[Interview] aoihr – ついに初音源をリリースしたaoihrにロングインタビューを敢行!

今回はYouTubeで2本の動画「もしもナンバーガールが再結成してPPAPを演奏したら」「もしもMy Hair is Badが「マックのポテトが揚がる音」を演奏したら」が驚異的にバズったアベシュンスケ氏のソロプロジェクトaoihrの初音源「僕と春」についてインタビューを行った。
若干21歳の才能は、インタビューの言葉の端々にも感じられ、とても現代の若者らしい部分もあり、非常に興味深いインタビューになったと思う。

aoihrの音楽にまだ触れていない方は、是非ともこの機会にインタビューを読んで彼の音楽に触れて欲しいと願う。

邑田航平(Optimanotes編集長)

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━━本日はよろしくお願いいたします。

アベシュンスケ(以下アベ):よろしくお願いします。

━━では、まずなんですけれども、今回のaoihrとしてのファーストEP『僕と春』、さっそく聴かせていただきまして、大変素晴らしく感じました。

アベ:ありがとうございます。ずっと家で引き籠って制作していたので、良い反応をたくさん頂けてホッとしているところです。

━━一曲も外しがなく、今もどっぷりと聴かせていただいているんですけれども、まずお伺いしたいのが、今回アベシュンスケさんという個人名義ではなくaoihrという名義で活動をしようと思った経緯から聞いていきたいと思うんですけど。

アベ:2016年まではソロ活動の名義を本名のアベシュンスケで統一していました。当時組んでたKiYoCoってバンドのサイドプロジェクトとして好き勝手にやっていたのですが、2016年末にツイッターに投稿した「もしもナンバーガールが再結成してPPAPを演奏したら」っていう動画で多方面からすごい反響をいただいて、色々と考え直しました。自身のポップでコミカルな側面と、オルタナティブで内省的な側面を切り離して考えたいなぁと。そんな時にKiYoCoが終わって、また1人でバンドを組むようなコンセプトで、「aoihr」を始めました。

━━そうすると、実はaoihrという名義の方がより本来のアベシュンスケさんの内側に持っているものとかが全部表に出ているていう感じ?

アベ:本来のっていうと少し語弊がありますが、オルタナティブなサウンドと一緒に人間性の普段隠れてる部分が全部出てる、って感じです。

━━わかりました。ちなみにお話に出ていた、「もしもナンバーガールがPPAPを演奏したら」かなりバズった動画なんですが、そもそもあれはなんでやろうと思ったんでしょうか。

アベ:身内をクスッとさせられればいいな、くらいの気持ちで思いつきで作りました。

━━じゃあ想定していなかったってこと?

アベ:そうですね、完全に想定していなかった反響でした。

━━ちなみに、あれももちろん聴かせていただいたんですけれども、ナンバーガールへの愛が溢れているじゃないですか。もうドラムのフィルまで完コピして、音作りから何から、向井秀徳さんの声まで似てるっていう。あれは声を似せて何度も録り直してとかって事なんですか。

アベ:できる限りで声真似しました(笑)変にピッチが合いすぎちゃっているところをずらしたりとか、声の太さを細かく調整したり、結構向井秀徳になるために機械的な加工をしています。

━━そうなんですね。納得しました。物まね上手だと思って聴かせてもらってたので。

アベ:結構作為的にいじってます。ただ、こんなバズるならもっとちゃんと作りたかった、、、って部分も多いです。ベースを全部ダウンピッキングで録りたかったなとか、2回目の「ハッ!」を「ウ”ォォイ!」にしたかったなとか(笑)

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━━すごいですね。ありがとうございます。そんな紆余曲折を経て、今回初めてaoihr名義で『僕と春』というEPをリリースしたわけなんですけれども、今現在周囲からの反響というのはどうでしょうか。

