[Interview] ストレイテナー – 新作「Blank Map」とホリエアツシの現在に迫るロングインタビュー!

今回は、バンドの20周年を昨年迎えたばかりのストレイテナー、フロントマンのホリエアツシさんにインタビューをさせて頂いた。
10月9日にリリースされる実に6年振りとなるミニアルバム「Blank Map」についてはもちろん、20周年を迎えたバンドの事、ホリエさん自身の事、プライベートな部分にも踏み込んで色々とお話を伺えたと思う。
とても貴重なインタビューになったと思うので、是非ファンの方はもちろん、ストレイテナーをそんなに知らない方にも読んでもらい、Newミニアルバム「Blank Map」を聴いて頂きたいと思う。
それでは、以下インタビューをどうぞ。

邑田航平(Optimanotes編集長)

――本日はよろしくお願いいたします。

ホリエアツシ(以下、ホリエ):よろしくお願いいたします。

――今作、10月9日にNewミニアルバム「Blank Map」をリリースするということで、実にミニアルバムとしては、6年ぶりとなるんですけれども。まず最初にお伺いしたかったのが、6年ぶりにミニアルバムを出すんですが、なぜ今回フルアルバムではなくて、ミニアルバムでのリリースになったのかっていうところの経緯がもしあればお伺いしたいんですけれども。

ホリエ:去年の20周年を全力で駆け抜けてきたので、今年は活動のペースをちょっとスローダウンするつもりでいて、1月の幕張でのワンマンライブがあって、そのライブ映像作品と、そのライブで初披露した新曲の「スパイラル」を配信で4月にリリースしてからは、秋にもうワンアイテムぐらいシングルでもっていう話をスタッフ側からもらっていたんです。シングルなので2、3曲気負わずにというか、自然と曲づくりに向き合っていけたらと思ってたんですけど。自分的に手応えがある曲がいくつかできて、勢い的にシングルじゃなくてミニアルバムぐらいは作れそうだなって思って、スタッフにシングルじゃなくてミニアルバムはどうですか?と提案しました。6年ぶりっていうのは特に意識してなかったんですけど、過去に3枚のミニアルバムを出していて。その度に、フルアルバムの後の反動というか、力の抜けた状態で好きに実験ができたりとか、衝動的にできた曲を入れてみたり、ミニアルバムにしかな良さみたいなものもあったので、今の気分として、ミニアルバムを作るのが一番いい形なのかなっていうふうに思いました。

――今お伺いした通り、確かにフルアルバムの時ってすごくコンセプトがしっかりしているなぁという印象があって、サウンド面にしてもそうなんですけど。それが今作の「Blank Map」に関しては、すごいバラエティに富んでるなっていう印象があったんですね。1曲目のアンセムっぽいそんなメロディ押ししない楽曲から始まって、他の楽曲にしても、イメージの中だとシティ・ポップっぽいアレンジが組み込まれている楽曲だったりとかっていうところを含めて、すごく今言った実験性もあって、そのコンセプトっていうよりは、いろいろ詰め込まれたものだっていう印象を受けました。今ちょっと触れたんですが、1曲目に入っている「STNR Rock and Roll」なんですけど、この楽曲がアンセムっぽいって言ったんですが、ちょっとだけある歌詞の部分とか、その部分のコーラスの「オー」っていうところも含めて、拳をあげてみんなでスタジアムとかでやりたいなっていうイメージのサウンドをしているなっていうのを感じたんですけど、あれはどんなイメージで作曲を進めていったんでしょうか。

ホリエ:これはライブのオープニングの出囃子として作った曲で。急に30分くらいでできちゃった曲なんですけど。今使っているオープニングの出囃子が、Doshっていうアメリカのアーティストの「MPLS Rock and Roll」っていう曲で。約12年くらいずっと使ってきたんですけど、20周年も終えたし、そろそろ自分で作るのには良いタイミングかなと思って。周りを見回すと同期のバンドも、オリジナルの曲を出囃子にしているバンドが増えていて。そうだよなぁと思って。他の人の曲だと、ライブ映像を作品として出すときには、その度に使用許可を取ったりとかしてるから大変だし、前々からちょっと考えてはいたんですけど。絶好のタイミングでパンチのある、それこそアンセム的な曲ができたので、これしかないなって。シンガロング的なコーラスの部分を入れてみたりとか。リズムの乗りはDoshの曲を参考にしてたりして、お客さんが手拍子をしてくれるんですけど、もっと手拍子しやすいリズムを意識したりしましたね。この曲で自分たちとお客さんのテンションを上げて、ステージに上がった瞬間から一体感が生まれるようなイメージで作った曲ですね。

