[Live Report] millennium parade – 2019年12月5日 millennium parade Live 2019@新木場STUDIO COAST

奇跡のような夜だった。
ライブが終わって、まだ数時間、今でも思い出すだけでゾクっと鳥肌が立ってしまう。それ程の余韻を残したライブだった。

さて、改めてこの奇跡のようなmillenium paredeの一夜のパフォーマンスを振り返ってみようと思う。
会場に付き入る際にPERIMETRONがデザインしたしっかりとした箱に入った3Dメガネを受け取り、それだけでもなんだかこの日のライブに満足してしまいそうな高揚感があった。
箱の中にはこの日の為に用意された同じくmillenium paredeのロゴが両サイドに入った特別な3Dメガネ。なんという満足感!

会場に入ると、少しずつオーディエンスが増えてゆき、開演時間間近になると会場内は2500人のオーディエンスでパンパンだった。これだけの人が彼らのパフォーマンスを待っている。という事実に、日本の音楽シーンが本当に変わりつつある様子が伺えた。
前回、初めてのmillenium paredeのライブ、ローンチパーティにも行ったが、その時に観たものは強烈に刺激の強いDOPEな音楽と映像だった。決してポップとは言えないかもしれない。けれど、確実に人に何かを訴えかけてくる、鬼才常田大希だからこそ生めた音楽だと思ったし、PERIMETRONをはじめとして、Backspace Productions Inc.の比嘉了(Visual Artist, Programmer)、INTからKezzardrix(Visual Artist, Programmer)といった世界的に活躍するクリエイター勢だからこそ出来た映像だったと思ったし、そんな決して万人受けするポップな音楽とは一線を画す音楽にこれだけの人が集まり、更に言えばチケットは即Sold Outで観たくても観れない人だらけだと言うんだから、これが何かの変化でなくて、何と呼ぶのだろうか。
彼らは確実に、この日本の音楽業界に革命を起こしつつある。そんな事を感じずにはいられなかった。

開演時間までステージのスクリーンにはmillenium paredeのロゴと子鬼が周りを走っている映像が流され、BGMが流れていた。そして開演時間がやってきて、満員の会場の客電が落ちる。
ステージ後ろの大型スクリーンに映像が映し出され、さながらスマートフォンなどの音声認識のような男性の声で「ピピッ!こんにちは。東京のみなさん、お元気ですか?楽しんでいますか?きっとあなたはパーティを求めてこちらへいらっしゃったのでしょう。ですが、これはそのようなただのクソではございません。大丈夫です。無事に戻ってこれますよ。だから、恥ずかしがらないでともにブ飛んでまいりましょう。」というアナウンスと「Get High With Me」という文字が浮かびあると、すでに会場は大盛りあがり。
そこへライブの狼煙を上げるかのようなSEが流れ、メンバーがゆっくりと現れた。
ステージは観客席から見て左から、Dr.石若駿・Saxophone,Guitar,Vocoder,MELRAW・Pf,江﨑文武(WONK)・Vo,ermhoi(Black Boboi)・Agitator,Cota Mori(DWS)・Agitator,佐々木集(PERIMETRON)・Ba,新井和輝(King Gnu)・Dr,勢喜遊(King Gnu)という尖りに尖ったメンバー構成でステージ外周をアーチのように囲んでいて、最前列真ん中にはこのmillenium paredeのという無敵艦隊の船長にして、首謀者でもある常田大希が大きな椅子に鎮座し、観客席に背を向け、PAやモニタ、DTM機材、ピアノと言った、自宅のスタジオ環境をそのまま持ってきたかのような機材に囲まれており、まるでコックピットのようであった。
この見慣れないステージセットだけでもすでに鳥肌ものにかっこ良く、誰がこのメンバーとこの配置を考えたのだろうかと、それだけで心臓を掴まれたような気分になった。