アベ:自分はリリース期間中にライブを一度しかしていなくて、もう本当に一枚も売れなかったらどうしようと思っていたんですけれど、沢山の反響をもらって、本当に嬉しい限りです。作ってよかったなぁって思います。

━━結構周りからもいいね!いいね!っていう感じで言われる状況が今出来上がっている、出来上がりつつあるという感じですかね。

アベ:そうですね。全部自分が感じたこととか、自分の人生における孤独みたいなものとかを詰め合わせて出来たアルバムなので、もう自分そのものに対するフィードバックを見るような気持ちでいます。ツイッターでエゴサしたりもしてます笑

━━ありがとうございます。『僕と春』という作品なんですけれども、入っている曲がまさに青春だなという感じを受けまして、なんて言うんですかね、10代20代前半、もっと言えば学生時代の方しか書けないんじゃなかろうかと思わせるような歌詞の世界であったり、っていうのを結構全体的に感じまして、それを含めて「僕と春」というタイトル曲も最後に入っていますけれども、全体を通してすごい青春感が強いなというのは感じました。そこら辺は特に意識はしなかったところですかね。

アベ:意識してます、そりゃもうバンド名にしてるくらいですから(笑) ただ、近年の映画とか漫画におけるそれとはだいぶ違うものかもしてません。青春ってダサくてドロッとした部分を無視して「男女の恋愛」とか、「制服校舎」とかとセット売りされ過ぎてるなって思っていて。もっと孤独や葛藤にフォーカスを当てて、「俺はこうだけど、お前らはどう?」っていう風に、反骨精神的にaoihrって名前を付けた部分もあります。

━━まさに、この作品は、特に中学生高校生大学生の方たちは刺さるものがかなりあるんじゃないかなって思っていて、それっていうのはやっぱりさっき言っていた、青春ってそんなに綺麗なものではないというか、綺麗な青春って二次元だと思うんですよ。個人的に。実際の青春って三次元の青春なので、やっぱりドロッとしてるし、痛いし、そういうものがやっぱり多感な時期に感じる青春の本質だと思っているので、まさにそこを切り取っているんじゃないかなっていうのを聴かせていただいて思ったところではあります。では曲毎に聞いていきたいんですけれども、まず一曲目、「夏休みの、おわりと、はじまり」。個人的にはサウンド的に一番凝ってるなと思った楽曲です。この曲はまずわかりやすくタイトルにも「夏休みのおわりとはじまり」と書いてあるんですけれども、どういった時に書こうと思った楽曲でしょうか。

アベ: コントラスト高めな夏の曲がaoihrに一個欲しいなと、公開していなかった何曲か曲の断片を組み合わせて作った曲です。その割には暗い曲になってしまいましたが(笑)自分にとって一番大切だったはずの思い出がだんだん曖昧になって、憧れで補完されていくような感覚を表現したくて、記憶の中のフレーズを沢山重ねたシューゲイジング的な手法のアレンジになりました。それこそナンバーガールの向井秀徳氏の歌詞のフックに「記憶はいつか妄想に変わる」ってやつがありますが、それに近い考え方ですね。この曲にはミュージックビデオがあって、それも製作時にメモリ不足でバグってしまった映像をそのまま入稿したりしてます。

━━ありがとうございます。先に次の曲、二曲目の「青」、最初すごいエモーショナルな感じで始まっていってだんだんちょっと落ち着いていくという。一風変わった曲だと思うんですが、aoihrの曲っていうのが、全体通してすごく展開が凝っているなっていう印象を受けています。ただ展開が凝っているのに、聴いているリスナー側としてはそんなにそこは意識させられずに自然と聞けるっていう、なんか不思議な体験というか、そういった印象を受けているんですが、二曲目の「青」を作るにあたり、展開とかっていうのはどういう風に作っていったんでしょうか。