――確かにそのイメージ、映像としても聴いてる側として、まさにそのイメージで聴かせていただいて、すごい観客が盛り上がっていて、これが流されているっていうイメージだったので。

ホリエ:ある意味あざといというか。短いながらに全てを盛り込んだ曲で。自分たちがステージに上がる為の曲なので。もともと他のアーティストの曲だったのに、急に自分達の曲になると違和感があるかなとも思ったので、声をエフェクト加工してたり、リズムも打ち込みの音を重ねていて、架空のバンドの曲みたいなイメージもあります。

――あくまでストレイテナーがバンドとしてやってるんではなくて、ちょっと違うバンドが演奏してる風っていうイメージでつくられたってことですね。ちなみにタイトルのSTNRはストレイテナーを縮めたものってことでいいんですね。

ホリエ:そうですね、縮めた。ロゴとかにするときにスペルが長いんで、たまにSTNRにしてるんですが。

――ミニアルバム全体の話なんですが、昨年20周年を迎えて、一区切りではないですけど、大きな区切りではあったと思うんですね。その区切りがあった後に、「Blank Map」っていうタイトルがすごく気になって。Blankって「無い」みたいな。

ホリエ:白紙っていうか。

――白紙の地図っていう。20年経って一区切りついてその新たな旅に出るじゃないですけど、そういう意味合いがこもっているのかなぁみたいなことを、勝手に想像をして聴かせていただいたんですけど。楽曲のバラエティに富んでるところも含めて、すごい新しい要素がすごい多いなっていうのを感じたので、そこら辺はタイトルとかはどういった経緯でつくっていったんでしょうか。

ホリエ:この作品のツアーのタイトルが「Drawing A Map TOUR」地図を描くツアーと題してるんですけど。「Blank Map」は白地図っていう意味で、「Jam and Milk」っていう曲の歌詞にある「地図は白紙だった」っていう一節を抜いた言葉で。これが詞を書いているときに、自然に自分の中から出てきたんで、バンドとしても気持ちを新たにして、新しい地図を描こうっていうタイミングなのかなって思ったりもしますね。

――まさに「Jam and Milk」とかも、今の抜粋された歌詞とは別で、まだ旅の途中っていうワードであったりとか、探し続けるっていうワードであったりとか、ツアータイトルの「Drawing A Map」でこれから描いていく白紙の地図を描いていくっていうところも含めて、すごく入ってるこの5曲の中で「Jam and Milk」ってすごい重要な楽曲なんじゃないかなって思って聴かせていただいて、まさにその曲からのタイトルっていうことだったんですね。

ホリエ:この曲もそうだけど、この作品のどの曲もあんまり気負わずに、今までのストレイテナーとか、これからのストレイテナーとかあんまり意識せずに自然体でつくれた曲達なので、それが今後のバンドのスタンスにつながっていくのかなって思います。20年ってすごく長い年月だと思うんですけど、その時その時で時代と対峙しながら、自分達が作る音で何かと戦ったりとか、何かに挑んだりとか、貫くものっていうのをすごく強く持ちながらやって来たバンドなので、ここまで来たらもっと気楽に自由に、本当につくりたいものを自然に生み出していけるようなバンドになってもいいのかなっていう。シーンを変えたいとか、知らしめたいとかっていう、バンドの方向性を自ら示していかなきゃいけなかった過去の積み重ねがあって、今になってやっと、人に評価を委ねられる自信がついてきたってことが表れてると。

――1個お伺いしたかったことの中で、20年間の中でストレイテナーっていうバンド、ホリエさん自身が鳴らしたい、届けたいと思っていた音楽ってきっとあるんだろうなって。そのシーンとしてあるんだろうなと思っていて。ただここのタイミングできて、区切りが大きくて、そこら辺の届けたいと思ってる音楽であったりとかっていうのに、多少の変化が起こっているのかなっていうのを感じていまして、実際にそこら辺の変化があったっていうことなんですかね?

