマ:とりあえず一公演、初日をやってみて僕個人は半々というか、本当に待ち望んだやっと新曲やアルバムの曲達を目の前の人に自分が歌って聴いてもらえるというのが本当に楽しいなって思うのと、あとは新しい事に挑戦していたり、色んな事をやっているので、今まで以上に物理的にも精神的にもすごく消費カロリーが高いなってすごく思います。

有田:ライブで並べてみて、何でこんなに難しいフレーズにしたかなって思うところはちらほらありますけどね(笑)1曲1曲やっている時は「これ格好良いな」、「このフレーズめっちゃいい」、「マネ出来るものならしてみやがれ」って作ってて、いざ並べて自分がやると何でこんな大変な演奏する曲をいっぱい作ったんだろうて思ったりもしてますけどね。仕上がっていくと着実にもっと良くなると思っています。良くなるって確信を持って挑んで「良かった」って言われて。且つちゃんと次に向かって改善点も出てくるっていうのが見える一公演目だったと思うので、これから楽しみです。

純市:すごく良い感触でした。今まで以上に準備とか色々してきたっていうのもあったんですけど、思った以上にお客さん達まで届いたなっていう。新曲ばかり初お披露目の曲ばかりだったので、すごく気合いが入っていたし、すごい疲労感満載だったんですけど、このぐらいのスタートだったらラストに向けてもっとすげぇライブが出来るなって思いました。あと俺は個人的に北海道がめちゃくちゃ大好きで北海道に良いイメージしかないんですね。食べ物もそうですし、お酒とか、人とか。すごく温かく歓迎してくれたり、お客さんもすごく熱くて、良いライブが出来たなって思います。

――今日フラゲ日で、明日CDの盤がリリースですが、まだ聴いていないこれから聴く方々に対して今回のアルバムのメッセージをコヤマさんから頂けますでしょうか?

コヤマ:過去がどうっていうのは別に一切知らなくて構わないので、もちろん昔も良い曲をやっていたので、気になったらもちろん掘ってほしいですし、昔のアルバムも聴いてほしいです。僕らがLyu:Lyu名義で出した曲ももちろん聴いてほしいんですけど、初めて知る人はまっさらな気持ちでこのアルバムを聴けると思っているので、だからCIVILIANというバンドっていうのはこういう歌を歌っていて、でもその最後にはちゃんと救われるような歌を歌ってるバンドなんだなっていうところに感じるものがあってほしいです。あと別に歌とか歌詞とか聴かないっていう人でもサウンドを聴いても、格好良いロックサウンドになっていると思うので、是非聴いてもらいたいです。

――私も聴かせて頂いて、実際に救われた1人なので、本当に救われるアルバムだと思います。なので、沢山の方へ広まって欲しいと思いつつ、本日はありがとうございました。

一同:ありがとうございました。

Kohei Murata

Kohei Murata編集長・ライター

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バンド活動を通して、自分の音楽を世界に発信する事を志しながら、同時に仕事での独立を目指して様々な業種を経験する。バンドでは日本のみならず台湾でも活動を行い、台湾でのアルバム2枚のリリースや大型野外フェスティバルへの出演も果たす。
その後、様々な仕事を経験し2015年独立。
現在は音楽メディアOptimanotesの編集長兼ライターとして、記事の執筆をしている。

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