アベ:このアルバムは自分の未発表楽曲を引用している部分が多くて、「青」も歌詞とメロディーが半ば完成している楽曲に新しいコンセプトを加えて作りました。元々は大学の作曲サークルのCD「おとぎ話」に入稿するために作り始めて、別れの悲しみを歌ったシンプルなメッセージに昔話の「泣いた赤鬼」のストーリーをぶつけて完成させました。赤鬼が村人たちと仲良くなっていく中で、その背を向けて歩いていく青鬼にフォーカスを当てて。なのでめまぐるしく展開を変えようとかっていうよりは、自分の中のいろんな要素が混ざって、あるべくして濃密な展開な曲が出来上がったという感じですね。

━━そうすると、アベさんとしては、結構シンプルに作り終わったらこうなったなって感じですかね。

アベ:そうですね。音楽的な面白さを求めた転調移調はほぼなくて、必然的にある部分だけです。

━━ありがとうございます。次に「少女漫画」、こちらはKiYoCo自体のリメイクになるんですかね。以前やっていたバンドの、KiYoCoというバンドのリメイクで、今回ミュージックビデオもYouTubeに上がっていますが、ミュージックビデオ含めかなりこちらもエモいなという。かなりエモいなというところがあったんですが、Twitterかなんかで見たんですけれども、こちらの楽曲って高校生とかそのぐらいのときに書かれた楽曲?

アベ:18ですかね、高校3年生の秋なので。

━━その時に、結構タイトル的に「少女漫画」っていう、とても面白いじゃないですか、とはいえ歌詞の内容も曲自体もかなりエモい楽曲になっているんですけれども、タイトルに「少女漫画」を持ってこようと思った理由ってなんかありますか。

アベ:この頃たまたま後輩から少女漫画を借りて読んでいたんですよ。タイトルはなんだったっけな、アオハライド。アオハライドを借りて読んだんです。それで少女漫画楽しいなと思って読んでて、でもなんか読んでるうちに自分の実生活との違いに萎えちゃって。フィクションだから当たり前なんですけど、終わりかけの高校生活への焦りとか、そういうものも反映されてるのかなと思います。

━━歌詞の途中にシャウトを、「そんなわけないだろう」というとてもインパクトのある一節がでてきますが、あそこにすべて集約されているという、アベさんの気持ちが集約されているという感じですかね。

アベ:そうですね。わりかし淡々と続く展開の中で、フラストレーションがはっきり見える瞬間を作りたかったんだと思います。曲を書いたのは3年前なので本当に曖昧な記憶ですが(笑)

━━やっぱり。ありがとうございます。次に「メリーランド」、今回書き下ろしで入っている楽曲ですが、一番新しい曲ということでいいんですかね、こちらは。

アベ:いえ。実はこのアルバムって一度発売延期されていて、全曲目を作り直して発表から1年後にリリース、って形でした。収録曲を見直していく中で生き残ったのが「僕と春」と「メリーランド」だったので、前述の少女漫画を除けばかなり初期からあった曲です。一番新しいのは「**」かもしれません。

━━なるほど。5曲目の**は正式名称なんですか。

アベ:この曲も実は元の曲があって、歌詞は完全に引用しつつメロディーとコードだけ付け直してます。元曲のタイトルは「今日僕は何を歌おう」でした。なんですけど、僕と春が文字数負けしちゃうので、**でいいかな、と。amazarashiのアルバムの作り方から影響を受けてたりもします。

━━そんな深くは考えずに、もうタイトルをなくすぐらいの勢いで付けたって感じですか。

アベ:そうですね、もともと「夏休みの、おわりと、はじまり」の前にも「**」が1曲あったんですけど、それはアルバムの流れ的に良くなかったのでカットしました。いつかライブするときにでもSEにできたらいいなあって思ってます。

━━ではもう一曲あったけれども、それは入らずにと言うことですね。ありがとうございます。最後「僕と春」ですね、こちらはそうすると結構古い楽曲になってくるということですね。

