[先行Review] millennium parade – THE MILLENNIUM PARADE

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2021年早々、とてつもないアルバムが完成してしまった。
待望の、本当に「待望の」という言葉でしか表現出来ない、millennium paradeの1stアルバム『THE MILLENNIUM PARADE』がついにリリースされる。

2019年に始動したこのプロジェクトは、今や国民的バンドになったKing Gnuの頭脳、鬼才・常田大希が率いる全く新しい形態のバンド・プロジェクトだ。メンバーは常田大希を筆頭にミュージシャンはもちろん、クリエイティブ・ディレクター、デザイナー、デジタルアーティスト等を内包する、クリエイターによるクリエイターの為のバンド・プロジェクトと言ってもよいと思う。
関わるメンバー全員が尖った感性をぶつけ合い出来上がる楽曲やMVやアートワーク、ライブ演出まで、とにかく細部にまで拘り抜いて作られるバンド・プロジェクトだ。

すでに楽曲は数曲リリースしてきたし、ライブも何度か行っているが、アルバムはまだ出ていなかったので、きっと待っていた人が多くいるに違いない。僕もそんな待っていたうちの一人だ。新しい楽曲がリリースされる度に、「アルバムはまだかな。」と思い続けた。そんなmillennium paradeの1stフルアルバムがついにリリースされるのだ。

アルバムリリースのニュースとトラックリストが届いた時、僕は歓喜した。ついに、ついにアルバムが出るのか、と。そして、その時の興奮が冷めやらぬまま、今僕はこの記念すべきmillennium paradeの1stフルアルバム『THE MILLENNIUM PARADE』をついに再生する。これは、所謂ディスクレビューではないかもしれない。多分に主観が交じるかもしれない。でも、それも許して欲しい。このレビューを読んでくれている人たちと気持ちはきっと同じだ。このアルバムの感動を一緒に共有したいし、これからmillennium paradeに興味を持つ人に純粋なアルバムに対する気持ちを届けたいと思って書いている。

さて、前置きが相変わらず長くなってしまったので、早速アルバムの内容に入りたいと思う。

1曲目「Hyakki Yagyō」。
millennium paradeのコンセプトでもある『百鬼夜行』をローマ字にした、正にアルバムが始まるのにふさわしいタイトルだ。肝心の楽曲はと言うと、いきなり花火の音からスタートする。
世の中の誰もが想像もしていなかった新型コロナウィルスのパンデミックにより世界中が大混乱の中2020年という年を過ごした。そして、2021年を迎えた今リリースされるこのアルバムには「失われたものへの弔いと、新しい年を迎えた祝祭」の意味が込められており、問題集結への願いをかけた手筒花火がテーマとなっている。そのテーマの通り、まずは沢山の花火の音や森洸大のTekiyaの声、そんな和の雰囲気に、常田大希の実の兄である常田俊太郎によるコラージュのようなOrchestaral ProgrammingやViolinが鳴らされアルバムの幕が上がる。40秒程という短いトラックではあるが、その中の音の密度がとんでもない。そして、上記したようにコラージュのように組み立てられているからこそ、いきなりサウンドのバランス感覚や、この楽曲の作曲・アレンジがいかに凄いかを叩きつけられる。こんな最高な始まりのアルバムに期待で胸が踊るばかりだ。
いよいよ「結びの花火と千年語り継がれる物語」が始まった。

2曲目「Fly with me」。
前曲の終わりからシームレスに音が繋がり、今現在のmillennium paradeを代表する楽曲でもあり、日本が世界に誇る漫画・アニメーションでもある『攻殻機動隊』の最新作、Netflix Original『攻殻機動隊 SAC_2045』の主題歌でもある「Fly with me」のイントロが始まる。昨年リリースされた時に衝撃を受けて、それから何度となく聴いてきた楽曲なはずなのに、アルバムで聴くとまた新鮮で鳥肌が立つ。
ハープの綺麗な音色からドラムインと同時に鳴らされるバンドサウンドがたまらない。常田大希のもつ様々な音楽的素養がミックスされ、聴いた事もないようなサウンドが展開されるけれど、どこをどう切り取ってもPopでDopeで、そこへ入るHIMI, ermhoi, 森洸大, 長塚健斗のVocalがあまりにも魅力的だ。楽器隊もMELRAW, 常田俊太郎, 江﨑文武, 新井和輝, 勢喜遊, 石若駿とmillennium paradeを代表するメンバー構成にTrumpetに真砂陽地,Organに宮川純となんとも豪華なメンツである。改めてmillennium paradeというバンド・プロジェクトの凄さというか、表現者・芸術家たちの狂宴を感じる。

——————
Its time to get down with me
Or you can get high with me
Its time to get down with me
And maybe you will Fly With me

【対訳】
一緒に落ちて行こうぜ
一緒にハイになろうぜ
一緒に落ちて行こうぜ
俺達はきっと飛ぶことができる

——————

というサビの歌詞が、millennium paradeのアティテュードを表していて何度聴いても最高!

