村田悠生「いざイグニッション!」 Vol.27 – テンポの良さが作品の良さを左右する

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山路を登りながら、こう考えた。
智に働けば角が立つ。情に掉せば流される。意地を通せば窮屈だ。とにかく人の世は住みにくい。

めちゃくちゃ久々、久方ぶりにガチ目でヤバ目な素晴らしい冒頭だぜイエー。
ちょっとどころの騒ぎじゃないくらい意味の分からないテンションになってしまいました。
今回の冒頭は夏目漱石の「草枕」からです。
自分は小説家じゃないのですが、ここでコラムを書かせてもらえている以上、レベル1だとしても物書きなのでとても勉強になる冒頭です。

まずテンポが良いよね。いやまずっていうかもうそれに尽きる。
こんなに読みやすく、理解しやすい心理描写を冒頭に持ってくるなんて。
どうかしてるぜ夏目漱石。

僕はですね、音楽だろう、映画だろうと、小説だろうと、アニメだろうと、漫才だろうと、漫画だろうと、会話だろうと…
作品のテンポっていうのは本当に大事なものだと思うんですよ。

音楽は言わずもがな、
漫画のテンポが悪いと「いやお前いつまで修行してんだよ早く戦えよ」ってなってファンは離れていってしまう。
映画も序盤で怒涛の展開を見せてくれたのに、後半はなんか説明口調の説教くさいことばっかだとみんな寝ちゃうよね。
漫才だって絶妙な間で最高のツッコミを入れてないと、お客さんの反応も微妙なもんになっちゃうんです。

僕自身このコラムを書いている時にテンポよく読めるかどうかをものすごく意識しています。
読み手が気持ちよく、楽しく、わかりやすく僕の書いた文章を読んでくれるにはどうしたら良いかって言うのを常に意識している訳です。

そして、やはり売れている多くの作品を思い返してみると、どれもこれもアレもソレもテンポのいい作品ばかりだなあと思うんですね。

ここ最近で言えば…ってまあ強いて僕が言うこともないんだろうけど皆さんの予想通りの「鬼滅の刃」じゃないでしょうか。

この作品のアニメは本当にテンポを大事にした作品だったと思います。
もちろんそれだけが理由でここまで売れた訳ではないですよ?
主人公の家族に対する愛、鬼に対する気持ち、仲間に対する絆。
そして積み上げていった経験やその他背負ってきたものが、窮地に爆発するカタルシス。

元々の漫画の完成度も高かった。
ただ、アニメの演出が輪をかけて素晴らしかった。
第一話からテンポよく話は進み、修行から実戦、強敵の出現、仲間との成長そしてまた修行。
この流れがとてもスムーズで視聴者を「早く次が見たい!」という気持ちにさせてくれた。
そしてその展開の良さから漫画も読みたい、さらに先が見たい、という連鎖反応になっていったんだと思います。

前回のあらずじにまでに1/3を使い、
「おおおおおお!!!」って気合いを溜める時間に1/3を使い
「なんだこれは!?」と敵がびびっているところに1/3を使って次回予告。
なんてことが無い素晴らしい展開でした。いや何がとは言いませんけどね。

ちなみに1話から19話までの話は本当に素晴らしいと思います。

未だ鬼滅の刃を視聴されていない方、アニメを19話まで頑張ってみてほしい。
19話を見終わったとき、何かを感じるはずです。
・・・多分。

あとは必殺技の語呂の良さも印象的ですね。
たとえば「雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃」
もうこれほんと秀逸。
口に出して言いたくなるよね。
言ったあと絶対気持ちいいよね。

昔の必殺技のトレンドっていったらさ(そもそも必殺技にトレンドがあったのかはさておき)

「カメハメ波ー!」
「霊丸ー!」
「アバンストラッシュ!」
てな具合に、ものまねができる技が人気だったと思うんだよね。

でも今って
「デラウェアスマッシュエアフォース」
「領域展開 無量空所」
「水の呼吸 拾ノ型 生生流転」
こんな感じ(漢字?)の真似したいっていうよりは声に出して言いたい!
って気持ちにさせる語感の良さを感じさせます。
これが今の視聴者に刺さっているんだと思うんですよね。
これもテンポが大事な部分ですね。

まあ鬼滅話はここくらいにしておきましょう。
って今回は鬼滅の話をするために原稿書いているので鬼滅の話が終わったらもう他に書くことはないんですけどね。

今回こう言う話をした理由っていうのがありまして。
過去の自分のコラムを読み直してみて、いやはや通して読んでみるとテンポわりーなと笑
なのでもっとテンポ良くシンプルに楽しく書けるように頑張りますってことです。

具体的に?
昔から意識していても中々その通りには出来ないもんなんですが、1行でも面白ければ成功だし、100行書いてもつまらなければ失敗なんです。

最近「たくさん書かなくてわ」っていう気持ちに駆られていたので、無理やり文章を長くしている時があるんですよね。
そうじゃなくて、シンプルに面白いこと書ければソレに越したことはないんじゃないかな?と。
もう一度自分を見つめ直してみた次第です。

読者の皆さんも、何かを作るとき。
曲でも、映像でも、絵でも、企画でも。
無駄なものを省いてシンプルな表現を心掛けてみてください。
意外とそこに最高の一曲、一節、ワンシーンが生み出されたりなんかしちゃったりして?

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村田悠生コラムニスト(タレント)

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劇団東京乾電池を経て現在フリーで活動中
俳優業、声優業、ユーチューバーなど幅広く活動をしています。現在は個人事務所設立を目指して躍進中。
ゆうき13号名義でYouTubeで動画配信中。

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