アベ:そうですね、元々KiYoCoで演奏するために書いた曲なので。aoihrってプロジェクト名自体がこの曲名に引き寄せられて生まれているようなところがあるくらいです。

━━この楽曲がEPのタイトルにもなっているんですけれども、タイトルソングにこの曲を持ってきたっていう理由ていうのはどういった理由かなと。

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アベ:「これはいける」って思ったんですよね、書いてて。僕が生きてきた21年間の中でもハイライトになるような出来事をそのまま音楽にできたっていう手応えがありました。アルバム「KiYoCo」の楽曲は全部この曲に続いてるし、逆にaoihrの楽曲は現状全てこの曲の延長線上にあります。極論プロジェクト問わず僕が書いてきた曲でベストアルバム作る、ってなっても、この曲が表題曲になると思います。

━━では歌詞みたいなところから離れて、サウンド面聞きたいんですけれども、今回録音環境から聞いていきたいんですが、どこまで自分で演奏をして、どこを打ち込みでやったのかというのを聞きたいんですけれども。

アベ:基本的にギターとベースは生で演奏しています。ドラムは全部打ち込みです。キーボードは簡単な部分は自分で弾きつつ、難しいところをマウスでアレンジしています。

━━ちなみに使ったソフトは。

アベ:DAWはFLスタジオをずっと使ってます。プラグインはwavesやDAW標準のものを使いつつ、結構フリーソフトも使ったりしています。他の有料ソフトだとドラムがBFD3、アンプシミュレーターにBIASを使ってるくらいですかね。あ、あとマスタリングにA.O.M.のリミッター(笑)

━━ちなみに使ったギターは何本ほど

アベ:エレキ2本、アコギ1本ですね。アルバム全編のグシャッとしたギターは大体momoseのジャズマスターです。

━━momose、またレアなギターを使ってますね。それはなぜ。

アベ: 田渕ひさ子さんに憧れて、最初はFenderUSAばっかり探してました。でもFenderUSAのギターって邦ロック好きな日本人が思ってるギラッとした音とちょっと違ったりする部分があって、そういう部分でmomoseのジャズマスターってすごいギラっとしてるけど暴れすぎないというか、そういうところに惚れて、momoseのジャズマスターを東京のいろんな店舗で弾きまくって、音のバランスが一番いいやつを選びました。個体差で。

━━でも弾数少なくないですか?結構今ってありますか?

アベ:全然ないです。本当に1~2本しかないんで楽器屋さんごとに。しかもクロサワ楽器の店舗の1~2本ずつしかないんで。御茶ノ水行って渋谷行って池袋行って、秋葉原とか行って回って、一番よさげな音のやつを選びました。同じメーカーで同じ商品で同じ色だけど。

━━もう一本のエレキは。

アベ:ギブソンのマローダーですね。ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文さんが初期に使ってたのと同じモデルです。アルバムを制作するにあたってこのギターは一度も弾いてないんですけど、「僕と春」「少女漫画」は旧バージョンのトラックをそのまま使ってる箇所があって、それはマローダーで録ったものです。僕と春だと中盤のノイズギター、少女漫画だとイントロのローファイなギターがそうです。

━━アコギはどちらのアコギを

アベ:ヤマハのイケベ楽器の正月セールで1万円くらいで買ったやつです。

━━そうなんですね。結構いい音ででますけどね。

アベ:ありがとうございます。

━━ベースも自身で弾かれているということですね。

アベ:はい。

━━ありがとうございます。これ個人的にすごく聞きたかったんですけれども、この6曲通したときに、凄い色んなジャンルの音楽が見え隠れするアーティストだなっていうのが、正直一番最初の第一印象だったんですね。

アベ:ありがとうございます。

━━それはいい意味でなんですけれども、たとえば、Aというアーティストがいて、このアーティストさんはAっていうアーティストさんっぽいな、影響受けてんだろうなっていうわかりやすさがあまりないというか。

