[先行Review] [ALEXANDROS] – 「Sleepless in Brooklyn」

[ALEXANDROS]通算8枚目となるオリジナルアルバム「Sleepless in Brooklyn」を一足お先に聴く機会に恵まれたので、ディスクレビューをしていこうと思う。
まず、通算8枚目というのに単純に驚いてしまった。もうそんなにリリースしてたか。と。確かに、彼らはその歩みを止める事なく、常に何かしらのニュースを発信しながら、リリースを重ねてきたが、もう8枚目か、そうか、凄い事だな。と感じた。
そして、前作「EXIST!」からちょうど丸2年振りのアルバムであるという事にも驚いた。もうそんなに経ったのか。と。リリースの衝撃、オリコン1位奪取、その後の国民的バンドに成長するまでの快進撃が、目をつぶると色々と浮かんで来る。
彼らにとって、この2年はそれほど濃い内容であったし、この2年で日本の音楽シーンにはいなくてはならない存在になった事も確かだし、着実にファンを増やしている事も確かだ。
間違いなく、今の日本を代表するバンドの一つであり、世界を狙えるクオリティを常に保ちながら成長をしている稀有なバンドでもある。

と、そんな御託はいいので、アルバムの内容に入っていこうと思う。この2年振りに放たれるアルバムを聴けば、そこに全て答えが詰まっている。そんな気がしてならない。

1曲目、アルバムの幕を開ける大切な1曲である。
タイトルは「LAST MINUTE」。いきなりいい意味で裏切られた。出だしのシンセ音から、ピアノのコード、打ち込みの音、流れるような美しいメロディ、この始まりは全く予想していなかった。めちゃくちゃ良い曲を1曲目に持ってきたな。という印象。
静かな中に凄く熱い想いが込められていて、聴いていて心臓がバクバクと脈打つのが分かる。こんなに最初からドキドキさせてくれると思わなかった。最高の滑り出し。
歌詞に出てくる「暴れるクラッシュ」「潰れたパンプキン」っていうワードがきっとあのバンド達だろうな。と想起させて、また堪らない。

2曲目「アルペジオ」。PlayStation®4用ソフト『JUDGE EYES:死神の遺言』主題歌だ。
凄く凝ったアレンジが印象的なロックナンバー、川上洋平の高音ボーカルや所謂バンドのキメみたいな演奏パートが凄いカッコ良い。僕の中でタイアップ曲というのは、あまり冒険をしない。みたいなイメージがあったのだけど、そこかしこに新しい要素が入っていて、冒険だらけの楽曲で嬉しくなる。彼らの攻めの姿勢がよく分かる。

3曲目「Mosquito Bite」。映画『BLEACH』主題歌。
映画の告知映像で初めて耳にして、カッコ良さにやられた楽曲。その後リリースされフルで聴けたのだが、気分としては「世界よ!これが日本の[ALEXANDROS]だ!くらえ!」という気持ちだった。イントロからめちゃくちゃにカッコ良い!90年代~2000年代を想起させるようなオルタナティブなギターサウンドが最高。メロディの良さは言わずもがなという感じだが、もはや邦楽ではないと思う。世界基準のサウンドだ。

4曲目「I Don’t Believe In You」。『MINI 3 DOOR / 5 DOOR』 TVCMタイアップソング。
しかし、タイアップ曲の多い事。まさに今この日本を代表するバンドだという事を証明している感じがする。誰もが求めているバンド。それだけで、彼らにかかるプレッシャーはとんでもないだろう。なのに、それにしっかりと応えるどころか、先を行き予想を超える楽曲を作り続けるクリエイティビティに驚く。
この楽曲もサビまでの展開、よく思いつくな。と普通に関心してしまう。サビは[ALEXANDROS]節という感じのメロディアスなサビ。途中途中に差し込まれている電子音がフックになっていて、なんというか未来感のある楽曲に仕上がっている。これも、新境地という感じがする。

