[Staff Recommend] King Gnu – 「CEREMONY」レビュー

2020年まだ始まったばかりだが、今年を代表するであろうアルバムがすでにリリースされた。
King Gnuの3rdアルバム『CEREMONY』である。

2019年は彼らの大飛躍の年になったと言っていいと思う。いまや、毎日テレビをつければKing Gnu、ラジオをつけてもKing Gnu、雑誌を読んでいてもKIng Gnuといった具合に兎に角お祭り状態で彼らの名前を聞かない、目にしない日はない。
特に、昨年末紅白歌合戦にメジャーデビューより1年で出演した事のインパクトも効いており、一般の層まで確実にKIng Gnuの名前は知れ渡っているのだと思う。

そんなKing Gnuの勢いを補足しておくと、令和以降リリースされたアルバムの初週売上のバンド部門で堂々の第一位の売上を記録した。実際の枚数的には20万枚超えなのだが、この数字はこの10年間の間でバンドがデビューしてから1年以内に叩き出した数字としては初めての記録だ!
また、CDアルバムウィークリーランキング・デジタルアルバムウィークリーランキング・「白日」ウィークリーストリーミングランキングで3冠を達成した。しかも、「白日」のストリーミング数に関しては、歴代最高週間再生数の記録も叩き出している。

上記しただけで、King Gnuが今如何に勢いがあるのかが手に取るように分かると思う。なにより凄いのは、これらがまだデビュー1年目のバンドが起こしたという事だ。あまりの勢いと爆発力に日々驚かされる。そんな中、この記録も作ったアルバム『CEREMONY』が2020年1月15日にリリースされた。すでに多くの方がこのアルバムを手にしたり、ストリーミングで愛聴していると思う。
しかし、私は私の素直な気持ちでこのアルバムを聴いてレビューしてみたいと思う。

すでに聴いた方も、これから聴く方も参考程度に楽しんで頂ければ幸いである。

1曲目『開会式』
なんとも不穏なストリングスの響きから始まる開会式。これから始まるアルバムの雰囲気を表しているのか、現段階では分からないまま聴いていくと、途中から明るいパートが現れちょっとホッとする。
決して壮大とは言えないストリングスの攻めた楽曲にドキドキさせられて、この後始まるであろう最高のアルバムを予感せずにはいられない。

2曲目『どろん』
映画「スマホを落としただけなのに囚われの殺人鬼」主題歌。KIng Gnu節とでも言えそうなトーキョー・ニュー・ミクスチャー・スタイルな楽曲。出だしの歌い出しから鳥肌モノにカッコイイ。

「いつだって期限付きなんだ
何処までも蚊帳の外なんだ
血走って噛み付いた
味方は何処にいるんだ?

今日だって
傷を舐めあって
面の皮取り繕って
居場所を守ってるんだ
あなたの事を待ってるんだ」

人間の本質にある誰も突かれたくない部分を見事に描ききっているような気がした。着眼点が素晴らしいと思う。そして、聴いていると胸が痛くなる。しかし、決して目を逸らせない。そんな内容の歌詞に爽快とも言える程のロックチューンが凄くマッチしていて、何度も何度も聴いてしまう。サビのアレンジがとにかく秀逸。

3曲目『Teenager Forever』
ソニーワイヤレスヘッドホン/ウォークマンCMソング。2019年12月20日に先行楽曲として配信の始まった楽曲。
タイトル通り、少し青臭さのある歌詞とポップでテンポの良い楽曲やメロディが最高に合っていて、でもどこか切なさとかも内包していて、まさにこのタイトルに合っていると感じる。

「伝えたい想いは溢れているのに
伝え方がわからなくて
今でも言葉を探しているんだ」

こういった、本当に10代に限らずみんなが経験してきてそうな歌詞が沢山散りばめれていて、聴いていて胸が熱くなる。
ラストの演奏のテンポが上がり、一気に最後畳み掛ける感じも含め、若さというか青臭さが最後まで残っていて最高だと思う。