ホリエ:そうですね。ロックバンドとはっていう美学も強くあったし、他にはいないバンドでありたいっていうか。似てるバンドが出てこれないようなっていうか、代わりがいないバンドになりたいなっていうのもあったし。でもだんだん、自分でこう見られたいっていう意識そのものがだいぶ剥がれ落ちていくっていうか。自分達のそのままでいいなぁっていうふうに思えるようになって。特にここ最近のアルバム2、3作ぐらいの曲っていうのは、自分の歌を届けることに重きをおくようになってきて。昔はバンドっていう集合体をすごく大事にしてきたけど、今は自分の声、ボーカリストとしての面を強く打ち出せるようになってきたというか。メンバーもそれを支えてくれるっていうか。もともとストレイテナーの武器って、ライブでのメンバーの個々のパフォーマンスの個性が立っていて、尚且つバンド感が強いというところにあったと思うんですけど、今はメンバーも、ホリエのボーカルを中心として、その魅力を引き出そうとするパフォーマンスを目指すようになってきていて。そう決めたわけではないですけど、なんとなくメンバー間の暗黙の中にそうなってきてますね。

――昔何かで読んだことがあって、最初ドラマーと二人で始まって、ベースが入って、ギターが入って、今に至るじゃないですか。その入るタイミングの前って、ぶっちゃけた話、メンバー間があんまりよくなくなってくるようなタイミングで新しい血が入ってうまくいくっていうのを前読んだことがあって、そういういいタイミングで新しい血が入ってきて、今に至って、今回大きい20年っていう節目を迎えたことで、今回ストレイテナーっていうバンドっていうよりは、ホリエさんのボーカルっていうものにみんなが寄り添うみたいな形に今なって、すごいいいバランスだと思うんですけれども、このメンバー間でも普段やりとりみたいなのっていうのは、プライベートとかでも今仲は?

ホリエ:仲はずっと良くて。すごくそれぞれがキャラが強いというか、マイペースな4人だけど、誰も身勝手ではなくて、お互いのキャラクターを尊重しあって、絶妙な関係性が成り立ってると思います。バンドを続けていく中で、身を削ってでも、こだわりとか願望を強く持って猛進する時期っていうのはあって、それがうまく行かないと人のせいにしてしまったり、そういう時もあって、バンドのメンバー間だけじゃなくて、取り巻くスタッフの関係だったり、衝突まではいかないけど、空気が悪くなったりとかした時もあったんですけど。そういう時って自分でなんとかしなきゃとか、自分だけがやってるみたいな人間不信に陥ったりもする。でも大人になるにつれて、しんどいのは自分だけじゃなくて、みんながいてバンドなんだっていう、自分はバンドに支えられてるんだって思えるようになって、乗り越えてきてると思います。あんまりバンドの精神論とかはメンバー間で話しあったりはしないんですけど、お互いの気持ちを察していけるようになってるのかなって。

――単純に結束は固くなってるっていうイメージではあるんですかね?

ホリエ:結束とはまた違うんですけど。お互いそれぞれのスタイルが確立してきてるというか。それぞれが成長することで、よりリスペクトが高まってきているっていう。もっとバンドバンドしてたんですよね。何年か前とかは。それぞれがあって、バンドとしていい方向に進んでいけるっていう。なかなか難しいこと。どのバンドもそこにぶつかって、続かなくなったりとか、それを乗り越えてそれぞれいろんな形で越えていかなきゃいけないと思います。

――今おっしゃったみたいに、そこってすごく難しいところだと思っていて、途中でメンバーが入っていってる経緯はあれど、4人でストレイテナーっていうものを、今こうやって20年経ってもまだまだ現役でこうやって新しいものを出して、続けていって、さらに新しいものに挑戦してっていうのが、周りから見るとすごいことだなってわかるので。単純にかっこいいなって思うんですけど。そういう関係性で今やってらっしゃるっていうことなんですね。

ホリエ:そうですね。実は、あんまり意図せずに自然と変化して来たんだと思います。挑戦してきたことも、何か目標を掲げてきたわけじゃなくて、感覚的に今これをやらなきゃって判断でやってきてるかなと思いますね。

――逆にそれを意図せずと言っておりましたけど、意図して何かストレイテナーっていうのはこういうものだみたいなのを決めつけしてやってきたら、やっぱり上手くいかなかったと思いますか?

