「何者」10月15日(土)全国ロードショー
恋愛、友情、就活、裏切り。
これが僕たちのリアル。
劇伴、中田ヤスタカ。ハッシュタグで埋め尽くされたアルバムジャケット。
なんて、新鮮で面白そうなんだろう。
CAPSULEや、Perfumeの音のような直球音楽を想像していた。
ザ・中田ヤスタカの音で、映画が進むなんてと思っていたが、その予想はすぐにハズレてしまった。
就活をとおして、新しい事柄に挑戦していくさまや、自分自身の新しい感情に気づき、それと葛藤していき、自分が何者かと言うことを問い続けてゆく、この映画のように
中田ヤスタカ氏も新しい一面を見せてくれていた。ほぼ、ピアノ、ギター。
ピコピコした電子音は、そこにはない。
洗練されたリズムワークと、音の粒。そこから読み取れるもの。。。
時代を越えて愛されてゆく音楽というのには、世代を超えてという意味ではなく、自分が過ごしてゆく時間の流れの中で、その時代のアイコンとなったものを思い浮かべる。
中田ヤスタカ氏は、この時代のアイコンとなる人で、その音とともに作られた映画は、今このリアルを鮮明に描いているものだと思う。
何年かして懐しむ思い出は、自分の中で多少なりと色褪せるが、この何者という映画をみて、またそれぞれの自分が過ごしてきた感情を呼び起こすのだ。中田ヤスタカ氏という音楽家とともに。
そして、その感情を揺さぶる音楽は、
佐藤健、山田孝之、二階堂ふみなど、豪華キャストそれぞれが持つ強さと弱さを音で全て表現しているようで、品格のある音楽なのだ。
しかも、光の当て方(観ている人の焦点)によって、その音楽は、幾分にもとれる。たくさんの感情を含み、それぞれの感情をうまく擦り抜けているような気さえする。
そして、私はどの音楽にも何処となく緊張感を感じている。
ストレートに楽しいとか、寂しいとかではなくて、私は緊張感や慎重さを感じとれる音に、音楽の表現力の高さを感じた。
それを多くの経験を積んできた中田ヤスタカ氏が、表現しているリアル。説得力。
エモーショナルになる一歩手前の緊張感がとてもつもなく好きだ。
「何者」という映画に、ぴったりだった。
キャストだけで、観たいときっと誰もが思うだろうが、中田ヤスタカ氏の新たなる境地として、ぜひ一度観てほしい。
この時代の意外性と可能性を感じる作品だった。