そうこうしていると1曲目「Fly with me」が早速スタート。
いきなり強靭なリズムが会場に鳴らされ、江﨑文武のピアノが主張をしてくる。そして拡声器を持つ常田大希に続くように佐々木集とCota Moriがステージ前方へ勢い良く飛び出してきて、3MCでキレキレのラップで楽曲が進み、サビではermhoiが美しい歌声でコーラスを歌い、タイミングがあれば勢喜遊がドラムセットから離れ観客や石若を煽りに行き踊る!純度が高すぎる。1曲目から音楽体験、映像体験が凄すぎて、オーディエンスは波打ってそこで鳴らされている音楽に自然に身体を委ねている。美しすぎる空間。

続けて間髪空けずに2曲目「盆」。ダブルドラムのリズムが強靭でヤバい。そこへ入ってくる常田のラップとMELRAWのSaxがまた痺れる。ラップパートとSaxが交互にやってくるのが気持ちよすぎる。
ステージ上では気持ちよさそうに踊っているermhoi、Cota Mori、佐々木集がいて、その絵がまた会場を盛り上げる。演奏隊は相変わらず文句無しに最高のパフォーマンスを披露。演奏パートも美しすぎて、これで身体が動かない方がおかしい。そんな演奏に身を任せる。

常田の「ベース!」という掛け声から新井のブリブリにウネルノリの良いベースラインが鳴り響き、そこへドラムイン。これだけですでに素晴らしい。リズム感が独特で気持ち良く身体が動く。3曲目「WWW」。江﨑文武のピアノも冴え渡り、その上での3MCがとにかくカッコイイ。間奏のMELRAWのSaxが現代音楽のような、フリージャズのような演奏で、その裏で鳴らされるドラムやピアノも素晴らしい。そこからの行進する人の映像に合わせた、本当に行進したくなるようなガラっと雰囲気の変わる演奏パートも秀逸。なんでこんな展開思いつくのかと真剣に関心してしまう。

江﨑文武のピアノが重厚に会場に響く。クラシカルな響きを携えて、その流れで、4曲目「Veil」。millenium parede名義で最初に配信された楽曲という事もあり、オーディエンスも沸く。もう此処らへんまでくると、オーディエンスの熱量もステージの熱量も凄まじく、会場の一体感が物凄い。ermhoiのボーカルが素晴らしい。妖艶でセクシーで、でもどこか愛嬌があって、本当に唯一無二の歌声だと思う。millenium paredeには絶対に欠かせない声。映像はMVにも使用された映像が流され、このmillenium paredeというプロジェクトが如何に音と映像の両方を重要視しているかがよく分かる。音源にはない間奏のSaxが最高。リズムも生演奏に変わる事で、より強靭になりライブ映えする楽曲になっていた。
ermhoiから「ありがとう」と一言。

美しいギターの音色から、メロウなメロディが常田によって歌われる5曲目「SwanDive」。オーディエンスも気持ち良さそうに音と映像に酔っている。
エレキピアノの音やSaxの音が楽曲に色を添えてカラフルな音像が表現される。常田と、他のメンバーのコーラスとの掛け合いも気持ち良い。どこか淋しげな雰囲気を持った楽曲がこの季節にも合っていて、なんとも言えない感情に心が支配されてゆき、それがまた心地良い。

6曲目「NEHAN」。怪しげなボイシングのピアノのコードと効果音が鳴り響き、そこから更に怪しい雰囲気のSaxやベース、ドラムが入ってきて、さながら60年代のサイケデリックなフリージャズを思わせる。ゾクゾクと心臓を鷲掴みにされるような演奏。millenium paredeの音楽的懐の深さと、幅広さをこれでもかと見せつけられるよう。
江﨑文武のピアノとMELRAWのSaxが楽曲をリードしていくのだけれど、不安を煽るような音の鳴らし方がここまでなかっただけにインパクトが絶大。途中入るドラム・ソロも素晴らしい。

ドラムのカウントから始まった7曲目「SNIP」。一転してノリの良い曲に。3MCでのラップを中心にした楽曲。縦横無尽にステージ上で動き回るCota Moriと佐々木集と、自席付近から観客を煽り 歌う常田の対比がまた良い。ここでも間奏のピアノとSaxが素晴らしい。millenium paredeのライブでは、どのメンバー1人欠けてもダメだと思わされるのだが、ライブも中盤に差し掛かってきて、それがより顕著に出ていると感じた。本当にこのメンバーだからこそ、この演奏が出来るのだろうな。と思う。