ホリエ:どうでしょうね。そういえば、3人から4人になった時は、意図的に変わらないことを意識したこともありました。メンバーチェンジではないけど、バンドの形が変わるっていうことに対して、拒絶反応を起こすファンもいるかもしれないと思ったので。全てがプラスではないかもしれない。正しいかどうかっていうのはまずは楽曲で示すしかないっていうか。4人になっても基本的には変わらずに、変わらないけど、なんかすごくなったっていうか、4人になったから作れる物を作るんじゃなくて、3人で作ってきた物が4人になるともっとすごいんだっていうものを作らなきゃていうのはありましたね。

――もう一度「Blank Map」の方に戻らせていただきたいんですが、2曲目に入っている「吉祥寺」なんですど、すごく歌詞を読ませていただくと、本当に吉祥寺に住んでたんじゃないかなっていうのを単純に感じて、なぜ吉祥寺っていうタイトルなのかっていうのと、実際住んでいたことがあるのかっていうことを知りたかったんですが。

ホリエ:僕、ずっと吉祥寺の近くに住んでるんですけど。僕とドラムのナカヤマくんが、18歳で上京してきて、最初に住んだのが八王子のほうだったんですよ。4年間僕が八王子市の大学に通ってたんで。大学を卒業したタイミングで、とにかく都心に出ようということで、その頃のバンド活動の拠点っていうか、出ていたライブハウスが下北沢だったり、渋谷、新宿あたりが多かったんで、家賃のこととかも考えると井の頭線がどうやら良さそうだぞって。二人とも井の頭線沿いの吉祥寺の近くに引っ越して、後にナカヤマくんは吉祥寺に住んでた時期もあって、吉祥寺の無印良品でバイトしたりとか。インディーズからメジャーデビュー前後の何年間かの間は、ずっと吉祥寺の町スタジオに入って練習したり曲を作ったりしてました。生活の場でもあり、今はもうほとんどなくなってしまったけど映画館とか通ってたレコード屋さんとか、インスピレーションの場でもあって。僕は今もよく行くので吉祥寺にノスタルジーがあるわけではないんですけど。たまに振り返ると、吉祥寺で出会ってよく飲みに行ってた仲間達とか、出て行った人たちのことを思い出して、あんな時代もあったなぁとか。そういう意味で、吉祥寺愛を曲にしてみました。特に東京で一つ街を挙げるとしたら、自分達とバンドの環境が変化していった時代とともに、強く心に残っている街が吉祥寺っていう。

――なんとなくホームタウンっぽい感じというイメージですかね?

ホリエ:そうですね。ずっと見てると感じないんですけど、気づいたら街もだいぶ変わっちゃってて、無くなってしまったものに対してはちょっと寂しさもあります。

――配信リリースで先に出ている「スパイラル」なんですけれども、こちらの楽曲の演奏も歌詞もそうなんですが、今までのストレイテナーになかったような楽曲だなっていうのを感じて、配信で先に出ているので、シングルみたいな扱いになっちゃうじゃないですか、言ってみれば。そこにこういう爽やかっていうとあってるかわかんないですけれども、すごいゴリっとした所がないというか、角の取れた感じの綺麗なサウンドの楽曲が入ってきて、出てきてっていうのが驚いたんですけれども、これも新しい挑戦の一つみたいな感覚ではあったんでしょうか?

ホリエ:曲が先にできて、このメロディを聴かせるためにはバンドっぽいイメージに寄せていくよりも、歌を主軸において素直に鳴らした方がいいなって思って。こういうサウンドアプローチの曲で過去に「彩雲」っていう曲があって、僕がピアノとアコースティックギターを弾いてるミドルテンポナンバーで、「スパイラル」はリズムはもうちょっとアップテンポなんですけど、サウンドのアプローチ的にはその方向を目指そうと。

――他の曲も含めて、普段アレンジする時っていうのは、最初は作詞作曲もホリエさんがやるわけじゃないですか。それのデモとかを渡すんですか?

