[Song Review] millenium parade – Philip

君はもう楽曲を聴いたか。そして、もうMVを観たか。
millenium paradeが送る圧倒的芸術作品「Philip」が10月2日にリリースされた。同時にMVがYouTubeにてプレミア公開された。夜中の0時から始まったプレミア公開にはなんと1万8千人にも及ぶ人たちが訪れた。
これはもう時代の事件だと僕は思う。millenium paradeの作り出す世界はどんどんその純度を増し、僕らは聴いた事も観た事もない、その圧倒的な世界観の前に、ただただ鳥肌を立たせ震え、声も出せずしばらくの間固まった後、我に返り歓喜する。かつてこんな経験があっただろうか。少なくとも、僕は「Philip」公開の瞬間、PCのモニターの前でただただ唖然としていた。

さて、前置きはこのくらいにしよう。まずは、この「Philip」という楽曲、そしてmillenium paradeが如何にとんでもないものかを書かざるを得なかった。少しでも上記した事に共感してもらえると嬉しい。そして、ここからは「Philip」について少し冷静さを取り戻しつつレビューしたいと思う。

millenium paradeが今までに発表してきた楽曲に通じる事は、コンセプトにも掲げている、深夜に㓢徊をする鬼や妖怪の群れ、 および彼らの行進を意味する「百鬼夜行」そのものだと思う。アンニュイ過ぎるって思う人もいるかと思うが、millenium paradeの作り出してきた音楽や映像は、確実に僕らが今まで体験した事のないものだ。テーマでもある「世界から見た東京」というリアルがここに絶対的に存在していて、チープな言葉で言うのであれば、洋楽でも邦楽でもない、完全オリジナルな音楽と映像だ。楽曲のアレンジは何度聴いても聴けば聴く程新しい音に気付かされ、飽きというものとは無縁だ。今作「Philip」も同様で、その音楽自体はとても馴染みやすいものに仕上がっている。しかし、その裏、鳴らされている音たち、アレンジ力、演奏力は恐ろしい程に練られている。ここまで凝った事をやっていたら、「なんかパッとしない」となるのが大体だと思うのだが、それをここまでポップに昇華してしまえる常田大希という天才と、楽曲に参加している演奏陣の才能に頭を垂れるしかない。
今作に参加しているのは、

Lyrics & Rap : 中野裕太 / Yuta Nakano
Music & Vocal :常田大希/ Daiki Tsuneta  
All arrangement:millennium parade
Keyboards:江﨑文武/ Ayatake Ezaki
Drums & Synth bass:石若駿/ Shun Ishiwaka
Violin:常田俊太郎/ Shuntaro Tsuneta
Music Video producer:佐々木集/ Shu Sasaki (PERIMETRON/millennium parade)
Music video animation artist:Ryoji Yamada (Mimoid)

という布陣。
なんと豪華な事だろうか。僕は思う。このメンバーは、今の音楽業界で絶対に目が離せないメンバーばかりだ。中でも今回ゲストとして作詞とラップを担当した俳優の中野裕太は常田が20歳ごろに活動を共にしており、音楽活動をすること自体がそれ以来のことで、常田大希だからという理由での参加だった。そして、このメンバーを集めてしまう常田大希の人望もまた才能の内だろう。みんな常田とは長い付き合いのメンバーだが、その一人一人が今の時代を象徴するような人物というのは、もはや奇跡ではないだろうか。そして、こんなメンバーで作られた「Philip」だからこそ、人を圧倒し、魅了する力をもった作品になったのだと思う。

MVを担当した、常田大希やmillenium paradeを語る上で欠かせないPERIMETRONの佐々木集/ Shu Sasaki (PERIMETRON/millennium parade)と、常田がDTMP時代にVJでライブを共にし、現在まで数多く作品を共にしているRyoji Yamada (Mimoid)が作り出した映像作品も、またこの「Philip」という作品を語る上で絶対に外せない。なぜなら、この楽曲のコンセプトとテーマが「まだ見ぬ最愛の息子 Philip への手紙」であり、そのMVは「愛は主義思想を凌駕し後世に継がれる、差別の根幹を断ち切った1匹のドーベルマンの話。」であり、相違する主義思想と向き合う苦悩や差別社会へmillennium paradeの視点で描く希望のストーリーだからだ。

このMVは上記した通りのストーリーがアニメーション作品として描かれている。

【Story】
チワワのEagle率いる純血種で構成されるSocial Pet Workers、通称SPW、保守派団体に雇われる殺し屋、ドーベルマンのStanとフレンチブルのBen。
彼らと対立構造にある混血種で構成されるリベラル派のThe Dogsのボスであるアフガンハウンドの雑種、Donを殺める。
Donの娘であるShalaが幼き頃の友だと知ったStanは純血と混血という禁断の関係をSPWに隠しながらShalaと生活を共にするが、Benの裏切りにより追われる事になり…

という話になっている。
きっとMVを観た人たちは様々な憶測をしただろう。このMVのストーリーを考察し、何を伝えようとしているのか考えたはずだ。
驚くのは、これは映画ではないし、ドラマでもない。というところだ。millenium paradeという音楽集団の1楽曲のMVなのだ。時間にすると3分27秒。信じられるだろうか?たったそれだけの時間に、ここまで濃密なストーリーを描いてしまうその凄さが。更に奥深いのは、アニメーションのところどころにmillenium paradeに関連する言葉や表現がたくさん盛り込まれているところだ。これもMVを飽きさせない要因の一つだと思う。何度も観て、色々な気付きをする面白さがこのMVには隠れている。