アベ:そうですか?結構影響は露骨に受けちゃう方だと思ってて、でもそれをオリジナリティーとして変換できてれば嬉しいんですが。

━━もちろんパートパートでこのアーティストから影響を受けているんだろうなっていう想像はできるんですけれども、それは確実じゃないというか。単純にそれよりはもうちょっとちゃんとジャンルによった感じで、例えばダブの影響もあるだろうし、ちょっとポストロックの影響もあるだろうしみたいな、いろんなジャンルの音楽の影響が見え隠れするようなアルバムだったなていう印象を聞き終わったときに思いまして、音楽の原体験的なところからどんな影響をどんな音楽から受けてきたのかというところを聞きたいんですけれども。まず一番最初の原体験みたいなものというのはどういったところなんでしょうか。

アベ:オレンジレンジかもしれません(笑) みんな「ミュージック」買ったじゃないですか、あの時に兄貴が買ってきて、それをずっと聞いてましたね。そのあとはV系や洋ラウドを経由して、2009年頃のニコニコ動画界隈の音楽で初めて制作に取り掛かった感じです。ボカロのボーカルカバーとかを投稿し始めて、そこから曲も作り始めました。まぁ全部消しちゃいましたが(笑)

━━歌ってみたとかあげたりして、まあ今消えているけれども、そういったところがその音楽を始めることの原体験になっていてという。

アベ:そうですね、音楽は家で1人で作るもの、みたいな価値観もそこで生まれたんだと思います。

━━そうすると、KiYoCoというバンドを組んでいたけども、今回aoihrがバンドではなくてあくまでアベシュンスケさんのソロプロジェクトであるのはそういったところにもつながってくるという感じですかね。

アベ:それですね。結局1人でやる方に戻ってきちゃいました。

━━そこらへんのニコニコ動画の音楽をいろいろ聴いてきて、そのあとっていうのはどんなアーティストさんとかを聞いたりしてきたんでしょうか。

アベ: 高校でアジカンにはまりました。ニコ動でもゆよゆっぺ氏や鬱Pのようなラウド音楽を中心に聴いていたので、スクリーモやハードコアのバンドが組みたくて高校の軽音部に入りました。でもSiMやfear and loathing in las vegasのブーム前だったのもあって全然人が集まらなくて、文化祭ライブ直前に惰性で組んだバンドのメンバーに渡されたのがアジカンの「ソルファ」で、地獄のように聴きまくりました。

━━なにがそんなに、アジカンのなにが刺さったんでしょうか。

アベ:なんだろう。今考えたらパワーのある日本語の男ボーカルっていうのをあまり聴いてなかったので、その時点で衝撃でしたね。あとは結構パンクとかパワーポップとかそういうものの影響を受けつつ、自分が今まで触れたことのなかったオルタナティブロックみたいなものの匂いを感じさせる音像に多分惹かれたんじゃないかなって思ってます。

━━そうすると、アジカンとかって公言してるぐらいナンバーガールが好きじゃないですか。ナンバーガールシンドロームっていう曲があるぐらい。そこら辺から遡ってナンバーガールとかも触れていったって感じですか?

アベ:そうですね。完全にそうです。

━━そうすると、今のaoihrに結構直接的に繋がってくるっていうと、アジカンっていうベースがあって、そこからさかのぼってナンバーガールがあって、それこそさっきのPPAPとかもそこら辺からつながっていってっていう流れなわけですね。

アベ:まさにって感じです。あからさまに全部繋がっててなんだか気持ちいいですね(笑)

━━ナンバーガールにはまって、そうするとダブの要素とかが入ってくるっていうのはわかるんですけれども、シューゲイザーとかっていうのはどこらへんから入ってきているんでしょうか。