ホリエ:デモはつくる時もあるんですけど、つくらない方が多いですね。

――スタジオで直接演奏して、そこにみんなでジャムして合わせてみたいな。

ホリエ:僕の弾き語りの上でなんとなく合わせてみてみたいな。

――今回の5曲に関しても今のスパイラルの話はあったにせよ、他の曲とかもスタジオの中でみんなでアレンジを実際鳴らしながらつくっていったっていう感じですかね。

ホリエ:全部、今回はそうですね。

――ちなみに今作のレコーディングで、ホリエさんが使用したギターって何本ぐらいだったんでしょうか?

ホリエ:ギターは、テレキャスターがメインで。「吉祥寺」も「青写真」も僕はテレキャスターですかね。あとはアコースティックギター。1曲目と3曲目はピアノです。

――使ったエレキギターはっていう点で言えば、テレキャスター1本、フェンダーですかね?

ホリエ:そうですね。初めてかな、レコーディングで使ったのは。

――ピアノも普通に打ち込みっていうか、MIDI音源ではなくて、生のアップライトとか、普通のピアノとかですか?

ホリエ:1曲目は、MIDI音源とシンセサイザーのピアノですね。あと「スパイラル」はMIDIですね。生で弾いたのをMIDI変換して、ソフトウェア・シンセサイザーのピアノの音でならして。「Jam and Milk」は、スタジオにあるフェンダー・ローズを借りて、久々にローズを弾いて、めちゃテンション上がって(笑)。

――わかります(笑)。今ソフトウェア・シンセサイザーでもローズの音って簡単に出ますけど、やっぱり違いますよね。生の音。

ホリエ:違うって思いたいです(笑)。電源のノイズとか、録ってる時にノイズものっちゃってる気がして大丈夫かなって思ったけど、全然大丈夫だった。

――ノイズも含め、ノイズの持つアナログ感っていうか、電子楽器なんですけどアナログ感があるというか。

ホリエ:パキっとしてないってなんかね。

――あの不思議な音色ってすごくいいなって思います。

ホリエ:おかげで「Jam and Milk」は、可能性的にはいろいろ考えられたんですけど、もっとシンセサイザー入れてダンスチューンっぽく上書きしていくみたいなことも考えたんですけど、ローズの良さを残したくて、極力音を足さずにリズムも録ったまんまの生々しさを生かす感じに着地したという。ローズのおかげです。

――いいこと聞けました。ありがとうございます。
今作とは少し離れた質問をさせていただきたいんですけれども。先ほどもちょっとお話をさせていただいたんですけれども、この20年間の中でもホリエさんがストレイテナーの鳴らしたい音楽に変化っていうのは、必ずあったと思うんですけれども、今現在どんなメッセージを届けたいとか、どんなサウンドを届けたいと思って作曲されてらっしゃるんですか?

ホリエ:今は幅広く、自分が通ってきた、つくってきた音楽、聴いてきた音楽、全てが血となり肉になってる感覚はあるので、これからつくる曲によってその中でどう選択していくかっていうところを楽しめる。特定のジャンルにとか誰に向けてみたいなことは特に考えずに、自分が何をつくるか、自分から何が出てくるかによっての変化を楽しみたい。もちろん「Jam and Milk」みたいにファンク寄りというか、ちょっとブラックミュージック的な要素も取り入れたりすることもあるし。メンバーの例えばベースのひなっちはジャズのジャムセッションに傾倒してたりするので、そういう角度のアプローチがストレイテナーの音楽にどう影響するかとか。やってみたら面白いことになるんじゃないかみたいな。かたや「青写真」みたいな繊細なギターのアルペジオと歪みでコードの壁がゴォーンで持っていくオルタナティブロック的なアプローチも得意とするところだし。90年代2000年代育ちとしては、出ざるを得ないというか。

