神西亜樹「透明な林檎」 Vol.31(最終回) – おわりに

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Paper Idol – Clouds (Official Visualizer)

この曲、YouTubeのインディーズソング紹介チャンネルなんかでは300万再生いっている曲なんですが、本人のチャンネルではほどほど。いや、これでもすごいのですが、たぶん逆輸入的に伸びた再生数で、現代のマーケティングの多様さを感じた次第です。

こんにちは。神西です。
今回は登場人物は僕だけの、あとがきのようなコラムになります。

物語をはじめるための舞台装置というのはたくさんあります。ジョークで使われるのは、『曲がり角』で異性とぶつかる導入とか。耳をすませばでは『貸出カード』という形でした。
中でも一番わかりやすいのは、やはり扉でしょう。特に児童文学などでは、よくファンタジー世界に向かうのに扉が使われます。僕は子どもの頃、児童文学を好んで読んでいたので、人よりその印象が強いのかもしれない。ナルニア国物語とか、ハリーポッターとか……。
もちろん日本でもよくモチーフに使われます。ハガレンの心理の扉とか、最近だとチェンソーマンとか。耳をすませばも、やっぱり扉の先が別世界、という表現ではありますね。ここはおそらく世界共通です。

このコラムでも、その先人たちの知恵にならい、扉というモチーフは大切にしました。
ただし、扉は最後まで開かず、閉じこもり続けることで、特別なものに仕立て上げています。
あくまでコラムなので、そこまで物語性をひそませて書いたりはしてませんでしたが、こだわりで言うと、そこだったのかなと思います。

宇多田ヒカル『BADモード』

僕が子どもの頃からずっと最前線にいる、すごいかた。

さて、いきなり真面目にはじめましたが、このコラムのお話をいただいたとき、あるいは書き始めたときは、構想なんてものはもちろん白紙でした。
嬉しいお誘いだったのですが、自分のことを話す経験などブログの日記くらいでしかしてこなかったし、そもそも私という作家の中身に興味のある人も、大していないだろう。ならばと、物語風のコラムを書いてみたわけです。一応、音楽サイトという場に合わせ、毎回好きな音楽について触れられるような構成にしながら。

結果的にはなんだかんだ、自分の好きなものについての話を出来る場となって有意義でした。純粋に楽しかったです。
編集や校正という束縛もないですしね……作家の地の文が世に出ることは、実は稀なのではないかなと思います。

とはいえ、僕の趣味が出ると、ダウナーでダークな曲がチョイスされることも多かった気がしますので、最後はとびきりハッピーな曲を流しながら、この連載を終われたらと思います。

Maroon 5 – Sugar (Official Music Video)

コラムの終了や、サイトの更新が止まることはとても残念なことです。
しかし人生は続いていきます。どうあれ立ち止まることはできない私たちですから、新たな扉を開き続けていけたらよいのかなと思います。
僕もどこかで物語を書き続けていますので、出会った際はよろしくお願いいたします。

神西でした。了。

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神西亜樹小説家・シナリオライター

投稿者の過去記事

2014年、『第一回 新潮nex大賞』大賞受賞。新潮文庫nexよりデビュー。
最新作『東京タワー・レストラン』発売中。
ショートシナリオや劇場用映画脚本協力等も担当、シナリオメイキングに幅広く携わる。
昔はボーカロイドで楽曲を制作しており、作詞から挿絵、動画まですべて自作していた。音楽は今でも愛好。
ユーモラスで優しい話が好き。

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