以前にこちらのコラム連載でも書いたとおり、パソコンの中にあった10,000曲以上の音楽データを全て捨てた。不安も少々あったが、その時の何かから解放される爽快感は格別なものがあった。以前は、iTunesのプレイリストから自分の好きなアーティストやアルバムを探して再生ボタンを押して聴くというごく普通なものであったが、音楽データを捨てた瞬間からは、自分に最適化されたDJ(Apple Music、Spotify、AmazonMusic)に委ねるというやり方に変わった。音楽データを所有して音楽を聞いていたときよりも今のほうがさまざまな曲を聞き、その音楽から違った音楽を探す楽しみも増えた。音楽の聴き方がとても広がった。
そして現在最新の改革は、AIの導入だ。Google HomeやAmazon Echoなどスマートスピーカーと呼ばれるAI搭載のスピーカーの波がここ最近一気に押し寄せてきたので、すでに購入している人や気になっている人も多いと思う。僕はその中からGoogle Homeをアトリエに導入した。スマートスピーカーを簡単に説明すると声でコントロールするリモコンと考えるとわかりやすい。連携する機器を揃えておく必要はあるが「ねえ、グーグル、電気を点けて〜」と言えば、電気を点け、天気を聞けば、教えてくれて、面白い話をしてとお願いすれば、しっかりとオチのある話をしてくれる。
音楽再生も同様で、「ねえ、グーグル、音楽を再生して」とお願いすれば、ぱっとそのスピーカーから音楽が再生される。僕のアトリエではさらに一歩踏み込んだ使い方をしていて、Google Chromecastと連携させて「ねえ、グーグル、音楽を再生して」とお願いすると、テレビの電源がオンになり、お気に入りのプレイリストが再生されるとともにそのジャケット、曲名、アーティスト名がテレビに映し出される仕組みになっている。おまけにテレビとリンクしているホームオーディオからサラウンドシステムで音が流れるようにしている。
ここ2、3年で音楽の聴き方がまったく変わった。想像もしていなかったものになった。もちろんこれが最終結論というわけではないが自分の生活スタイルに新しい風を吹き込んで変化を楽しむのはいいもんだ。そして時々レコードに針を落としてじっくりと音楽を聴く。過去と未来、様々な選択肢があるのも今の時代に生きる特権だろう。