杉山裕紀 – 悩ましき日々 Vol.25

10月です。
金木犀の匂いと同様に儚く過ぎ去る季節です
僕はと言うと、先日また一つ歳をとりまして。
色んな人からおめでとうの言葉を頂きまして、本当にありがたい事この上なしという感じでした。皆、本当にありがとう。
そして、今月のコラムが遅れたこと、これも本当に申し訳ない。
本番が近く、中々時間がとれなくてですね、まぁ仕事なんだから間に合わせろよって感じなんですけど、とにかくお待たせしてしまって申し訳ない。
11月3日、4日の二日間、そして23日~26日に舞台が控えております。
どちらも主要キャストでの出演となっております。お時間ある方は是非とも足を運んで頂ければと。詳細は僕のツイッターにて掲載しておりますので、そちらを確認してくださいな。

さてさて、今、合間の時間で村上春樹の『スプートニクの恋人』を読んでいます。
前にもチョロっと話しましたけど、女性観の低さ的なのを除けば、まぁなんやかんや僕は村上春樹の小説が好きなわけです。
いや、【好き】というと何だか違うような気もする。
どっちかというと【性に合う】と言うか、とにかく僕の性格というかそういう部分に彼の作品は不思議とすんなり入ってくるわけです。

すみれは小説を書くのが好きな文学的な女性で、それが故なのかどうなのか普段の生活がとても大雑把。しかし主人公はすみれのそういった部分や、彼女が(恐らく)自分にだけ見せる繊細な一面に心惹かれていく。
けれど、とある女性に出会い、すみれは急激に【女性】としての道を駆け進んでいく。
主人公は、すみれの変化に戸惑いを覚えながらも彼女を陰ながら想い続けるのだけど、ある日突然すみれが失踪する。

という、まぁざっくり話すとこんなものなんだけど。
僕は主人公と、変化の過程にあるすみれとのやりとりが特に好きで、主人公も大概小難しい言い回しをする男性で、すみれの変化に違和感を抱きながらも友達の時と同じように小難しく話をする様がとてつもなく愛おしく感じる。
それは一種の【親子愛】の様にも思えてくるもので、主人公は気持ちがすみれには届かないと感じながらも、それでも想いを消化させられないが為に、変化の途にあるすみれに今まで通りの自分で接する。すみれは文筆家としての自分ではなく、女性として、それも同性に対して特別な感情を抱くようになった自分に戸惑い気持ちの処理が追い付かなくなり、主人公に遠回しではあるが助力を求める。
その光景が僕には、親子愛の様にもとれるし、男と女、深い所で分かりあった愛情の様にも感じられるのだ。

とても曖昧な、柔らかい部分の感情を見事に表現してみせる村上氏の【スプートニクの恋人】。
感想は十人十色あって当然だろうが、ぜひとも手に取って読んでもらいたい一冊である。

なんつって。
なんか小難しい事を延々と書いてしまった。
ちょっと恥ずかしい。
ということで、今回はここまで。
読んでいただき、感謝。
最後に僕が特に好きな部分を抜粋して、お遊びで朗読の様なものをしてみましたので興味があれば観てもらえればと。
ではでは、また次の回で。
舞台を見に来る方は劇場でお会いしましょう。

おしまい。

杉山 裕紀

杉山 裕紀舞台俳優

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フリーの役者をしながら何とか毎日を消費している人。
普段は舞台を中心に活動しているが、声がかかれば映像の仕事にも参加。

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