――初期ストレイテナーのサウンドですよね。本当にゴリゴリの。

ホリエ:しかも今回テレキャスターを弾いたことによって、これまでにない新鮮な響き方にになって、これもいいなって思って(笑)。ずっとハムバッカーできたので。

――シングルコイルもいいかという。

ホリエ:ストラトは過去にも弾いてきたんですけど、乾いた感じのファンキーな曲とかバラードでクリーントーンのコード弾きとか。ここにきて歪みのテレキャスターのジャキジャキ、ブリンブリンいう音が気持ちいいんですよね。。

――すっごい特徴的ですよね。

ホリエ:このための曲を書きたくなるぐらいですよね。ギターのために曲を書きたくなる(笑)。

――テレキャスターの楽曲を(笑)。

ホリエ:そういうことか。NUMBER GIRLのかっこよさはこういうことかみたいな。

――確かに向井秀徳さんとかが、ジャラ~ンってすごいゆっくりストロークで鳴らすじゃないですか。あのテレキャスターは歪んだボックスのアンプから出てくる音で、全て許されるみたいな(笑)。あのロックの衝動みたいなものっていうのはありますよね。

ホリエ:あれ絶対気持ちいですからね、本人も多分。6弦をヴ〜ンってチューニングするの。

――すごいわかります(笑)。NUMBER GIRLとかって、わりかし同世代ですよね?

ホリエ:先輩だけど、NUMBER GIRLが東京に鳴り物入りで出てきた時にはもう僕らはその辺の小ちゃいライブハウスに出始めてた頃なので、同時代ではありますかね。

――今はなきですけれども、下北沢のハイラインレコーズとかに、NUMBER GIRLとかが展開されてた頃にミュージックビデオとかで、まだ二人体制だったストレイテナーが流れてたりして、うぉー、ゴリゴリでかっけぇなっていう。グランジサウンドを、当時鳴らす人ってそんないなかったんで、それがすごいインパクトに残ってるなぁっていう印象です。若干、先輩に当たるんですね。

ホリエ:レコード会社も一緒だったから。でも僕らがやっとデビューした頃には解散してたような気がしますね。デビュー前にギリギリNUMBER GIRLの新譜をレコード会社行ってもらった覚えはあります。解散して向井さんがZAZEN BOYS始めた初期メンバーにひなっちがベースでいるんで。ひなっちがザゼンに入るのとストレイテナーに入るタイミングとストレイテナーのメジャーデビューが同時期なので。NUMBER GIRLと入れ替わりで東芝EMIからメジャーデビューしたんだ。

――そう考えると不思議ですね。今の話の流れから、日向秀和さんがいるっていうのが不思議だなっていう。そのバンドの歴史を考えると。

ホリエ:僕とナカヤマくんがNUMBER GIRLのライブを初めてみた時に、別でひなっちとOJも来てて、同じライブを見てたっていう。その時に衝撃を受けたみたいな。

――初めてインタビューさせていただく方に、聞いている質問なんですが、今日の2019年9月17日なんですけれども、今現在ホリエさんを構成する要素みたいなものって、様々あると思うんです。それこそバンドであったりとか、作詞作曲であったりとか、色々あると思うんですけど。その中で、この3つの要素がなかったら自分が自分ではなくなってしまうなみたいな重要な要素みたいなものがあれば教えていただきたいなと思っているんですけれども。

ホリエ:めちゃくちゃ普通のこと言ってしまうと思うと。衣・食・音楽ですね。衣っていうのは、僕洋服が好きすぎるだろうぐらい好きで。洋服を見たりコーディネートを考えたりしてるのは楽しいし。僕いつもこの時間に家を出ようと決めて時間に合わせて着替えるんですけど、着る服を選ぶのに思った以上に時間がかかっちゃって、だいたい押しちゃうっていう。電車1本逃したりとか。

――着るもの決めるのに時間がかかって悩んじゃったりするんですね(笑)。

ホリエ:着た後に、靴履こうとして、合う靴がなくてそこでもう一回服に戻るみたいな。寝坊はほとんどないんですけど服での遅刻はある(笑)。

――起きて絶対間に合う時間なのに、そこで遅れてしまうっていう。

ホリエ:そこの時間配分を間違ったりする。服を着るのに時間かかってることわかってないっていう。

――いい意味で息抜きとかにもなってるものにもなるんですかね。

ホリエ:時間があると洋服を見に行ったり、ツアーで地方に行った時も、その街の洋服屋さんを回るのは恒例になってます。

――特定な好きなブランドがあるとかじゃなくて。

ホリエ:ありますね。あるんですけど、結構絞れないですね。服のジャンル的にもストリートとか、モードとか、並行して着てます。モードの時もあるし、古着にはまる時もあるし、ミックスしてコーディネートしたり。

