King Gnu – 「白日」レビュー

現在日本テレビで放送中の土曜ドラマ『イノセンス 冤罪弁護士』の主題歌である『白日』がリリースされたので、早速レビューしていこうと思う。

私は普段あまりドラマを見るタイプではない。そもそもテレビも見ることは少なくなった。これは何も私だけの話ではなく、これを読む人の5分の2くらいには当てはまることなのじゃないかなと思ったりしている。これにはなんの根拠もないけれど。しかし何を隠そう私はKing gnuのファンなので、彼らが主題歌を務めると聞き、久しぶりに時間を気にしながらテレビのスイッチをオンにした。

そこで流れるのはある意味でありがちな主人公の黒川拓のちゃらんぽらんさ、とそれを口うるさく注意するヒロインの像。もちろんそれは話が進んでいくに連れて大きく姿を変える。拓の強さと、その裏に垣間見える弱さが、際立って両極的に映し出される。相手の苦痛にそっと寄り添って、一緒になってもがき、また喜んでくれることは間違いなく強さである一方で、彼の弱さでもあるのだと思う。他者を切り捨てることのできない「弱さ」。他人の苦しみを自分の中に抱え込んでしまう「弱さ」。

自分にも感情があるように、目の前にいる人間にも同じようにいろんなことを感じ、泣き、笑い、怒り、悲しんだりする。そんな当たり前をいつだか私たちは忘れ、置いて来てしまう。そんな「弱さ」を思い出させてくれるのがまさにこの『白日』という曲なのだと感じた。

日々は大抵楽しいことだけではない。よくわからない理不尽やら、避けようもない不運に見舞われたりする。自分の持っている感情で手一杯で他の誰かが何を抱えているかなんて、気遣う余裕なんてなくなってしまう。だから「時には誰かを知らず知らずのうちに傷つけてしまったり失ったり」する。それはどうしようもないことで、それを怒るでもない、嘆くでもない、ただ淡々と事実を語るように彼らは歌い上げてくれる。その仕方なさを肯定もしてくれる。ゆるい諦観が漂う歌詞。だからこそ強く揺さぶられるのだろうか。この曲は必ずしも優しいだけではない。聴いていると苦しくもなったりする。ざわつかされる。かき乱される。それでも聴きたくなる。自分が「弱さ」だと捨てていたものに、気付かされる。「真っ新に生まれ変わって人生一から始めようか」彼らは強制するのではなく、あくまで気づかせてくれるだけ。動くか否かを選択するのは自分自身の手に委ねられている。

私たちは誰しも主人公の黒川拓と同じ「弱さ」を抱えて生きていくのだ。「弱さ」は多くの苦しみも辛さも生み出してしまうもので、それでも、きっと、それ以上の何か大切なものを運んできてくれる「強さ」でもある。
そんなドラマからはますます目が離せないし、King gnuの『白日』もひたすら繰り返し聴くしかない。最高のマッチングに完敗!


■『白日』配信リンク 

尾方里菜

尾方里菜デザイナー・ライター

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表現することが好きな、どこにでもいる普通の人。思い立ったらなんでもやりたい。我慢できない性質(たち)。
現在はデザイナーとして修行しつつ、このメディアでライターも経験させていただいております。
趣味は写真を撮ることと絵を描くこと。好きな言葉は「鳩だって死ぬところを見るまで不死身だ」よろしくどうぞ。

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