これだから、音楽はいつの時代でも面白い。
若干17歳、高校三年生「ぼくのりりっくのぼうよみ」のメジャーデビューアルバム。素晴らしすぎる。
記憶に新しいのは10代向け最大級のオーディション「閃光ライオット2014」のファイナリストに選ばれた事。
その時点で彼はまだステージ経験が3度程だった。しかも、周りはバンドばかりの中、ステージに1人で出てきて3曲を披露した。
今思えば、もうその時には彼の音楽は完成していたと思う。
今回のアルバムの代表曲の1曲である「sub/objective」を1曲目に披露していた。そして、その歌声はすでに今回のアルバムで聴けるものと遜色がないクオリティだった。
過去全国模試の国語で1位を取った事がある。という明晰な頭脳を持ち、現代の若者らしい現代感覚を持ち得ていて、俯瞰的に世の中や自分自身を見る。という一面も持っている。
でも、「コール&レスポンスをやってみたいから練習していいですか?」なんていう可愛い一面もある。
まさに、現代だからこそ生まれた才能だと思う。
すでに発売されているこのデビューアルバムは、早速iTunesのロック・トップアルバムランキングの1位を獲得している。
一度聴いたら忘れられない独特な声とラップや歌唱のスタイル。完全個性。他に類を見ないスタイルだ。
そして、言葉の鋭利さ。研ぎ澄まされたリリックが飛び交い刺さってくる。現代社会や人間関係の哀しさを歌い、誰もが心のどこかで感じている虚しさをポップに時にシリアスに歌う。
なんなんだ、この17歳は。
日本の音楽シーンからこういうアーティストが出てくるって事に単純に鳥肌が立つし震える。これから、何かが起こる。そんな予感。
半年でラップを習得したそのセンスしかり、これからどんどん色々な事を吸収してゆき、成長してゆくのだろう。
デビューアルバムで、これだけ完璧なものを作り上げてしまって(しかも受験勉強の合間を縫って)、次作はどうなってしまうのだろう。
アルバムの代表曲の2曲「sub/objective」と「CITI」のMVとアルバムトレーラーが公開されているので、掲載しておこうと思う。
ぼくのりりっくのぼうよみ – 「sub/objective」ミュージックビデオ
ぼくのりりっくのぼうよみ – 「CITI」ミュージックビデオ
ぼくのりりっくのぼうよみ – 1stアルバム『hollow world』全曲試聴トレーラー映像
「sub/objective」で歌われる主観と客観、一人称と三人称の描き方が凄い。たった3分弱の短い楽曲なのだが、完全にこれは小説だし映画だ。
ストーリーがしっかりしており、明確なテーマがあり、描き方がとにかく哲学的である。
この曲だけでも何度も何度も聴けてしまう。
アルバム全楽曲に言える事だが、本当にクオリティの高い曲が詰まっている。
そして、何度でも聴ける。というか、聴きたい。と思わせる。メッセージ性の強い音楽。そういった意味では、これは現代日本のパンクなのかもしれない。
彼の音楽にジャンルなんてものを当てはめるのは失礼な気がする。
「音楽」でいいじゃないか。しいていうならば、「ぼくのりりっくのぼうよみ」というジャンルだと思う。
早く受験が終わって、アーティスト活動を本格化するのが待ちきれない。
今はまだ彼自身の言葉が少ない状況なので、残念ながら色々と想像を巡らせる事しか出来ない。
でも、アーティスト活動が本格化したら、是非インタビューで彼の本質・考えている事に迫ってみたいと思う。
それまでは、彼から受験前に届けられた、この傑作を聴きながら色々な妄想をしようと思う。
日本の音楽を変えるかもしれないミュージシャンの受験成功を祈りながら。