――本当の洋服好きじゃないですか(笑)。

ホリエ:今同じ年代のデザイナーとかが増えてるから、共感しちゃって。つくってる人が言ってることめちゃ分かるみたいな。

――インスピレーションの源とかが、すごい共通したりとか(笑)。やってることは違うけど、クリエイターとして、洋服をつくってる方にシンパシーを感じたりっていう部分もあったりってことですよね。

ホリエ:あります。音楽も無から生まれてくるわけじゃないので。洋服のつくり方も、いろんな時代とか文化とかもあるし、用途とかでディテールだったり素材感に工夫があったり、面白いアイデアを合わせてつくったりしてて、音楽も似たところがあります。発想が参考になったり。

――食は、単純に食はなくちゃダメじゃないですか。人としてまず最初に。そこは置いておいても食べることは好きっていう感じですか。

ホリエ:食もお腹をいっぱいにするじゃなくて。

――食べる楽しみ?味を楽しむみたいな。

ホリエ:選ぶというか、食材とかにすごいこだわりがあるわけじゃないですけど、美味しいものを美味しく食べることを追求したくなる。自分たちでもお酒のための、このお酒に合うつまみを考えるみたいなのが好きで。友達の家で食にこだわるホームパーティーみたいなことをやったり。。

――作ったりする?

ホリエ:たまに。最近やっと自分の家のキッチンをちゃんと使うようになりました(笑)。

――結構お酒も飲まれるんですか?

ホリエ:なんでも飲みます、大体。最近、ワインが好きになって。日本酒がもともと好きだったんですけど、和食好きなので日本酒が合うんですけど、日本酒って古くなるとダメになっちゃうんで。ワインって古くなっても大丈夫じゃないですかっていうところに魅力を感じて。いきなりヴィンテージのワインにハマったわけじゃないんですけど、保存出来るのっていいなって。

――もう一歩ハマったら、セラー買うやつですね。

ホリエ:セラー買いかけてます(笑)。置き場がなくて、まだ。置き場をつくれば、セラーを買っちゃいますね。

――セラー買ったら、チーズ屋に通ったりとかもしますかね、今後。段階踏んで(笑)。すごく人間っぽいところが見えて贅沢です。ありがとうございます。

ホリエ:結局そうなっちゃうんですよ。衣・食は。

――音楽は、純粋に音楽がないとっていう生活ってことですよね。

ホリエ:ミュージシャンだったら普通なのかもしれないっすけど、常に歌ってたりしますね。日常歩いてる時とかも。

――逆に聴く方はどうですか?いまだに新しいものを開拓して聴いてみたりとか。そういったことって。

ホリエ:昔ほど開拓はしなくなったんですけど、やっぱり好きなものをずっと聴き続けてますね。、好きなアーティストの新譜が出るとチェックしたりはします。ここ最近出会った中では、韓国の日本名「赤頬思春期」っていう、アイドルじゃなくて自分たちでソングライティングしてる女の子二人組のユニットで、シティ・ポップよりの楽曲で、メロディもサウンドもオシャレだし、声がすごい好きで魅力的でずっと聴いてますね。

――それはちなみにどこでそういうのを知るんでしょうか?

ホリエ:K-POPはもともと好きなんですけど、赤頰思春期はK-POP好きな友達からすすめられて、日本でショーケース的なライブがあったのを見に行って、まんまとノックアウト。ライブが本当に良くて。

――韓国でもシティ・ポップってはやっているみたいで、日本のシティ・ポップのバンドが韓国に行っても盛り上がるし、そうすると対バン相手も韓国のシティ・ポップのグループだったりするらしいんですよ。その逆パターンで、日本では、韓国のシティ・ポップのグループが来てみたいなのが、文化的にあるみたいで。輸入されてるみたいです。

ホリエ:インディーズ界隈でもそういう交流があるって聞きます。

――本当インディーズで、キャパ的には新代田のLIVEHOUSE FEVERとか、あれぐらいのキャパで、そういうネットワークじゃないですけどできていて、シティ・ポップが毎晩のように鳴らされてるっていうのは、この間聞きました。
私の中でストレイテナーって、ライブバンドのイメージがすごい強いんですけれども、ホリエさんの中でライブとレコーディングって、どちらも大事だと思うんですけれども、より重きを置いているのってどっちとかあったりするんですか?