4曲目『ユーモア』
前曲とは一変、大人な雰囲気を醸し出したしっとりとした演奏がインパクト大。前作アルバム「Sympa」もそうだったが、King Gnuのこういった幅広い楽曲群には本当に驚かされる。特に、ここまで2曲攻めた勢いのある楽曲だったので、一気にグッと引き込まれる。夜中をテーマにしている世界観と楽曲の雰囲気がとても合っている。踊っているのにどこか鬱々とした雰囲気が漂っていて、悲しさとか孤独とか、そういうものが何度も何度も見え隠れしていて、聴いていて胸を抉られるような気持ちになる。爆発的なインパクトがあるわけではないけれど、何度も何度も聴きたくなるし、本当にスルメのような名曲だと思う。

5曲目『白日』
日本テレビ系土曜ドラマ「イノセンス冤罪弁護士」主題歌。この楽曲については説明不要なのではないだろうか、この曲で2019年ブレイクしたと言っても過言ではない程の大ヒット曲。
歌い出しの井口理のボーカルがあまりに美しく、その第一声で引き込まれた人は沢山いるのではないだろうか。そして、後からやってくる常田大希のボーカルで更に引き込まれたのではないだろうか。常田はこれまで、強いワードの歌詞は自分が担当して歌っている。と言っていたが、この曲ではとても優しい歌詞を常田が歌っている。それだけでも聴いていてグッと来るのだが、全てを差し置いてもとにかく楽曲が素晴らしい。これ以上にいう事はないのではないだろうか。と思う程、とにかく楽曲が素晴らし過ぎるので、ちゃんと聴いた事がない人には全員に聴いてもらいたいと思ってしまう程の名曲だと思う。
また、バラードなのに、途中のギターソロが他の曲よりもこれでもかとロックしていて、そのギャップもまた素晴らしい。この曲も何度聴いても飽きない中毒性のある楽曲だと思う。

6曲目『幕間』
1曲目の開会式と同じ雰囲気を纏った幕間。さながら、アルバムの前後半を分ける為に入れられたような楽曲。短い楽曲ではあるが、オーケストラアレンジが秀逸で、もっと長いバージョンのこの楽曲を聴いてみたいな。なんて思ってしまう。どこまでも全力で最高の音楽を作ろうという意思が感じられる素晴らしい小休憩。

7曲目『飛行艇』
ANA「ひとには翼がある」篇TVCMソング。後半戦を告げる1曲。人々の歓声からインパクト大のギターリフ、重たい勢喜遊のドラムと新井和輝のベースが楽曲をぐんぐんと前向進めてゆくロックチューン。スタジアムなどで鳴ったらさぞかし気持ち良いだろうなと想像が膨らむ。ライブで聴いたこの曲は最高にロックで、激しく、人々の熱狂を生んでいた。そんな中毒性のある1曲だと思う。
目の前で鳴らされたら盛り上がらずにはいられない。そんな要素を多分に含んだ最高のロックチューン。

8曲目『小さな惑星』
Honda「VEZEL」CMソング。ポップなイントロから始まるのが印象的。割とアルバムの中ではシンプルな演奏だと思う。ただし、メロディが最高に良いので、そのメロディの良さだけで全部持っていってしまう程の力強さも持った楽曲だと思う。
2分半という短い時間の中に詰め込みたい事を全部詰め込んで、潔くカットアウトで終わるのもカッコイイと思う。歌詞が全体的に優しく、井口の声と良く合っていると思う。

9曲目『Overflow』
個人的にはアルバムの中で一番歌詞が刺さった楽曲かもしれない。上げ始めたらキリがない程、色んなパートの歌詞が刺さったので抜粋はしないが、兎に角全編通して歌われている事に心を抉られまくってしまった。
音楽ってやつは本当に不思議なもので、その時のその人の心情とピッタリとハマると自分の事を歌っているような錯覚に陥ってしまう。そんな歌詞を書ける人の才能にはいつも驚かされるのだが、常田大希という人間もまさにそんな才能の持ち主だと思う。作詞の才能も作曲・アレンジの才能も今の時代でずば抜けて優れている。
楽曲的にはKing Gnuだよね!という感じのファンにはたまらない曲調になっている。