美しいエレピの響きからermhoiの美しい歌声が響き渡り始まる8曲目「Dark」。全体的に抑えめな演奏の中、ermhoiの歌声の素晴らしさが全面に出ていて、オーディエンスもその妖艶で魔法のような歌声に聴き入る。
彼女の歌声は聴けば聴く程心地よく、そのステージでの立ち居振る舞いも含め、本当に妖艶で美しいと思う。Saxからギターに持ち替えたMELRAWの弾く間奏のギター・ソロも素晴らしかった。
どこまでもクリエイティブに、どこまでも新しく、ジャンルや国なんて壁を取り払って鳴らされる彼らの音楽は偉大だと思わされた。
歌い終わりの「ありがとう」というermhoiが最高にキュートだと思った。

続けてermhoiが主役の楽曲「Stay!!!」。この楽曲はすでに配信リリースされており、オリジナル・バージョンではボーカルをCharaが歌っているが、ermhoiのボーカルも合っていて最高だ。ビジョンにはMVでも使用された映像が流され、配信されている音源とは若干ノリの違う演奏が楽しい。サビの「Stay!!!」を常田が拡声器で観客席に向かって言うのだが、Stay出来るわけもなく、とにかく盛り上がる。こんなに一瞬で終わる曲だったっけ?と思うくらい持っていかれた1曲でもある。
リズム隊が全体的に素晴らしかった。

手数の多いドラムで攻め攻めの演奏が始まったかと思ったら、EDMのようなシンセのフレーズがテンポを一度下げ、そこへSax。またドラムの手数が増やしノリが一変。忙しなく切り替わってゆく演奏が、もはやジャンルレスで凄い事になっている。途中から常田・Mori・佐々木・ermhoiが掛け声を掛け、ビジョンにはこのライブに関わった人たちの名前が凄まじいテンションで表示されてゆく。一度観ただけではとても全部ちゃんとは把握出来なかったが、それも含め映像作品になっていて、PERIMETRONのクリエイションの凄さをここでも感じた。

曲終わり、「This is the Fucking millenium parede!!!」というシャウトからKing Gnuの「Slumberland」のmillenium paredeバージョン。
この曲も3MC&ermhoiのVoによって、KIng Gnuとはだいぶ雰囲気が変わっていて、途中入るSaxも良い味を出していたし、途中挟まれた新井のベースパートとその上に乗るSaxパートがめちゃくちゃに素晴らしかった。そこへ入ってくるドラムも軽いのだけど、曲を走らせる要因の一つになっていて、ちゃんとKing Gnuとの差が出ていて、同じ曲なのにここまで別の演奏になるんだな。と関心した。そして、当然のように最強にかっこ良かった。
曲終わりの常田の「センキュー!」という甲高い声が印象的だった。

12曲目「ABUKU」。常田が拡声器を持って自席に横になるように座り、ステージはブルーの証明で照らされ、ビジョンには気泡の映像が流れる。
メロウなバラードを歌い上げる常田を観る機会というのは、あまりないのだが、とにかくエモい。演出、歌、演奏、全てが深い音像で一緒に潜っていくような気持ち良い感覚でどんどん聴いているこちらもエモくなっていく。
さっきまであれだけノリの良い演奏をしていたとは思えない程のメロウさで、演奏隊の実力も見せつけられるような気持ちになった。お見事の一言。

13曲目、こちらも配信リリースされている「Plankton」。どの楽曲でもermhoiのボーカルは素晴らしいのだけど、この曲は特に個人的に好きだな。と感じた。MVも素晴らしい出来だと思うし、それが大画面に映し出され、ermhoiのボーカル、MV、オーケストレーション、うなるベース、インパクト大で入ってくる効果音など、全てにおいて無駄がなくて、何度でも何度でも聴きたくなる、特にストーリー性のある楽曲だと思う。