楽曲は昨年発表されたトラックの後に和太鼓のような音でリズムが入り3曲目へ繋がってゆく。

3曲目「Bon Dance」。
2020年末の大忘年会(millennium parade 3D Live 2020)でも1曲目に持ってきて印象的だった楽曲。こちらも「Fly with me」に続きermhoiのLyricsとVocal。
前曲最後のリズムはそのままに、花火の音が鳴り、Synthesizerの音が印象的に鳴り響く。「イエー」という声と共に可愛くも痺れるイントロのフレーズが始まり、そこへ歌が入ってくる。のっけからあらゆるメロディーが素晴らしい。全楽器がインパクトのあるフレーズを鳴らしているのに不思議とぶつからず、全てが綺麗に溶け合って、でも美しいいびつさを内包しながら楽曲が進行してゆく、もう耳が大変な事になって追いつかない。
Bon(盆) Dance(踊り)というタイトル通り、思わず体が動いてしまうようなリズムにermhoiのストレートながらも詩的な歌詞がメロディにマッチしていて、この楽曲も何度も聴き入りたくなる。全部の音が知りたくて、全部の音を追いかけたくて、でも体を動かしたくて、こんな気持ちにさせてくれる音楽に出会えて、ただただ幸福。

4曲目「Trepanation」。
ここでmillennium paradeでは初登場のFriday Night Plans。LyricsとVocalを担当している。Trepanationっていう、医療や儀式(頭蓋骨の一部に穴を開ける術、それによって脳の病気治療や、その一方で幻覚などが見えるようになる。など言われている。)、そういった類のある種オカルト的な意味深なタイトルを持ってくるあたり、Friday Night Plansもやっぱり視点が面白い。歌詞は何度聴き返しても100%の理解は出来ていないと思う。でも、この楽曲のサウンドスケープの不思議さにやはり歌詞の内容がぴったりだと思った。
曲のど頭のドリルのような音は、さながら頭蓋に穴を開ける音に聞こえてくるし、生楽器を少なめにしたトラックも引き算の要領でとてもインパクトがある。millennium paradeの重要な要素として、クラシックとエレクトロニカは欠かせないと思うのだが、その2つが見事に合わさって、これでもかとクールなトラックが出来上がっている。その上で気持ちよさそうに歌う表情豊かなFriday Night Plansの声、正にこの楽曲に必要とされた声だと思う。最後は潔くカットアウトで締め。

5曲目「Dead Body -Interlude-」
ここで約30秒のInterlude。「Dead Body」というタイトルからは想像がつかなかった海中のような音と共に鳴らされる美しいViolinとCello。ちなみに、Violinは常田俊太郎, Celloは村岡苑子。
millennium paradeの楽曲では、常田大希はもちろん沢山の楽器をプレイしているのだけれど、自身がチェリストでもあるのに、ここで村岡苑子が演奏に入ってくるあたり、このバンド・プロジェクトの重要なポイントだと思う。やはりmillennium paradeは表現者達のぶつかり合いであり、これでもかとアーティスト達が尖った表現を発揮出来る場所になっているのだと感じる。それは、どの楽曲を聴いていても一貫して感じるところだ。
30秒という時間は、例えば何もせずにただ待つのには結構長い。でも、このサウンドスケープを聴いていると30秒なんて1秒くらいの体感で過ぎてゆく。それほどまでに美しい。そして、またしてもそのまま次曲へシームレスに繋がってゆく。

6曲目「Plankton」。
すでにリリースされていた楽曲ではあるが、前曲「Dead Body -Interude-」から繋げて聴くことによって、この楽曲も新鮮に鳴り響く。イントロ頭のコーラスで鳥肌。直後に入ってくるermhoiのVocalが心の深いところまで刺さってくる。
この楽曲のMVは個人的にとても好きな作品で、奥が深く、生物、地球、環境、そんなものがPERIMETRONによって美しくも儚く、でも希望を持って描かれている。初めてMVを観た時に思わず涙が出たのを今でも覚えている。