10曲目『傘』
ブルボン「アルフォート」CMソング。こうやって見ると、今作、ほぼ前曲が何かしらのタイアップソングになっている!?今どきそんな事ってあるのかと疑いたくなるけど、これが今のKing Gnuだという事だと思う。誰も無視出来ない存在にすでになっているという事だろう。
この楽曲も事前に配信リリースされていた楽曲。トーキョー・ニュー・ミクスチャーをとてもよく感じられるような楽曲・アレンジがインパクトのある楽曲。井口と常田のツインボーカルが印象的で、新井と勢喜遊のリズム隊がしっかりと土台を支えている事で安定感が凄い。切ない歌詞と曲調がマッチしていて、なんとも心が揺さぶられる。井口の歌唱パートも常田の歌唱パートも素晴らしく、目頭が熱くなるような楽曲だと思う。

11曲目『壇上』
実質アルバムラストを飾る楽曲。常田大希が今の想いは全てこの曲に込めたと発言している楽曲。アルバム中一番長い曲でもあり、全編常田がボーカルを担当している楽曲でもある。そんなところからも、この曲に常田の込めた想いが如何に強いのかが感じ取れる。ここでいう「君」が誰なのか、それは分からないけれど、常田が誰かに話しかけているような楽曲になっている。うまくいかない心模様について語ったり、「もう終わりにしよう」といった言葉があったり、色々な事を考えてしまうが、最後の一節

「君はすっかり
変わってしまったけど
俺はまだここにずっといるんだ
汚れた部屋だけを残して」

という言葉で、決してこの曲が後ろ向きなネガティブな楽曲ではない事を感じ取れる。
どれだけスターになろうと一人の人間である事には変わりないし、King Gnuのメンバーも日々色々な事を考えて生きている。恐らくプラベートを晒して、売れた事でプライバシーも減ってきていて、そんな中きっと色々と心にくる出来事は一般の人たちより多いはずだ。そんな中で、書かれたこの曲が常田の音楽に対する決意表明的なものである事を願いたい。

12曲目『閉会式』
アジアの雰囲気を醸し出す音階を使った、『開会式』『幕間』に続くインスト、そして本当にアルバムを締めくくる楽曲である。
クラシックやワールドミュージックを飲み込んでオーケストラに落とし込んだような独特な1曲。ここまで様々な感情を揺さぶられてきて、最後この楽曲で終わるのは、どこかクールダウンの意味合いもある気がした。
後ろに聞こえる人の声のようなものがなにかまでは分からなかったが、きっと全てに意味はあって、これまでの熱狂の後を描いたような作品に感じた。

アルバム12曲、トータル36分48秒、これを短いと取るか長いと取るかは人ぞれぞれだと思うが、私は長くも感じたし、短くも感じた。こんな不思議なアルバムにはなかなか出会えないだろうなと思った。ただ、ひとつ言えるのは満足感としてはこれ以上ない程の満足感を与えてくれるアルバムだという事だ。
間違いなく2020年を代表する1枚になるはずだ。まだ1月だが、すでにそれは確約されているような、そんな名盤だと思う。兎に角、今このアルバムを聴かずに何を聴くのかと思う程の傑作なので、是非ともみんなに聴いてもらいたいと思った。

King Gnu – Teenager Forever

King Gnu – 白日

King Gnu – 飛行艇

King Gnu – 傘 OFFICIAL AUDIO

King Gnu 3rd ALBUM 「 CEREMONY 」Teaser Movie

Kohei Murata

Kohei Murata編集長・ライター

投稿者の過去記事

バンド活動を通して、自分の音楽を世界に発信する事を志しながら、同時に仕事での独立を目指して様々な業種を経験する。バンドでは日本のみならず台湾でも活動を行い、台湾でのアルバム2枚のリリースや大型野外フェスティバルへの出演も果たす。
その後、様々な仕事を経験し2015年独立。
現在は音楽メディアOptimanotesの編集長兼ライターとして、記事の執筆をしている。

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