ここで江﨑文武のソロ・ピアノ。クラシカルな響きに身体が気持ち良い。
そして、その流れからermhoiのボーカルと共に14曲目「lost and found」。ちょうど、この日2019年12月5日の24時にMVが公開されると告知されていた楽曲をラストに。
常田が今現在までで一番良い曲を書けたと自信を持って、満を持してリリースされる楽曲とあって、オーディエンスも聴き入る。
ドラムがずっとソロを叩いてるんじゃないか。と思う程複雑で、でも全く歌の邪魔をしていなくて、ermhoiのボーカルは映えまくっていて、なんていうギリギリのバランス感で成り立っている楽曲なんだと思った。
本当に凄まじいパフォーマンスだった。常田から「ありがとう、millenium paredeでしたー!」と一言あり、メンバーがステージから去る。

当然のようにアンコールを要求する大きな大きな拍手。
そうこうしていると姿の見えない常田から「面白いだろ?面白いんかーい?面白いかーい?もっと欲しいのかーい?あーい?」と声だけが聞こえてきて、ステージに全員が戻ってきた。
そして、常田からメンバー全員の紹介があり、「最後に1曲やって終わります。」と言って始まったアンコールにしてラスト曲「DURA」。
のっけからDopeな音像の中ermhoiのボーカルが響き渡る。印象的なシンセ音が鳴り響き、常田も一緒に歌う。3Dメガネから観える映像はこれぞPERIMETRONとでも言うような摩訶不思議な映像で、常田のボーカルに合わせて何十個も映し出される顔が同じフレーズを歌っているように口を動かす。
最後に彼らのクリエイティブを全部出しきって終わる。そんな感じがした。こんな音楽体験、今他で出来るチャンスってあるのだろうか。と真剣に考えてしまう程尖って尖って、それを研ぎ澄ませた感性で作り上げた音楽という感じだった。

そして、ビジョンには「極楽」という二文字が3Dで映し出され、正にこの日のライブを象徴するかのようだった。
メンバーが前へ出てオーディエンスに感謝を述べてからステージを去ると、ビジョンにはPERIMETRONから「お気をつけて、おパンクで。愛してるぜ兄弟」とのメッセージが表示され、英語でもそのメッセージが読み上げられてライブは全て終わった。


Millenium paredeのライブは、もはや常田大希のソロプロジェクトはなく、このライブのメンバー、また他のクリエイションに関わっている人達全員のプロジェクトなんだろうな。というのを凄く実感させられたライブだった。
ライブ中ずっと印象的だったのは、普段King Gnuで演奏する常田は休む暇がほぼないが、このmillenium paredeではメンバーみんなの方を見ては笑顔になり、自身はピアノやDTM機材のマニピュレートをするものの、基本的にはステージ上ではコンダクターのように音楽を全てコントロールする、まさに指揮者であり船長であり、ボスであった。
そんな常田と兄弟と言うべきメンバーの絆の深さ、楽しさ、嬉しさ、そんなものがライブ全体に滲み出ていて、観ているこっちまで嬉しくなってしまった。

最高で最強の時間過ぎて、この余韻がいつ引いていくのか分からないけれど、むしろ引かないでくれと願う自分もいたりする。
また、次回のライブを観れる時まで、このまま浸っていたい。そんな気持ちにさせられるライブだった。

とにかく一言、メンバー全員、そして常田大希に「ありがとう!」と伝えたい。

【セットリスト】※曲名は今後変更になる可能性がございます。
01, Fly with me
02, 盆
03, WWW
04, Veil
05, SwanDive
06, NEHAN
07, SNIP
08, Dark
09, Stay!!!
10, Call me
11, Slumberland
12, ABUKU
13, Plankton
14, lost and found

-Encore-
15, DURA

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2019年12月5日 新木場STUDIO COAST
millennium parade Live 2019

【新曲 “lost and found”Music Video】

Kohei Murata

Kohei Murata編集長・ライター

投稿者の過去記事

バンド活動を通して、自分の音楽を世界に発信する事を志しながら、同時に仕事での独立を目指して様々な業種を経験する。バンドでは日本のみならず台湾でも活動を行い、台湾でのアルバム2枚のリリースや大型野外フェスティバルへの出演も果たす。
その後、様々な仕事を経験し2015年独立。
現在は音楽メディアOptimanotesの編集長兼ライターとして、記事の執筆をしている。

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