歌詞の中で印象的に歌われる以下のフレーズが本当に本当に素敵な表現だと思う。

——————
If you would let me, we still have got time time for the last dance

【対訳】
もしあなたが許すなら、まだ最後のダンスの時間はある

——————

この楽曲のMVPは江﨑文武に個人的にはあげたい。Piano, Rhodes and Synthesizer担当なのだが、特に楽曲中のSynthesizerとラスト追加になったパートがこの楽曲の美しい世界観を増幅していると思う。この人の鍵盤はいつ聴いても終わってほしくないと感じる。こんなに人の心を掴む演奏家はなかなかいないと思う。そんな気持ちで聴き入っていると、またしてもシームレスに次曲へ。いやはや、最初からそうだったけれど、このアルバムは全曲通して一つの作品なんだな。と当たり前だけど、なかなかその当たり前が出来ない事を知っているからこそ、あまりの完成度に驚かされる。

7曲目「lost and found」。
江﨑文武の鍵盤からこの曲に繋がる瞬間の静かなる爆発力よ、、。ermhoiの歌から始まるこの楽曲は僕が2019年に発表された世界中の楽曲で一番サウンドスケープが美しいと思った楽曲だ。そして、今改めて聴いてもその気持ちは変わらない。
言葉が詰まりに詰まった独特のメロディに打ち込みと合わさった勢喜遊のタイトで手数の多いインパクト大のドラミング。そして、しっかりと土台を支える新井和輝のベース。一歩間違えばロックになりすぎてしまいそうなアレンジをここまで美しくさせているのは、勢喜と新井のリズム隊の凄さ、そして江﨑文武と常田俊太郎のPianoやViolinのお陰だろう。ちなみに、ライブではこの美しさをキープしたまま生演奏の良さがプラスされるので、是非一度ライブで聴いて欲しいと思う楽曲でもある。
ここまで、ほとんどの楽曲のボーカルを担当しているermhoiだが、どの楽曲でも表現方法が変化し、その曲その曲に完璧に馴染みながら彼女しか歌えないような歌唱を聴かせてくれるのだけど、同時にLyricsに於いてもその才能をいかんなく発揮していると思う。

millennnium paradeの楽曲達に共通するワードを一つ挙げろと言われたら、僕は迷わず「美しさ」と言うと思うのだけれど、その美しさに多大なる影響を及ぼしているのは間違いなくermhoiの言葉と声だと思う。DTMP時代から常田大希の作品に参加してきた、同世代の彼女だからこそ、ここまで完璧に常田大希の楽曲にハマるんだと思う。

8曲目「matsuri no ato -Interlude-」。
Interludeと言うと、曲と曲の間に演奏される間奏みたいな立ち位置なのだが、僕はこの「matsuri no ato」という楽曲を間奏と捉えたくはない。なんでかと言うと、ひとえにあまりに楽曲が素晴らしすぎるからだ。
この楽曲は1分弱の楽曲になっていて、2021年頭にNHKで放送された常田大希のドキュメンタリーに於いて、次曲「2992」を演奏する時にも演奏された楽曲だ。僕はこの楽曲あっての「2992」だとさえ思ったし、逆に「2992」あってこそのこの楽曲だとも思う。ここまで何度か言っているけれど、このアルバムがシームレスな仕上がりになっている事、全ての楽曲で一つの作品になっている事、それを証明するかのような楽曲・立ち位置だと思う。
様々なオーケストラ楽器がコラージュのように演奏されており、これは常田俊太郎のOrchestral Programmingが本当に素晴らしい仕事をしていると思う。そこへTwin Drumで入る石若駿と勢喜遊のプレイの幅の広さにも驚かされる。どこかの楽団の演奏を聴いている気持ちになる。そして、次曲「2992」へ向けて最高に気分を上げられる。
そういう意味でもこの楽曲のアルバムに於ける重要性というのは計り知れないと僕は感じた。
さて、上記した意味がすぐに分かると思う。

