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[Staff Recommend] aoihr – 「僕と春」レビュー

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なんというエモーション。
こんなに心を揺さぶられる音楽に僕は久しぶりに触れた気がする。

aoihr=アベシュンスケ

これは、1人のプロジェクトで、決してバンドではない。でも、これでもかとバンド感が全面に出ている。
全作詞・作曲・アレンジ・演奏・プロデュースまでをこなす恐るべき21歳の才能に思わず嫉妬してしまう。こうやって、また天才が音楽の世界に現れた。純粋に僕はそう思った。
aoihrとしての初の音源、アルバム「僕と春」。文句なしの名盤である。どこをどう切り取っても、初期衝動とエモーショナルとその中に隠された繊細さが見事に描かれている。

1曲目「夏休みの、おわりと、はじまり」
ギターノイズから、一気にバンドの演奏が始まり、曲が走り始める。
ディレイやリヴァーブを多用したギターサウンドがシューゲイザーの匂いを放ち、歌の裏では歯切れの良いカッティングが鳴り、様々な楽器がタイミング良く反復しダブの要素まで入っている。彼の音楽的影響が様々見えながらも、それでいて完璧なオリジナルな音楽。
メロディと歌詞は決して疎かにしない。素晴らしいメロディラインと歌詞に、アベシュンスケの素晴らしい歌唱。轟音の中で鳴らされるピアノの音にグッとくる。1曲目からいきなり引き込まれる。

2曲目「青」
1曲目の最後から、そのまま繋がって始まる楽曲。
イントロでいきなり全楽器の轟音に飲まれる。そして、いきなりクリーンギターのアルペジオが入ったと思ったら、そこから歌が始まる。aoihrの凄いところは、1曲の中での展開が目まぐるしいところだろう。ただ、忙しくないし、不自然でもない。自然と耳と体が受け入れてしまう説得力がある。
ベーシックなアレンジの上で歌っていたと思ったら、いきなり轟音に戻る。そして、ストレートなエイトビートに乗せてアベのエモーショナルな叫びにも似たボーカルが入ってくる。この行き交うアレンジの幅がとても魅力的だと感じる。

3曲目「少女漫画」
この楽曲は、アベがaoihrの前身となるバンド『KiYoCo』にて制作した楽曲。aoihrではMVも制作されており、アベのエモーショナルさをこれでもかと感じられる。今作の中ではリードトラックに位置しても良いようなキャッチーな楽曲。後半、一瞬音が止まった後のシャウトに鳥肌が立つ。ここまで自身の音楽を自身の声を使って全力で表現しようとするアーティストは、探してもなかなかいないと思う。
前の2曲に比べるとややシンプルなアレンジの中で歌われる、様々な上手くいかない事、やるせなさ、それでもやるしかない事、沢山のメッセージが盛り込まれている。そして、シャウトの時に歌われる「そんなわけないよなぁ。」という歌詞に全てが込められているようだ。

4曲目「メリーランド」
ピアノと歌唱から始まる美しい楽曲。良い具合に歪んだギターのアルペジオが入ってくる。気持ち良い音像。サビ前のシューゲイズ感が堪らない。ノイズの海に美しいシンセサイザーの音。体を持っていかれる。そして、サビ後またピアノと歌というシンプルな編成に戻り、心を掴まれると、ギターのカッティングから一気に楽曲が走り出す。
どうしたら、こんな展開の楽曲を考えられるのか、本当に天性の才能としか言いようがない。天才。本当にその言葉が似合うアーティストだと思う。

5曲目「**」
アコースティック・ギターのアルペジオに乗せて、アベの素晴らしい声で素晴らしいメロディが歌われる。とても短い楽曲だが、ここまでかなり演奏が激しかった事もあり、逆にインパクトが凄い。歌詞がスっと心に入ってきて、とても気持ち良い。
アルバムでも絶対に無視出来ない重要な楽曲。

6曲目「僕と春」
アルバム・タイトルにもなっている、アルバム最後を飾る楽曲。
思わず涙腺が緩む。アベの歌唱がとにかく素晴らしい。ほんのり切ない歌詞を表現力豊かに歌う。タイトル通り、「僕と春」という言葉がぴったりくる楽曲だと思うし、タイトル曲だけあって、アルバム全体をこの楽曲がよく表していると思う。途中のアコースティック・ギターのアルペジオと歌だけのパートで涙が流れそうになる。そして、転調しながらラストのサビになだれ込む。なんて最高な展開。
「夢みたいな日々でも、夢みたいに消えないでよ」という歌詞が胸に突き刺さる。いくつになっても、人生を生きていれば共感出来る歌詞だと思う。
最後に相応しい名曲。

aoihrの初音源のレビューを聴きながら書いてきた。
とにかく素晴らしい。の一言に尽きる。これが、若干21歳の青年が全て描き出したかと思うと本当に末恐ろしい。なんという才能なんだろうか。
彼の一番の魅力はやはり、その歌声と歌の表現力にあると思った。問答無用に心を揺さぶる声と表現力。気付いた時には彼の声の虜になっている。それ程素晴らしい。

アルバム6曲聴いてきて、まだまだ引き出しがあるんだろうな。と何度も感じさせられた。
これから先の彼の活動が本当に楽しみだ。一体これからどんな楽曲を聴かせてくれるのか。どんな活動をしてくれるのか、今から楽しみで仕方ない。

まずは、この楽曲達を持ってライブをやってもらいたい。是非生でこの楽曲達を体感したい。素直にそう思った。
それまでは、このアルバムを何度も何度も聴いてゆこうと思う。

とにかく、一瞬足りとも不要なパートが存在しない、そんな奇跡のような初音源だと思う。
是非、今からみんなに聴いてもらいたい。きっと、みんなが聴いた事のない音楽がここに存在する。

え

aoihr 『少女漫画』Music Video

aoihr 『夏休みの、おわりと、はじまり』Music Video

aoihr 『僕と春』Music Video

aoihr 1st E.P.「僕と春」トレーラー(long ver.)

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Kohei Murata

Kohei Murata編集長・ライター

投稿者の過去記事

バンド活動を通して、自分の音楽を世界に発信する事を志しながら、同時に仕事での独立を目指して様々な業種を経験する。バンドでは日本のみならず台湾でも活動を行い、台湾でのアルバム2枚のリリースや大型野外フェスティバルへの出演も果たす。
その後、様々な仕事を経験し2015年独立。
現在は音楽メディアOptimanotesの編集長兼ライターとして、記事の執筆をしている。

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