突然飛び込んで来たillionの新曲リリースのニュース。しかも、それが今年の夏の超話題作映画「東京喰種」の主題歌との事で、これは期待せずにはいられなかった。
僕はまず、この「BANKA」という新曲を聴いた。元々illionの創り出す音楽は大好きで、Optimanotesでも過去ライブレポートやアルバムレビューなど行ってきた。
更に僕は「東京喰種」の原作漫画の熱狂的ファンでもあった。だからこそ、映画を観る前に聴いたにも関わらず、あまりにも「東京喰種」の世界観に合っている楽曲で涙腺が緩んだ。
「東京喰種」の描く、誰も悪くない。世界が間違っていると感じるのは、人の感情それぞれだという事、そして主人公金木研が経験する、とてつもない矛盾とやり切れなさに満ちた世界。
そんな、どうしようもなく切ない雰囲気がピアノのコードとストリングスと不整脈なリズムによって、見事に表現されていた。
野田洋次郎がillionでよく使うグリッチノイズも、また「東京喰種」の世界観によく合っていると思った。
そして、後日僕は幸運な事に一足お先に映画も観させて頂いたのだが、映画自体が素晴らしかった事もあるが、エンディングロールで「BANKA」が流れた瞬間に鳥肌が立ち、涙してしまった。
なんて素晴らしい楽曲なんだろうと、映画を観る前と後で比較にならないくらい思った。今作「BANKA」はこの「東京喰種」の為の書き下ろし作品だからこそ、この映画作品への寄り添い方が素晴らしく、どちらが欠けても勿体ない。と思える作品だと思うようになった。それから後に聴く「BANKA」は、必ず頭に映画の映像が蘇り鳥肌が立つ。
歌詞に関しても、事前によく「東京喰種」の世界を表現しているな。と思っていたが、映画を観た後は、そんな単純な言葉では表現出来なくなった。
なんて素晴らしい歌詞を描くのだろうか。野田洋次郎の描く言葉の素晴らしさに改めて感服させられた。
今作は配信での「BANKA」のリリースと、アルバム「P.Y.L [Deluxe Edition]」へ「BANKA」を追加した特別版アルバムのリリースとなっている。
もしも、今作「BANKA」を聴いてillionに興味を持った人は、是非アルバムを手に取ってもらいたい。
アルバムレビューはこちら
きっと、illionというアーティストがどれだけ素晴らしい楽曲を生み出しているか、よく分かると思う。そして、野田洋次郎というアーティストの才能に良い意味で打ちのめされると思う。
BANKA・挽歌・晩夏、色々な意味に取れるこのタイトルも当然意図した事だろう。
この夏は、是非みんな映画「東京喰種」を観て、illion「BANKA」の世界に浸って、色々と考えてみて欲しい。
上手い表現は浮かばないのだが、音楽も映画も絶対に損はさせない。あなたの心に必ず何か訴えてくるものがあるはずだ。そして、あなたにとって大切な作品になるに違いない。と僕は信じている。
それ程、完璧でいて素晴らしい作品だ。