9曲目「2992」。
前曲「matsuri no ato」の最後、一瞬の完璧とでも言いたくなる間の後にゴリゴリのベースラインで始まる。NHKスペシャル『2030 未来への分岐点』のテーマ音楽として制作さた楽曲だ。
新井和輝のベースライン、ここまでで一番ハードなアプローチ。石若駿のドラミングも一体どうすればこういう事になるのかという圧巻のプレイ。そこへ見事に混ざり合うオーケストラ。圧倒的、、、。
NHKの常田大希のドキュメンタリーにて、この楽曲の制作を追った姿が放送されたが、クラシック楽器を大胆に取り込んで、それを何度も何度も破壊して、また構築してトータルで150トラックを超える音を組み立てる姿は狂気すら感じるほどのミュージシャンシップだった。1992年生まれの常田大希と作詞を担当したermhoiによる1000年paradeしたら2992年という意味合いでの「2992」というタイトルが非常に素晴らしい。様々な意思や意図や意味が込められていて、でもシンプルで良いタイトルだと思う。
ここで鳴らされている音の数々は確かにとんでもない情報量だと思う。でも、ただ身を委ねて気持ちよく聴く事も出来る。このバランス感覚の鋭さはどの楽曲でも言える事だけれど、尋常ではない事だと思う。楽器を上手に演奏する人、良いメロディを書く人、良い歌詞を書く人。そういった人は沢山世の中にいると思う。でも、常田大希という才能はそのどれもが一線を超えている。全てに於いて突出した能力を備えていて、その全てでもって「音楽」を体現出来る。それが常田大希という人間だと強く思う。millennium paradeはそんな常田大希のこれまでの音楽人生の全てが詰まっていると言っても過言ではないと思うし、この「2992」という楽曲の圧倒的なオリジナリティ、全く聴いた事のないサウンドスケープ、それらは確実に音楽の世界を変えてゆくのだろう。そんな事をアルバム途中ながら確信する程の作品だ。
本当はもっとこの楽曲について深堀りしたいところだけれど、1曲について書くだけで何かの論文のようになってしまいそうなので、とにかくこの圧倒的なまでのオリジナルな音を全身で浴びて感じて欲しい。と書いておく。

10曲目「TOKYO CHAOTIC!!! -Interlude-」。
ここでInterludeを挟む。内容的には常田大希が今までに作ってきた様々な作品の一部をコラージュして、ラジオの回線を切り替えるように楽曲の一部一部が流れるというもの。使用されている楽曲は以下。

『Mirror Neuron』by DTMP
『Flash!!!』by King Gnu
『Prêt』by DTMP
『Mannequin』by DTMP
『Angya』by DTMP
『WWW』by DTMP
『McDonald Romance』by King Gnu

これは是非とも実際の音を聴いてもらいたいのだが、ただ様々な音を繋げただけではないし、1曲として完成された作品だと思う。音楽の世界でもコラージュは手法として存在しているものではあるが、こんなに気持ちの良いものはなかなか聴く事が出来ない。これもInterludeなので約30秒と短いのだが、このトラックだけを何度も再生したくなる。そんな音に仕上がっていると思う。そして、King Gnu『McDonald Romance』の井口理のVocalが聴こえたと思ったら、そこから次曲のイントロへ。この流れも最高だ。

11曲目「Philip」。
かつてKing Gnuの前身バンドSrv.Vinciで発表された「Stem」という楽曲のリメイクでもあるこの楽曲は「Stem」でもLyricsとRapを担当した中野裕太が改めてLyricsを書き、Rapをしている。今までにmillennium paradeが発表してきた楽曲には全てMVが存在する。そして、その映像作品は常田大希が主宰しているPERIMETRONというクリエイティブレーベルが作っているのだが、この楽曲は特にMVと楽曲との親和性が高い作品で、MVとどうしても関連付けて話したくなる。
詳しくは、この楽曲が発表された時に「Philip」のみのレビューを書いているので、以下リンクから読んでもらえたら嬉しい。

[Song Review] millennium parade – Philip

12曲目「Fireworks and Flying Sparks」。
前曲「Philip」のラストに誰かの足音、そしてライターをつける音が鳴る。そしてガットギターの優しい音色から楽曲がスタート。ここで常田大希のメインボーカルにKing Gnuから井口理のVocalが混ざり合う。millennium paradeの楽曲には英語だけではなくフランス語や日本語等、様々な言語の楽曲が存在するのだが、このアルバムでは初めての日本語詞、そして常田大希自身の作詞だ。
この人の書くLyricsも音同様一筋縄ではいかない。なぜこんなにも胸を締め付けるような言葉を綴れるのだろうか。日本語の可能性みたいなものがまだまだ未知数だという事を認識出来る言葉の数々。リスナーとして新たな発見が沢山ある。それらがサウンドと相まって飛び込んでくる。
一言で言うならば、ミドルテンポバラードのような楽曲ではあるのだが、たぶん「ミドルテンポバラード」と聴いて人々が思い浮かべる楽曲とはかけ離れているのではないかと思う。音の密度、様々なジャンルをミックスしたコード進行やアレンジ、楽器の音色、その全ての体験が新しい。本気で世界を変えようという人たちの作る芸術はこれほどまでに美しいのかと、もはやノックダウン寸前だ。

