[先行Review] ヒトリエ – HOWLS

今回は2月27日にリリースされる「HOWLS」を一足早く聴くことができたのでレビューしていきたいと思う。なにはともあれ、早速聴いてみたが兎にも角にもやばすぎる。

今年の1月でデビュー5周年を迎えたヒトリエ。その音楽は年々鮮やかさを増し、リリースされる新たなアルバム「HOWLS」ではより一層その音はカラフルに、艶やかに、聴くものを魅了してやまない。そんな最高の1枚に仕上がっているからだ。

私もヒトリエの大ファンで、過去発表された音源は全て聞いてきたし、新しいヒトリエの音を楽しみにしていた人間の1人。彼らのつくる作品に込められたエネルギーと、自分めがけてまっすぐ飛び込んでくるそのひたむきさが好きだ。悲しさとか、幸せさとか、嬉しさとか、現実のどうしようもならなさとか、いろんなものを混ぜこぜにして、作られる音楽が好きだ。リーダーのVo. & Gt wowaka率いる、ヒトリエのつくる世界が好きだ。

このアルバムでは、その世界が圧倒的に広くなったように思う。音楽的にできることが多くなった、技術力があがった、では説明しきれない。描きたいもの、伝えたいことの純度が高まって、それに準じて、やりたいことへのアプローチの幅が増えていったことを感じる、そんな曲たちが詰まっている。

灰色の獣を中央に添え、オレンジの背景に、紫の文字で掲げられた「HOWLS」の文字。過去最高を毎回更新し続けるヒトリエの41分間を圧倒的に楽しんでほしい。

1曲目 ポラリス
TVアニメ『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』とのタイアップ曲。すでに昨年11月にはシングルで発売されているから、ここで改めて説明する必要もないかもしれない。しかし何十回、何百回と聴いているはずなのに、その度にこの曲に励まされてしまうから不思議だ。辛くて苦しくて、たちどまってしまいそうなとき「誰も居ない道を行け 誰も居ない道を行け」の言葉に何度勇気付けられただろうか。サビに向かう盛り上がりの爆発力が魅力的。オレンジ色の火花が目の前でばちばちと飛び散るような、爽やかさのある曲。

2曲目 伽藍如何前零番地
なんとも読み方の難しい「がらんどうまえぜろばんち」という名前の曲(何も知らなかったら絶対に読めないと思う)。どこか奇妙なのに心地の良い、歩くような一定のリズムが特徴的。今までのヒトリエにはなかったその感覚と、歌詞のwowakaらしさがとても良いバランスで組み合わされている。新しい試みの中にも存分にヒトリエイズムが感じられ、この新しいアルバムの魅力がわかりやすく濃縮されている。

3曲目 コヨーテエンゴースト
かき鳴らす暴力的なギターと、アップテンポなメロディ、それから、存外センチメンタルな歌詞がアンバランスで、すごく絶妙なところにある曲だと思う。今までもそういう曲は存在していたけれど、これは度が過ぎている(もちろん良い意味で)。あっという間に、畳み掛けるようなリズムと言葉の渦に飲まれている。抜け出せない。ふとジャケットを飾る獣の姿が目に浮かぶ。圧倒的な存在感でこのアルバムに君臨するような、そんな1曲。

4曲目SLEEPWALK
次に続くのは今までのヒトリエとはどこか違う、そんな曲。あまり聞き馴染みのない、不可思議な音が裏で混じり合って、溶け合って、その中をwowakaの声が、飛び跳ねるように、まとめ上げている。音の揺らぎみたいな余韻が気持ち良い。音と声と、そのどちらも同じくらいの存在感があるというか、この曲の中では彼の声が一つの楽器みたいで、全体の調和がすさまじい。音にほんの少しのチープさと(駄菓子屋とかお祭りの屋台みたいな)懐かしさを感じる。そこへwowakaの歌声と彼らしい歌詞が加わることで曲は蠱惑的な魅力を湛えている。

5曲目 殺風景
怒濤(読み)ドトウ「荒れ狂う大波。また、はげしい勢いで押し寄せるようすのたとえ」『デジタル大辞泉』参照。これほどこの言葉が似合うものってそんなに存在しないじゃないかなって、思うくらいまさに「怒涛」の曲。その時間にしてわずか1分42秒。イントロから激しいドラム。歌詞も矢継ぎ早で、聴いているものを休ませない。波が攫っていった後のように、聴き終わった後には何も残さない、まさに曲名の殺風景がぴったりくる。