5曲目「ハナウタ」。東京メトロ『Find my Tokyo.』CMソング。
作詞を最果タヒが、編曲に小林武史が参加している。クリーントーンのアルペジオから始まる、とても綺麗で美しい楽曲。途中からオーケストラも入ってきて、楽曲のスケールが大きくなる。こういう楽曲の編曲に関わると小林武史は本当に凄いな。と関心してしまう。[ALEXANDROS]の良いところを全く殺さずに、素晴らしい楽曲に仕上げている。この楽曲は、タイアップにとても合った歌詞の世界観だと思う。綺麗な歌詞に様々なタイアップ先を思わせるワードが散りばめられている。

6曲目「PARTY IS OVER」。
ダンスビートにシンセベースの音、タイトルに付いている「Party」という単語を凄く意識するアレンジ。様々なサンプリング音が面白い。
ここまでの楽曲で凄く感じたのは、彼らの進化は留まる事を知らない。という事。新しい試みは勿論だが、バンドとしてのスケール感が前作から比べ物にならないくらい飛躍している。
どんなジャンルの音楽でも取り込んで自分達の音にしてしまう吸収力の高さ、それを凄いクオリティでアウトプット出来る実力。名実共に日本を代表するバンドになったのだな。と思う。
ダンスビートの楽曲なのに、どこか寂しさを内包した演奏と歌詞がとても印象的で切ない楽曲。

7曲目「MILK」。映画『BLEACH』挿入歌。
これは洋楽ですか?洋画の挿入歌ですよね?と思わせる。3曲目の「Mosquito Bite」もそうだが、映画『BLEACH』関連の楽曲は、『BLEACH』の作者が洋楽好きなのも関係あるのかないのか、とにかく日本、というか邦楽感が全然ない。これは彼らが昔から持っている特徴の一つでもあるが、楽曲や演奏が元々洋楽にかなり近いので、寄せたらもうそれは洋楽の其れと思わせる。
このサウンドを日本人が出している事に驚きを隠せない。カッコ良いとしか言えない。語彙力なんてものはとうに溶けてしまったようだ。レビューと言いつつ、カッコ良いしか言えてない気がする。でも、それが真理だと思うのだ。要はカッコ良い事やってるか、カッコ悪い事やってるかっていう究極。
彼らは間違いなくカッコ良い事をやってるし、それも最上級にカッコ良い事をやっている。それだけは間違いがない。

8曲目「spit!」。
あー、もう本当引き出し多いな。どんな曲でも書けるのか!どんな演奏でも出来るのか!?
前作・前々作でも同系統の楽曲はあったけども、音がより洗練されている。一見シンプルな演奏だが、それが良い。バンド全員でアンサンブルというよりはユニゾンで一気に攻め込んでくる感じ。めちゃくちゃパンクか!しかも、展開少なくそのまま最後まで押し切れるパワーがお見事!潔いとはこの事!

9曲目「KABUTO」。シングル曲。
インダストリアルメタル?と思わせる、かなりデジタリックなギターサウンドが印象的で、イントロに入っている外国人の台詞含め作りがまたまた洋楽的。完全にこのアルバム世界を視野に入れてると思わせる。
ギターの音が引いたと思ったらピアノとパーカッション、一見噛み合わなそうだが、楽曲にはしっかり寄り添っている。そして、またギターが戻ってくる。アレンジが素晴らしい。途中のシンセと英語のサンプリングパートとかはヒップホップでよく使われる手法だし、なんというか1曲の中にどれだけ要素を詰め込んでくるんだ!?と思う。何度でもリピートしたくなる中毒性のある楽曲だと思う。

10曲目「FISH TACOS PARTY」。
なんだろう、ちょっと安心感のある[ALEXANDROS]の爽やかで凄くオリジナルな部分が前面に出ている楽曲な気がする。
川上洋平のボーカルも気持ち良さそうで、凄くシンプルにバンド・サウンドだな。って感じる。このアルバムを聴き始めて、もしかしたら最初かもしれない。
ここまでが、とにかく凄くて圧倒されてきた分、本当に妙な安心感があるな。でも、凄い良い曲だな。