13曲目「The Coffin -Interlude-」。
ここで1曲目「Hyakki Yagyō」を思い返させるようなInterludeを挟む。約50秒間、日本の祭りのようなサウンドとOrchestraのコラージュ的サウンド、森洸大のTekiyaが入り混じり、それらが完璧なまでに一つに溶け合っている。このアルバムには何度かInterludeが入るが、その全て1秒1秒まで拘りに拘り抜いているのがよく分かる楽曲だと思った。
そして、打ち上げ花火が上がる「ヒュー」という音の後に一斉に楽器の音が鳴り響き、サウンド的には全く違うのだが、さながら花火の開く音を連想させるような展開でラストの楽曲へ。

14曲目「FAMILIA」。
まずは、これを書いておかなくてはと思うのだが、今や時代の寵児である常田大希をもってして「俺これ以上いい曲かけないんじゃないかなと…(笑)」と言わしめた楽曲だ。常田大希の親友でもある俳優綾野剛主演の映画「ヤクザと家族 The Family」の主題歌として書き下ろされたこの曲がアルバムの最後を飾る。
すでに先行配信とMVの公開がされており、映画も絶賛公開中なので、この楽曲は聴いている人が多いと思う。一言、常田大希の言う通り、こんなに良い曲がかつてあっただろうかと思わされる。それほどまでの名曲。

優しくも荘厳なサウンドに文学的な言葉。これがmillennium paradeの楽曲への初参戦となったKing Gnu井口理の圧倒的な歌唱力・表現力。ただの一リスナーである僕が何故か誇らしくなってしまうほどの完成度。常田大希はこの楽曲のVocal選びについて、「俺が日本語の曲を作詞作曲した時に呼ぶのはそりゃサトルだろという事で、サトちゃんミレパ初参加でお送りします」と語っている。
常田大希と井口理のツインボーカルという点だけで言えばKing Gnuと一緒なのだが、King Gnuとは全く別物だ。どちらが良いとか悪いとか、そんな優劣の話ではない。ただただ、このmillennium paradeの特異性をきちんと孕み、その上で壮大なバラードに仕上がっている。

ここで語られる愛の物語はあまりに深く、僕の胸に刺さってくる。

——————
走馬灯に映る全ての記憶が
あなたで埋め尽くされたなら
もう思い遺すことは無い

——————

この一節で思わず涙が溢れ出た。
映画の内容を知らないまま僕はこの楽曲を聴いたのだが、それでも映画の内容までもが素晴らしいであろう事が楽曲から伝わってくる、そんな楽曲だと思ったし、MVも素晴らしかった。
アルバムの最後、これほどふさわしい楽曲はなかったと思う。最後の音が途切れる瞬間までただただ音に耳を傾け、胸を締め付けられ、涙しながらアルバムを聴き終えた。

millennium parade、待望のファースト・アルバム「THE MILLENNIUM PARADE」を聴き終えてしまった。あまりのとんでもない完成度のアルバムに放心状態ではある。でも、なんて気持ちのいい余韻なんだろうか。2週目に入るには少し時間を置きたい気持ちではあるが、これは飽きとかとは全く無縁のアルバムだ。音楽の歴史にしっかりと爪痕を残し、スタンダードになるべき全く新しい音の世界。全く新しい誰も聴いた事のない音楽。
この音楽を生み出した常田大希という音楽家の凄まじさ、そしてメンバーはもちろん、参加している音楽家・表現者たちのパフォーマンスのあまりの高さに終始驚いた。きっとこれは奇跡であり時代の必然でもあるのだろうと思う。なぜだろうか、自然とそう思い受け入れられる自分がいる。

誰も2020年の新型コロナウィルスなんて想像出来なかったわけだし、それがなければこの作品は全く違った作品になっていたかもしれない。でも、なぜか聴き終えた今、これは必然的に生み出された歴史的作品だ。と思ったのだ。