ホリエ:バンドとしてはライブの比重がでかいと思うんですけど、音楽をやってて一番嬉しい瞬間は、新しい曲が完成した時。レコーディングが完パケして、それを自分で聴くときが一番嬉しいです。

――そこで完パケしたものをツアーに出て、今回もそうですけれども、ツアーで演奏していくわけじゃないですか。そこでどんどん楽曲って進化をしていくものなんですかね?だんだん重ねていって。

ホリエ:最初は、自分でつくったものを自分で演奏する。それ自体も気持ちいいんですけど、曲がどんどん伝わっていくと、その曲が聞いてくれた人のものになって、自分だけのものじゃなくなっていくじゃないですか。それをライブで肌で感じられるっていうか。ただ作品をつくってリリースするだけだと、誰がどんな気持ちで聴いてくれてるかっていうのは目に見えてこないけど、ライブという場所でそれを自分で確認出来る、それは嬉しいですよね。

――その感覚って、最初につくるのは、下部屋とかでホリエさんが一人でこもってつくるっていうものが、ファンとかも含めて大勢の人で共有するものになるわけじゃないですか、楽曲が。それって嬉しい感覚なのか、それとも自分の手からちょっと離れて、楽曲が離れて一人歩きしてちょっと寂しい気持ちなのか、どういった感覚なんでしょう。

ホリエ:寂しさは全くないですかね。変な受け取られ方したら、ちょっと寂しくなるかもしれないですけど。幸い今のところ。

――素直に喜んでもらえれば、それは嬉しいことでしかないっていう感じですかね?

ホリエ:そうですね。ストレイテナーの楽曲の中でも、人気ないなみたいな曲とかをたまに異様に愛してくれてるファンがいたりしてめちゃくちゃ嬉しい(笑)。この間、綾野剛くんが、自分が今聴いてる曲をInstagramのストーリーズであげてたりするんですけど。ストレイテナーのめちゃくちゃ人気ない曲をあげてくれてた。嘘でしょ、みたいな(笑)。

――綾野剛さん音楽好きなので有名ですもんね。

ホリエ:「氷の国の白夜」っていう。本当にストレイテナーの曲の人気ランキングでも下の方だったのに。「ずっと聴いていられる」みたいなコメント付きであげてました。

――確かに嬉しいですよね。きっとそういうタイミングって。
最後にミニアルバムに戻らせていただいて、10月9日にミニアルバム「Blank Map」がリリースされますが、どういう気持ちでこのアルバムを世に出そうと今思っているかというのと、聴いていただく方に対して何か一言メッセージをいただけたらと思うんですが。

ホリエ:「吉祥寺」っていうタイトルをつけたからには、吉祥寺の街で、この曲が鳴っててほしいな。吉祥寺にいる人、吉祥寺を好きな人達に届いてほしい。あとファンには、今後のライブの出囃子になる曲が入ってるから、この盤は絶対に持っていてほしいなっていう。「スパイラル」もずっとライブでも大事にしていくであろう曲だし。今の自然体で感覚的に良いものが作れたと思うので、この盤はマストアイテムなんじゃないかなと思います。

――それでは、質問は以上になります。
本日はありがとうございました。

ホリエ:ありがとうございました。

photo by 尾方里菜

Kohei Murata

Kohei Murata編集長・ライター

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バンド活動を通して、自分の音楽を世界に発信する事を志しながら、同時に仕事での独立を目指して様々な業種を経験する。バンドでは日本のみならず台湾でも活動を行い、台湾でのアルバム2枚のリリースや大型野外フェスティバルへの出演も果たす。
その後、様々な仕事を経験し2015年独立。
現在は音楽メディアOptimanotesの編集長兼ライターとして、記事の執筆をしている。

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