11曲目「Your Song」。PlayStation®4用ソフト『JUDGE EYES:死神の遺言』挿入歌。
アコギの音が幸せにさせる。気持ちの良い曲。歌とメロディが一番楽曲の中で大事にされている感じがする。サビの盛り上がりを聴いてると、ライブでシンガロングが起こるところを想像してしまう。間奏のギターソロも素晴らしい音色とメロディで堪らない。ぎゅっと心を掴まれる感じがする。
「I’ll be by your side/君のそばで鳴るよ/世界中の誰もが敵でも/僕は味方さ/I’ll be by your side because I am your song」という歌詞に胸を打たれる。素晴らしい楽曲。

12曲目「SNOW SOUND」。JR東日本 2016-2017 『JR SKISKI』CMソング。
2016年の冬、スキーやスノボが好きな人はゲレンデで何度も何度も聴いたんじゃないだろうか。今の時代の冬を象徴する楽曲になったと思う。これから先も毎年冬になると至るところで耳にするだろうな。と思っている。
タイトル通り、深いリヴァーブが全体的に効いたアレンジにとても冬感があったり、歌詞にも「雪」「白い街」「白い音」など、純白をイメージさせるフレーズが沢山盛り込まれていて、メインになっているシンセのフレーズも少し懐かしさを内包した深い音像で、全体的にやっぱり冬だな。と思う。
リスナーにそういう事を想起させるというのは、本当に難しい事だと思うし、それが出来てしまう今の彼らの実力がもはや怖い。

13曲目「明日、また」。2017『クロレッツ』タイアップソング。
軽快なギターサウンドとシンセに導かれて楽曲の幕が開き、四つ打ちのリズムとその上で気持ち良さそうに歌う川上洋平の歌が印象的に響く。
サビで盛り上がるが、世界観は一貫していてとても楽曲に入り込みやすい。途中からドラムがリズムで遊びだしたり、左右からシンセがずっと飛んできたり、賑やかだけど彼ららしくて好感度の高い印象。展開が変わるところ、めちゃくちゃカッコ良い。そこから少しずつテンションを上げて戻ってくるあたり、最初聴いた時かなりやられた。コーラスも印象的で、このコーラスもシンガロングが起こりそうだと思った。
ラストサビで綺麗に戻ってきて、気持ちよく楽曲が終わってゆく。それと同時にアルバムもスッと幕を閉じる。最後に相応しい楽曲。

全13曲聴いてきたが、勿論事前に知っていた曲も数曲ある。でも、全体で通してアルバムとして聴くとまた知っている楽曲も印象が変わってくる。
アルバムとしての完成度が高すぎて、なんというか聴き終わった時に疲れを感じた。真剣に聴きすぎて、このアルバムの持つパワーに当てられたらしい。心地いい、最高のライブを観た後みたいな幸せな疲れが体に残っていて、2度目の再生をするまで少し時間が必要だった。でも、何度も何度も聴きたくなる。というよりは、実際にもう何度も聴いているくらいやめられない中毒性のあるアルバム。間違いなく最高傑作。

このアルバム、勿論日本語で歌っている楽曲も多いが、それでも世界で戦えると思った。
サウンド・メロディ共に世界水準だと思う。彼らの言うグラストンベリー・フェスティバルへの参加、本当に近い将来叶うのではないか。そんな事を思わせてくれた。
そして、そのステージで外国人のオーディエンス達にシンガロングをしてもらいたい。同じ日本人として強くそんな事を思った。

彼らのこれからの快進撃は、間違いなくこのアルバムから始まるし、このアルバムでどこまで飛べるか今から楽しみで仕方ない。

[ALEXANDROS] – Mosquito Bite (MV)

[ALEXANDROS] – アルペジオ (MV)




Kohei Murata

Kohei Murata編集長・ライター

投稿者の過去記事

バンド活動を通して、自分の音楽を世界に発信する事を志しながら、同時に仕事での独立を目指して様々な業種を経験する。バンドでは日本のみならず台湾でも活動を行い、台湾でのアルバム2枚のリリースや大型野外フェスティバルへの出演も果たす。
その後、様々な仕事を経験し2015年独立。
現在は音楽メディアOptimanotesの編集長兼ライターとして、記事の執筆をしている。

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