文中何度も書いてきたが、この「THE MILLENNIUM PARADE」というアルバムは全14曲入りだが、全てがシームレスに繋がっており、通して聴くと、まるで1曲かのように美しくまとまった作品でもある。もちろん気に入った楽曲を何度も繰り返し聴くのも良い。だが、個人的には1曲目から最後14曲目まで、通してそのまま一つの作品として聴きたいという気持ちが強いし、そうする事で、このアルバムの本質に少しづつ近づくような、そんな気持ちに今はなっている。
そして、上記した事がいかに大変で難しい事かを是非分かってもらいたい。14曲という楽曲をまるで一つの楽曲かのようにまとめるというのは、本当にクラシックの壮大なオーケストラ楽曲を作り上げるのと同レベルの制作だと思う。それが、歌が入った作品で行われているというのは、もはや奇跡に近い。

そして、更に一点恐ろしい事実が残っている。
最初に書いた通り、millennium paradeは常田大希率いる、音楽という垣根を超えたクリエイターたちによるバンド・プロジェクトだ。アートワークや映像、その他このバンド・プロジェクトに関わる全てが、尖った芸術家・表現者で構成されている。だから、僕はまだこの作品の音楽部分しか触れていない事になる。
今回リリースされるアルバムのジャケットはすでに公開されているが、それだけでもアートワークの素晴らしさが伝わるものだが、完全生産限定盤にはフィギュアなども含め、細部まで拘り抜いたアートワークが盛り込まれているらしい。それら全てをもってしてこのアルバムは本当の完成なのだろうと思っている。

今回アルバムのレビューを書くにあたり、なるべく音楽的なネタバレみたいなものは避けて書いたつもりだ。それには一つだけ個人的な理由があって、そんな安々と短い文章にまとめていい作品じゃないと思ったからだ。一つ一つの音を追いかけて深くまで触れだしたら、本当にキリがないし、きっとすぐに全ては掴めないし、その状態で上っ面だけで文章を書いたらこの圧倒的な名盤に失礼だと思った。そんな気持ちになったので、音楽についてはとにかく聴く人それぞれが全身で感じて欲しいと思った。きっと、聴く人それぞれで感じ方も思う事も違う事だろう。

ただ、一言言うのであれば、僕はこのアルバムを歴史的な傑作だと感じた。
よく日本の音楽で言われる「世界で通用する、しない」みたいな基準があるが、このアルバムに関してはそんな事を話題にする事自体がバカバカしいと思う、日本だの世界だの関係がない、これは2021年にたまたま日本でリリースされるただただ偉大な音楽作品であり芸術品だ。

本当に1000年後の世界までこのアルバムは残ってほしい、僕は心からそう思う。
まだまだ2021年もどうなってゆくのか分からないし、世界が今後どういう風になっていくのかなんて誰にも想像が出来ない。未来の事は誰にも分からない。
でも、この作品が2021年現在、世界の事を思って鳴らされている事は聴いていて存分に体感した。だからこそ、このアルバムは歴史的な事件でもあると思うのだ。

常田大希の挑戦は、まだ始まったばかりだと僕は思っている。
その第一歩を完璧なものにして踏み出したのだな。と感じる。これから先、このmillennium paradeがどうなっていくのか、とにかく目を離す事なんて出来ない。

このアルバムを待っていた人たちも、これからmillennium paradeを知る人たちも、これから一緒に彼らの全てを楽しもう。そして一緒に歴史の生き証人になろう。
そんな気持ちで、とにかく沢山の人にこのアルバムが届いて欲しいと心より願うばかりである。

彼らのように本当に心から願えば、世界はきっと変わる。
そんな大切な事も学ばせてもらえた気がする。

さあ、
「失われたものへの弔いと、新しい年を迎えた祝福」
を僕らもmillennium paradeと共に始めよう。

millennium parade – THE MILLENNIUM PARADE (Official teaser)

millennium parade – Fly with me

millennium parade – Plankton

millennium parade – lost and found

millennium parade – Philip

millennium parade – FAMILIA

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常田太希 milleniumparade
【商品情報】
■リリース日:2021年2月10日(水)
■先行配信:2021年1月8日(金) “2992”, 1月22日(金) “FAMILIA”
■アルバムタイトル:THE MILLENNIUM PARADE
■アーティスト:millennium parade
■アルバム各ストア予約リンクファイア
■先行シングル配信ストアリンク:
“Bon Dance”
”2992”
“FAMILIA”