アベ:自分は実は恥ずかしいんですけれども、シューゲイザーらしきシューゲイザーバンドはあまり通っていないというか、聴いてはいるんですけれど結局好きなものは歌メロ、がすごい気持ちいいものです。本当にシューゲイザーの登竜門みたいなものすら通っていないんですよ。マイブラとかも聴き流したくらいで、ちゃんと聴いてないし、でもそういうなかでシューゲイザーの影響を受けたロックバンドみたいなものを結構通して聴いてて、きのこ帝国とか、それでも世界が続くなら、神聖かまってちゃん、そういうポップなメロディにシューゲイザー要素を取り入れるみたいなアイデアに影響を受けているという部分がすごいあるかもしれないです。

━━そっちの方なんですね。すごく納得しました。

アベ:自分もしゃべって納得しました。そういうのありますよね(笑)

━━最初単純にマイブラなのかなとか思ったんですけど、ただマイブラって程でもないなっていうのもあり。そうすると、あくまでポップなメロディで日本語の歌詞でっていうところと、そういったサウンドクリエーションが組み合わさってきているのはやっぱり、そこら辺のシューゲイザーのバンドとかの影響を受けてやっている日本のバンドのさらに影響を受けているっていう感じの流れなんですかね。ちなみに今、気に入って聴いているアーティストさんとかバンドとかっていますか。

アベ:今すごいなと思って最近聴いているのは、やっぱり米津玄師さんです。ハチ名義の頃から好きですけど、最近は特にすごい。

━━ちなみにどこら辺が。

アベ:最新の洋楽のサンプリングとかを取り入れつつ、ちゃんと日本語ロック、邦ロック的な語感だったりメロディだったりってものを両立させてるってことを今ちゃんとした規模でやっているのはあの人だけだなと思って。この先一回はギターサウンドから離れて音楽を考え直さなければいけないと思っている部分があるので、すごい参考にしています。

━━次になんですが、今後aoihrでライブをやるってなった時に、やっぱりサポートメンバーとかを集めてバンドサウンドでライブはやっていこうって感じですか。

アベ:そうですね、今年度中にもちゃんとサポートを集めて、聴きたい人に届けられるようにライブをやれたらいいなって思ってます。

━━そこは打ち込みを同期して普通に一人でやるとかではなく、ちゃんとバンドで演奏していきたいって感じですね。ただしバンドにする気はないんですよね?

アベ:ないですね。バンド演奏のメンバーを固定することはあっても、活動スタンスとしてはずっとソロでやってくつもりです。

━━あくまでアベシュンスケさんのソロプロジェクトaoihrとして一人での活動をしていきたいと。

アベ:はい。バンドの自分の意識以外からフレーズが飛んでくる感覚は好きで楽しいんですけど、それを音源に落とし込む必要性は現状感じてないというか。そういう部分を好きにやれたのがこのアルバムなのかなって思ったりしますね。だからライブではアレンジが極端に変わる曲もあるかもしれません。

━━でもバンドって今おっしゃったみたいに、自分の持っていないところから全然意識していないフレーズが飛んできたりして完成されて、それが自分の作詞作曲の楽曲であったとしても、アレンジとしてじゃないですか、あくまで。それよりは一人で全部完結してしまう方が気が楽っていう感じだったんですか?

アベ:それもかなりありましたね。今回は特に邦ロックバンドからの影響みたいなものを全部自分の好きな形でまとめ上げた集大成という形でアルバムリリースしたかったってのが一番大きくて。結果的にバンドサウンドになっただけで、今後はそういった編成にとらわれずに制作をしたいって気持ちがあります。

━━そうすると今この作品、今回の『僕と春』出しましたけれども、今後に関してはバンドサウンドから離れていくようなサウンドのものが出てくるかもしれないし、もう結構そこの辺は先を見て今考えているところですかね。次になんですが、プロジェクトaoihrなんですが、aoihrにとって重要な3つの要素、これ初めてインタビューする方皆さんに聞いているんですけれども、その3つの要素のうちどれか1つでも欠けたらaoihrじゃないなって思う重要な3つの要素を、教えていただいてよろしいでしょうか。