6曲目 November
秋と冬の間くらいの季節、11月を意味する言葉を冠した曲。とつとつと紡ぐような歌い方と、繰り返しの多い歌詞が印象的。頭の中で言葉が回る。加えてラスサビに向かう盛り上がりで音がどんどんと広がっていくのが最高すぎてもはやずるい。決して激しいではないけれど、込められた想いがぎゅっと濃縮されていて、聴いているとたまらない気持ちになる。(ちなみに背高草の花は10月-11月に咲くとのこと)

7曲目 LACK
欠如。欠乏。不足。欲しいものが満足に手に入らない状態を表す「LACK」は歌詞の至るところにヒトリエらしさが爆裂している。「笑えよ」「踊る」「歌って」の言葉が散りばめられたこの曲が格好良くないわけがない。唸るようなメロディライン。まさに叫ぶように、聴くものへ叩きつけるように「未完成の僕を笑えよ!」と、その欠乏すら誇示して魅せつけるのだから、敵うはずもなく完敗である。格好良いと言う他ない。やばい。

8曲目 Idol Junkfeed
イントロから挑発的に、挑みかかってくるギターの音。もはや「これはメタルか?」と疑いたくなるぐらい、暴れっぱなしの1曲。「Junkfeed」とは直訳すればガラクタ喰らいになるけれど、この曲名と歌詞に溶かし込まれた皮肉が、スパイスみたいにばちばち効いている。LIVE映えしそうな曲だなとも思った。脳内ではもう舞台上で飛び跳ねるGt.Cho.シノダが想像余裕。腕を振り上げる準備も万端。あとはその日を待つだけだ。

9曲目 青
暴れた、かと思ったら、その次にこんな曲を用意しているのだからヒトリエはやっぱり最高だ。どうしようもないくらいに優しい。自分が自分であることを許してくれる彼らがいる。「あなたのままでいいよ」と。そういって隣で背中を押してくれる。個人的にアルバムの中でも歌詞が1番ずんと自分の中に飛び込んでくる。言葉を受け止めながら自分はおもわず泣いてしまった。それくらい心揺らされる。

10曲目 ウィンドミル
疾走感のほとばしるメロディ。題名の通り、本当に一陣の風が通り過ぎていった、そんな感覚を、聴き終わった後に覚える。全力で走りきった後みたいに気持ち良い。終わりを迎える切なさと、もうすでに次を期待してしまうような、そんな筆舌に尽くしがたい1曲に仕上がっている。このアルバムを締めくくるのはウィンドミル以外ありえない。もっとヒトリエを聴きたい!そう思わせられる最高の幕引き。

全10曲至極感動圧巻圧倒の聞き応え。終わったあとの余韻がたまらない。思わず再生ボタンにまた手が伸びる。何度でも聴きたくなる。まさに名盤とはこのことだろうと感じさせられる。最高の1枚。
それでもきっと彼らはまた最高を更新し続けていくのだろう、という予感も存分にさせつつ。途方もなく、いかしたヒトリエというバンドの今を聴いてほしい。

さてこのアルバム発売の数日後には「HOWLS」をひっさげた全国ツアー「Coyote Howling」がスタートする。リアルで吠えまくるヒトリエの姿と、それに呼応して熱くなる会場が今から眼に浮かぶようだ。

まだまだ止まりそうにもないヒトリエ。ひたむきに走る彼らの音楽を、今まで好きだった人はもちろんのこと、全く知らなかった人もぜひ手に取ってほしい。素晴らしい41分になると思う。よろしくどうぞ。

ヒトリエ 『ポラリス』 / HITORIE – Polaris

ヒトリエ 『コヨーテエンゴースト』”HOWLS” Teaser Movie / HITORIE – Coyote and Ghost

ヒトリエ 『SLEEPWALK』”HOWLS” Teaser Movie / HITORIE – SLEEPWALK


尾方里菜

尾方里菜デザイナー・ライター

投稿者の過去記事

表現することが好きな、どこにでもいる普通の人。思い立ったらなんでもやりたい。我慢できない性質(たち)。
現在はデザイナーとして修行しつつ、このメディアでライターも経験させていただいております。
趣味は写真を撮ることと絵を描くこと。好きな言葉は「鳩だって死ぬところを見るまで不死身だ」よろしくどうぞ。

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