GRAB

Yellow Studs – 「GRAB」レビュー

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結成より15年、とにかく駆け続けているロックバンドYellow Studsの2017年12月6日にリリースされた最新EP『GRAB』を聴いたのでレビューしていこうと思う。
頑なに自分達の信じる道を突き進む、その姿勢だけでも心を打ってくる、とても稀有なバンドだと思っている。
着実にファンを増やしながら、ライブ活動に音源のリリースにと精力的な活動を止まらないように続けている、そんな彼らの最新の音と言葉に触れ、僕は素直に心を打たれた。

1曲目『ブーツ』
今作のリードトラックでもあり、MVもかなり凝った映像作品になっており、そちらも必見だ。
この楽曲はVo,Keyの野村太一の心の中を覗き見るような気分にさせられた。15年間走り続ける事の大変さ、その中できっと音楽に真摯に向かい合ってきたはずだ。だからこそ、何も分からなくなってしまう瞬間もあるのだろう。
「買いたいもんが一つもありゃせん 欲しいもんが一つもありゃせん 歳を重ねて無欲になった なんとも云えないわびしさよ」という歌詞に自身の姿を重ねてしまった。それでも、「真上 昇れ 昇れ 満月 照らしとくれ」と最後に歌う野村太一のしゃがれた説得力のある歌声に救われる。
楽曲自体は、昭和歌謡やロック、ロカビリーなどを飲み込んだ楽曲に仕上がっており、昭和歌謡的哀愁が漂うのがまた渋い。人生経験をそのままぶつけられたような気分になる秀逸な楽曲だと思う。

2曲目『中野サーフ』
昭和時代のグループサウンズを強烈に感じさせるアレンジワーク、コード進行、裏に入るVo,Key野村太一の声が最高だ。歌詞は「走れ。」という一言のみ。潔いとはこの事か。
演奏隊が全員最高のパフォーマンスを聴かせてくれている。野村太一のKeyは勿論、野村良平と奥平隆之
のギターが最っ高に生きている!ギターキッズはきっとコピーしたくなるんじゃないだろうか。そして、何と言っても、土台を支える植田大輔のベースと田中宏樹のドラムが軽快なリズムを叩き出してくれている事で、楽曲が疾走感を得ている。
バンド感をこんなに感じられる曲も珍しいのではないだろうか。と思った。最高。

3曲目『ガソリン』
「最高の最期はどこにあるのか」という歌詞が印象的に響く。同世代から年下・年上関係なく、共感出来る部分がふんだんに盛り込まれた楽曲だと思う。
人生は長くもあり短くもある。自身の歩んできた道を振り返っても何もない。でも、まだ片道分のガソリンは残っている。なら、その片道分のガソリンを全て使い切って最高の最期を探しながら走り続けるしかない。そんな風に僕には聴こえた。
夢を追うのは何歳からでも出来る。でも、年齢が許さない場合がある事も事実だ。でも、そんな事は関係ない。自分の人生を決めるのはいつだって自分自身だ。だから、周りがどうであろうと「最高の最期で笑ってやるのさ」と歌われる通り、駆け抜けるんだ。でも「甘くはねぇけど」と野村太一が歌うように甘くはない。でも、その責任も含め自分自身の人生なのではないだろうか。
Yellow Studsの楽曲はこうやって、人間の心理や心を大きく揺さぶってくる。それもまた、彼らの魅力だと思う。
切なげなギターのアルペジオから、シンプルなロックフォーマットで楽曲も駆け抜けてゆく。歌詞と演奏がこれでもかとシンクロする名曲。

4曲目『風鈴』
今作最期の楽曲。
Yellow Studsの事、いや野村太一の心の声、実体験なのかな。と勘ぐってしまう歌詞が印象的だ。彼らは15年経った今も走り続け音を鳴らし続けている。その間には大変な事が数え切れない程あった事が容易に想像がつく。でも、それでも走り続けるのだ。彼らはそれを音楽というフォーマットで鳴らす。でも、この楽曲で歌われる内容は決して音楽に限った事ではない。どんな世界にも通じると思う。だから、何かを目指して走っている人全てに響くと思う。
ミドルテンポでピアノの音が印象的な軽いノリの楽曲だが、そこに乗せて歌われる歌詞の重みは決して軽くない。彼らだからこそ歌える楽曲だと思う。
胸に音と言葉が響いてきて、ギュッと心を掴まれるような感覚に陥る。

全4曲、今の最新のYellow Studsが詰まっている。15年駆け続けたからこそ鳴らせる音と歌える言葉。説得力、そう説得力がとんでもないのだ。
聴いているうちにいつしか、完全にYellow Studsの世界に引き込まれている。表現とは、こういう事を言うんだろう。
全員の鳴らす音の、なんと説得力のある事よ。

今何か悩んでる人、くすぶっている人、漠然とした不安に駆られている人、何も考えずに日々を時間を消費している人達、全ての人達に聴いてもらいたい、4曲とは思えないボリューム感のあるEPだと思う。
きっと、上記したような人達全ての心にこのEPの楽曲たちは語りかけるだろう。そして、心を掴むだろう。このEPにはそんな力があると思う。

まだ聴いた事のない人達全員に聴いてもらいたい。Yellow Studsという最高のロックバンドがいるという事を知ってもらいたい。入り口はどこからでもいい。是非彼らの世界に触れてください。まずは『ブーツ』のMVからでも。と切に願う。


Kohei Murata

Kohei Murata編集長・ライター

投稿者の過去記事

バンド活動を通して、自分の音楽を世界に発信する事を志しながら、同時に仕事での独立を目指して様々な業種を経験する。バンドでは日本のみならず台湾でも活動を行い、台湾でのアルバム2枚のリリースや大型野外フェスティバルへの出演も果たす。
その後、様々な仕事を経験し2015年独立。
現在は音楽メディアOptimanotesの編集長兼ライターとして、記事の執筆をしている。

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