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アベ:まず1つは、ストーリーがあることですね。実体験であることだけが大事というよりは、例えばもっと何かしらのモチーフがあるとしたら、その自分との共通点を見つけて、歩み寄れる部分があって曲が作れてるかどうかみたいな。それと、どれだけ芸術的なものになっても、エンターテイメント性が残っているものであるべきと思っています。本当に理解されないものっていうのは作らないようにしていますね。あとは、極論ですが音楽があほみたいに売れて、プール付きの一戸建てを買ったとしても、アベシュンスケとしての音楽は続けられるけど、aoihrは続けられないと思っています。オアシスみたいになっちゃったら。ずっとオアシスのセカンドまでぐらいの気持ちで音楽を書きたい。どこかで負け続けていたいというか。

━━その負の感情というかマイナス・ネガティブなもの、ていうそういった要素がaoihrには内包されていて、それが内包されていないものはaoihrから、仮に曲ができても省かれていく感じなんですかね。

アベ:多分アベシュンスケとしてリリースされちゃうんだと思います。

━━そこらへんでアベシュンスケとaoihrっていうのは切り分けられていると。

アベ:それもありますね。去年も本名名義で大学のコンペに曲を書いてたんですけど、それの一節で、「計算式では導き出せない明日が呼んでる」ってフレーズがあって。普通に何の気もなく書いたんですけれど、こんなフレーズaoihrで絶対使わないなって、客観的に読み返したときに。なんか、そういうところの線引きみたいなものを自分の中で無意識にやってる部分があるなっていうところはあります。

━━そこらへんは、きっちり無意識化で線引きされてるんでしょうね。

アベ:そうかもしれないです。

━━次に今回の『僕と春』を一番聴いていただきたいリスナーの層とかってなにかあったりしますか。こういった人には特に聴いてもらいたいみたいな。

アベ:まず同年代ですね。もちろんいろんな人が聞いてくれたらうれしいんですけど、現在進行形で、パブリックイメージでいう青春時代みたいなものを味わっている人というよりは、そこから少し離れた人に聴いてもらえたらいいなって思っている部分があります、かなり。それは本当に時期とか年齢層じゃないんですけれど、なんというか楽しかったなって思い出が少し自分の人生の少し離れたところにある人というか、そういう人に聴いてもらって。

━━そういった時代を少し超えた人たち。

アベ:そうですね、青春っていいなというよりは青春って何ぞやっていうところを考えてもらえるような作品になっているんじゃないかなと思っています。

━━真っただ中にいるっていうよりは、若干俯瞰的にそういったものも見れるようになった人たちに対して投げかけたいっていうことですかね。ちなみにそういった俯瞰的にみるっていう部分ではアベさんも年齢的には若干俯瞰的にそういう青春だったりそういうものを見ていく年齢だと思うんですけど、そうするとここに入っている6曲っていうのは、そのさっき言っていた自身の体験だったりっていうのが軸にはなっているけども、ある程度俯瞰的には書かれているところがあるんですかね。

アベ:そうですね、かなり昔のことばっかりになるかもしれないです。あるいは昔のことをフィードバックして、今自分がどう思うかってことがかなり多いので、「少女漫画」だけは本当に高校時代に書いたものなので例外なんですけれど、かなり俯瞰的な部分が多いと思います。

━━それは今後も変わっていかないかなっていう感じですか?

