村田悠生「いざイグニッション!」 Vol.30 – 古畑任三郎でのマジバトル?田村正和さんと明石家さんまさんの壮絶舌戦が素晴らしかった

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皆さん、これ、何に見えます? ・・・コウモリ、つぶれたカエル、セミの顔・・・・人によって答えは様々です。これがかの有名なロールシャッハテスト。ちなみに私は、交尾しているウシです。

どう考えてもユニークですよねよ。
いやそれどうやって見たらウシなのよ?
交尾してるウシって僕らが連想してるモノと同じなの??
たった一言でこの人物は他とは違う、少なくとも自分とは全然違う感性の持ち主なんだ。
という事を嫌でも思い知らされる。

そう。「古畑任三郎」の冒頭です。
これは古畑任三郎season2の第1話「しゃべりすぎた男」という話の冒頭です。

この回は田村正和さん演じる古畑任三郎vs明石家さんまさん演じる弁護士小清水潔との法定上での舌戦という、めちゃくちゃ緊張感ある(当時は全くのほほ〜んと見ていたが・・・)話でした。

ある日、古畑の部下の今泉が殺人現場に居合せ、刑事らしからぬ動揺から現場を荒らして逃げてしまうという、今泉史上最も笑えないドジを踏んでしまう。
動揺したのも当然。
殺された人物は、今泉がしつこくアプローチをかけていた意中の女性だったのです。
この女性はたまたま小清水の恋人で、痴話喧嘩の末カッとなった小清水に一輪の薔薇が生けられた瓶で殴殺されてしまう。
その後彼女の自宅を訪れた今泉は、まんまと小清水に濡れ衣を着せられてしまったのです。

はい、ここまでがまあプロローグですね。
「古畑任三郎」を見たことがない人っていないんじゃないか?って思うほどの名作なのでみなさんご存知かもしれないですが、この作品「刑事コロンボ」や「ガリレオ」シリーズの「容疑者xの献身」と同じ倒叙ミステリーとなっています。

ん?倒叙ミステリーとはなんぞや?

はい。
すっごくわかりやすくいうと、誰が犯人か分かっている推理作品です。
犯人がわかっているなら推理しなくていいんじゃない?
いえいえそうもいかない。
犯人は犯行を行なった際に、自分を守るために証拠を隠滅したり、アリバイを作ったり、ありとあらゆるトリックを仕組み不可能犯罪に仕立てます。

そのトリックを、時に現場を捜査して、時に犯人に直接質問して暴いていくのです。
普通の推理作品にはない、犯人側の心情や動機が丁寧に描かれるので、主人公のみではなく、犯人側にも感情移入をし、逮捕時の怒りや切なさをより鮮明に視聴者に感じさせる事ができる仕組みになっています。

話を戻して、なぜ今回村田悠生がこの「しゃべりすぎた男」の冒頭を持ってきたかというと、この回がとても印象深くかっこよかったからです。
田村正和さんと明石家さんまさんのバトルが、手に汗握るほどバチバチなんです!
その理由というか、この滲み出る緊張感には理由があるんですね。

まず田村正和さん。
彼は超がつくほどのストイックな俳優さんで、基本NGを出さないことで有名な俳優さんなんですね。どんな長台詞も1発OKを心情としています。その理由が「本番でおんなじ事を2度も3度もやりたくないじゃない」と語っていました。

対する明石家さんまさん。
おしゃべりモンスターで、芸人もやり歌も歌い演技もする大御所ですよね。
でもさんまさんは元々役者の勉強をしていた訳ではなく、天性のセンスで数々のドラマをコントで培った「アドリブ力」でこなしてしまう方でした。
その理由は単純に台本が覚えられないからアドリブで押し通す。という力技。

今回のテーマは法廷モノ。
難しい言葉や長台詞が普段より多くなっており、ただでさえセリフ覚えの悪いさんまさんには結構辛い本だったようです。

と言っても、脚本の三谷幸喜さんに法廷モノにしようと提案したのは他でもないさんまさんだったんですけどね(笑)

なかなかセリフが覚えられないさんまさんに、ついに田村正和さんが耐えかねて「次間違えたら私帰りますよ?」と怒ってしまったそうです。
張り詰める現場。
キャスト・スタッフ全員が「やばい」と感じたみたいですね。

緊張感の中撮影が進みます。
そしてその張り詰めた空気の中、普段滅多にNGを出さない田村正和さんが、NGを出してしまったのです。
その瞬間、場の空気を読んでか読まずか「あんさんもまちがいとるやないけ〜笑」とさんまさんが田村正和さんを茶化したらしいのです。

はい田村さん「かっちーーーーーん」
場の空気「ぴっきーーーーーん」

言葉にはしてないでしょうけど、かっちーーーーーんて聞こえたと思います。なんたってスタジオから出て行っちゃったんですから・・・。
その後さんまさんが丁重に謝罪し、撮影は続行されるのですが、緊張感が映像からも伝わってくるほどのピリピリとしたシーンになっていました。

しかもここで田村正和が「(さんまさんに対して)ちゃんと聞いてますか?説明してるんですよ!ちゃんと聞いててくださいね!?」と、急に詰め寄るシーンがあるんですが、ここなんと田村正和さんのアドリブだったようです。
まじでさんまさんびっくりしていて、「え・・・ええ・・」って目が点になってるんですよね。
NGを茶化されて、アドリブばっかりのさんまさんへのささやかな仕返しだったのでしょうか。
こえーっす。まじこえーっす。笑

そして物語は冒頭のロールシャッハの話「何に見えるか?」という話に繋がります。
凶器として使われたものが一体何だったのか、犯人だけが別のものに見えており。
別のものに見えている原因が犯行現場に居たからという言い逃れできない中、自ら犯行を認めざるを得ない状況となり事件は解決します。
一応見てない方がいると思い伏せておきますが、とても秀逸な展開でした。

現在この作品はなかなかサブスクで配信していなくて、唯一TSUTAYA TVでレンタルしているのを見つけて見ることができました。
この機会にサブスクでも見れるようになったらいいですね。
他にもたくさんの名シーンがある傑作なので、見たことある人も見た事ない人も是非見てほしい作品です!

とここまでお話ししましたが、先日の報道で皆様ご存知の通り、先月4月3日に田村正和さんは心不全でお亡くなりになられておられました。
先月のコラムを書いている時点ですでにこの世を去っていたと思った時、なんとも言えぬ思いでした。数多くの有名人の方から素敵なお話が聞けて、自分もこの人に憧れていてよかったと思います。心よりご冥福をお祈りいたします。

このご時世。
なかなか思い通りにやりたいことができない世の中ではありますが、精一杯自分のできることをやろうと、改めて痛感させられる5月の雨の今日でした。

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村田悠生コラムニスト(タレント)

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劇団東京乾電池を経て現在フリーで活動中
俳優業、声優業、ユーチューバーなど幅広く活動をしています。現在は個人事務所設立を目指して躍進中。
ゆうき13号名義でYouTubeで動画配信中。

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