■仕様:
[完全生産限定盤]
12inch スペシャルBOX仕様
初回限定盤(CD+Blu-ray)
オリジナル小鬼フィギア 3体
構想盤(カセットテープ)
価格:¥10,000+tax
品番: BVCL-1130~1133





[初回限定盤]
CD+Blu-ray
価格: ¥4,500+tax
品番: BVCL-1134~1135

[通常盤]CD
価格: ¥3,000+tax
品番:BVCL-1136

■収録内容
[CD](完全生産限定盤・初回生産限定盤・通常盤共通)
01. Hyakki Yagyō
02. Fly with me (Netflix Original『攻殻機動隊 SAC_2045』主題歌)
03. Bon Dance
04. Trepanation
05. Deadbody
06. Plankton
07. lost and found (『DIOR and RIMOWA』コレクションムービーテーマ音楽)
08. matsuri no ato
09. 2992 (NHKスペシャル『2030 未来への分岐点』テーマ音楽)
10. TOKYO CHAOTIC!!!
11. Philip (『adidas CASUAL Collection 2020 Fall/Winter』)
12. Fireworks and Flying Sparks
13. The Coffin
14. FAMILIA (綾野剛主演映画『ヤクザと家族 The Family』主題歌)

[Blu-ray](完全生産限定盤・初回生産限定盤のみ)
millennium parade Live [email protected]新木場Studio Coastから
4曲(Fly with me, Slumberland, Plankton, lost and found)&ミュージックビデオを収録。

[Cassette tape] (完全生産限定盤のみ)
■Side A
1.WWW
2.Onibi
3.Prêt
4. Porter

■Side B
1.Angya
2. Ennui
3.Mannequin

■対象店舗/特典内容
・Amazon.co.jp:メガジャケ
・millennium parade応援店:Music Video Poster (B2) Type A
・TOWER RECORDS全店(オンライン含む/一部店舗除く):Music Video Poster (B2) Type B
・TSUTAYA RECORDS全店(一部店舗除く/TSUTAYA onlineは予約分のみ対象):Music Video Poster (B2) Type C
・HMV全店(HMV&BOOKS Online含む/一部店舗除く):Music Video Poster (B2) Type D
・楽天ブックス:Music Video Poster (B2) Type E
・Sony Music Shop:Music Video Poster (B2) Type F

※特典は数に限りがありますので、無くなり次第終了となります。あらかじめご了承ください。
※上記の店舗・オンラインショップ以外での配布はございません。あらかじめご了承ください。

【配信ライブ公演概要】
millennium parade Live 2020
日時:2021/2/14(日)19時開場 20時開演
チケット料金:¥3,600(税込)
見逃し配信:2/21(日)23:59まで

チケット販売期間
2021/1/23(土)18時~2/21(日)17:59
国内用サイト
海外用サイト

常田大希 millenniumparade
【millennium parade プロフィール】
東京のプロデューサー/ソングライターである常田大希を中心とした、デジタルネイティブなミレニアル世代のミュージシャン、映像ディレクター、CGクリエイター、デザイナー、イラストレーター等々、様々なセクションを内包しつつ、クリエイティブファーストに自在に伸縮する新しいスタイルのバンドである。

日本の説話に登場する、深夜に徘徊をする鬼や妖怪の群れ、および、彼らの行進を意味する”百鬼夜行”をコンセプトとしており、”世界から見た東京”をテーマに掲げ、混沌としたリアルな 東京の面白さを世界に向けて発信。

2019年5月にプロジェクトのローンチパーティとして行った3Dを用いたライブのチケットは話題が先行し、即日完売。続く東阪ライブツアーもチケットの入手は激戦となった。

DIORとのコラボレーションや、日本が世界に誇るアニメーション『攻殻機動隊 SAC_2045』の主題歌を務めるなど、新たな価値観の提唱者として大きな注目が集まっている。

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Kohei Murata編集長・ライター

投稿者の過去記事

「どんなジャンルの音楽でも、良いと思った音楽は有名だろうと無名だろうと関係なく、たくさんの人に勧めたくなる。」という特性から、文章執筆素人ながら2015年に突如音楽メディアを立ち上げ、現在はOPTIMANOTESの編集長兼ライターとして、記事の執筆をしている。

現在は自身のことをライターと、少しは言えるようになっている天の邪鬼気質。

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