アベ:うーん、これは自分の音楽に対する心構え次第なところはあるんですけれど、今回のものは今回のものとしてある程度はコンセプトとしてうまくいった、完成されたなっていう自覚があるので、今後意識的に変えていきたいなっていう部分もあったりはします。バリエーションのあるいい作品をつくるために。

━━そうするとさっき言っていた3つの要素みたいなaoihrとして重要なものていうのは外さずに、今回は今回、コンセプトとしてあるような結構青春をテーマにしたみたいなものだったのが、全くガラッと変わるかもしれないけども、大事なものは核みたいなものは変えずに違う作品としてまた出ていくかもしれないし、っていう状況ですかね。

アベ:その辺は自分一人でやってるんで、すごい好きなようにやれたらいいなって思っています。

━━そこらへんが自由さを求めて一人でやっている理由っていうところなんですかね。逆に一人でやっていて今度例えばなんですけどサポートって、サポートというかレコーディングミュージシャンみたいな人って、ドラムを叩いてもらうとか、そんなことっていうのは考えたりしないんですか。

アベ:そういう部分でも、今回完全に一人で作り上げるっていうのは、コンセプチュアルに行ったことですね。ていうのはやっぱりバンドやってたりとか、音楽関係でいろんな人と話したりして、サポートとして演奏してくれるミュージシャンもいるし、録音環境もなんならあるわけじゃないですか。その中で全部ひとりで演奏して打ち込みしたっていうのは、本当に自分の気持ちを閉じ込めるために、ぜんぶ工程を一人で行ったっていうコンセプトがあったので、正直今後はもっと積極的に外部のミュージシャンに演奏してもらったり、何ならゲストボーカルしてもらうとかそういうことも全然考えています。

━━そうしたらあくまで、本当に1から10までぜんぶ一人でやったっていうのは今回のコンセプトであり、今後そうなっていくかはわからないっていうことですね。
次に今まだaoihrの存在を知らない方で今後知ってこの『僕と春』という作品を聴く方々に対して、何かメッセージをいただいてもよろしいでしょうか。

アベ:ボーカルが小さいのでボリュームあげて聴いてください、とかですかね(笑) 正直自分の、答えになってないんですけど、自分の今大切にしていることそのものなんですよ、アルバムって。だから、いいんですけど、「いいよ!」って他の人に勧めるのは怖いところがあって。ちゃんと誰かが手に取って聞いてくれる環境をつくって、でいいなって思ってもらえたらいいなって思っているところはあります。だから誰かに勧めるってなった時に、自分ができるコメントっていうのは、これ僕ですっていうしかないです。

━━もう今の自分自身が全部詰まったものっていうこと。

アベ:音楽作りました、聞いてくださいっていう。それだけ!みたいな。

━━自己紹介、名刺代わりみたいな、ミュージシャンとしての。

アベ:そういうものが作れたと思っています。

━━さっき聴いてほしい方々にはメッセージをもらったので。逆に何か伝えておきたいこととか、言っておきたいことっていうのは何かありますでしょうか。このインタビューを読んでくれる人たちに向けて何か伝えておきたいこと。

アベ:ナンバガPPAPとかマイヘアポテトとかの流行も含めて、結構大きな規模で自分の作品がみてもらえる機会っていうのがすごい増えて嬉しいんですけれど、自分はほんとに個人で音楽やってるだけの人間なので、現状。なんか好きなように、ライブだったり、みたいな活動を積極的にできない部分があるっていうのは凄い申し訳ないと思っているところがあります。でも、音楽は全力で作っていこうと思っているのでこれからも応援よろしくお願いしますって言いたいです。

━━応援よろしくお願いしますっていうことですね。ありがとうございます。

アベ:ありがとうございます。

━━では本日はaoihr、アベシュンスケさんにインタビューをさせていただきました。では以上になります。本日はありがとうございました。

アベ:ありがとうございました。

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Kohei Murata

Kohei Murata編集長・ライター

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バンド活動を通して、自分の音楽を世界に発信する事を志しながら、同時に仕事での独立を目指して様々な業種を経験する。バンドでは日本のみならず台湾でも活動を行い、台湾でのアルバム2枚のリリースや大型野外フェスティバルへの出演も果たす。
その後、様々な仕事を経験し2015年独立。
現在は音楽メディアOptimanotesの編集長兼ライターとして、記事の執筆をしている。

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