次に、この楽曲の歌詞について。もちろん歌詞も驚くほど興味深い。作詞をした中野裕太/Yuta Nakanoに感服せざるを得ない。
聴く人によって刺さる歌詞は違うと思うが、僕がここで取り上げたい歌詞は後半だ。

——————
Yea, I was resurrected!
My mind disconnected the feet from the ground, and I passed through the storm
after enduring massacre, overtaken by noise and chaos,
pathos oozing outta loophole!
Overdosing on the stories, I’d metamorphosed into Hades Thoroughbreds, crossbreds had repeated the duels
Till the storm abated, and its eye appeared upon me
It looked at me after we’d fully shed our blood

Ah that calmness! A hope!
To a big hole in the sky, I flew up at top speed and reached the black space with no ups or downs
Nor was the wind blowing
So I finally dismantled my wings;
It’s just an old story

Time to go back now

Hey, morning has broken and roll the drops of dew
The world’s all cleaned up

Go Philip as you like
It’s all fine
——————

というラストのパート、一番Rapが盛り上がるところから、優しくPhilipに語りかけるようなラストまで。ここにこの楽曲の一番濃い部分が集約されているような気がする。

日本語訳を載せておく。

——————
そうだ、俺は蘇った!
心が両足を地面から離して、 俺は嵐をくぐり抜けた。
ノイズ、銃眼から漏れ出てくるカオス、
ペーソスに襲われながら、大虐殺に耐えた後!
俺は物語を過剰摂取して、
ハーデース(ギリシャ神話の冥府の神)に変身していた。
純血、混血が争いを繰り返していた。
嵐が弱まり、その目が俺の頭上に現れるまで。
俺たちが沢山の血を流してしまった後、
そいつは俺を見たんだ!

ああ、あの静けさ!希望!
空のでっかい穴に向かって俺は、全速力で飛び上がった。
そして、黒い宇宙に到着した。上も下もない場所に。
風も吹いていなかった。
だから俺はようやく翼を解体した————
ただの昔話さ。

そろそろ戻る時間。

ほら、朝だよ。露が転がる。
世界がすっかりキレイになった。

行けよ、フィリップ。君の好きなように。
全部大丈夫さ。
——————

この後半、MVを観て楽曲を聴いて、StanとPhilipに思いを馳せると涙が出そうになる。
なんて優しくて、そしてなんて悲しいんだろうか。
一つのストーリーが楽曲とMVによって完全なものになり、僕らの心を鷲掴みにしてくる。皆んなはどこの歌詞に打たれただろうか、楽曲のどこのパートが刺さっただろうか。

僕は上記したパートがグッと来たが、勿論、勿論、最高に美しいコーラス部にも心を打たれた。

——————
It must’ve been raining
The world’s all cleaned up
A breeze goes by
We are in the sky

雨が降っていたんだね
世界がすっかりキレイになった
そよ風が通り過ぎる
俺たちは空にいる
——————

という美しさとポップさを兼ね揃えた最高のコーラス部は「Philip」のポップネスを象徴するかのように鳴らされる。
このコーラス部があるから、Rapもより引き立つんだろうな。と思う。

millenium paradeの楽曲はいつも美しさを内包している。過去に発表されたどの楽曲もMVも美しいと僕は思う。そして、今作はその美しさがとんでもないレベルだと思った。

僕はこうしてどんどん進化してゆくmillenium paradeの虜だ。この先、どんな景色を見せてくれるのかドキドキが止まらない。
まずは、まだまだ理解しきれていない、この「Philip」という名曲を繰り返し聴いて、MVを観て、もっともっと楽しもうと思う。

【millenium parade – Philip】

なお、ここからは余談になるが、この「Philip」という楽曲は、実は過去作のリメイクになっている。
常田大希がmillenium paradeとは別にやっている、いまや誰もが知るバンド、King Gnuの前身「Srv.Vinci」の発表していた「Stem」という楽曲が元になっている。そして、この「Stem」のRapを担当していたのも中野裕太/Yuta Nakanoであり、ドラムも石若駿/ Shun Ishiwakaというのがなんとも最高にエモーショナルだと僕は思う。
楽曲自体はだいぶ違った雰囲気になっているので、興味のある人は、以下MVを観てもらいたい。

【Srv.Vinci – Stem】

さぁ、皆んなで一緒にmillenium paradeの百鬼夜行にこれからもついてゆこう。

GET HIGH WITH millenium parade!!!!

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また、”Philip”のリリース&Music Video公開を記念して、”Philip Anniversary BOX”が販売される。
Music Videoを手掛けたDirectorのRyoji Yamada (Mimoid)とCreative Directorの佐々木集/ Shu Sasaki (PERIMETRON/millennium parade)によるクールなデザインのパッケージアイテムとなっており、millennium parade officialストアにて現在絶賛予約中なので、そちらもチェックしてもらいたい。

■”Philip Anniversary BOX”情報

内容:
Philip BOX
Philip TEE
Philip 7inch Lyric Card
オフィシャルストア

■Philip関連リンク
音源リンクファイア
Music Video 映像リンク

■millennium parade プロフィール
東京のプロデューサー/ソングライターである常田大希を中心として、 デジタルネイティブなミレニアル世代のミュージシャン、映像ディレクター、CGクリエイター、デザイナー、イラストレーター等々、 様々なセクションを内包した新しい形のバンド、音楽集団である。
日本の説話に登場する、深夜に㓢徊をする鬼や妖怪の群れ、 および、彼らの行進を意味する”百鬼夜行”をコンセプトとしており、”世界から見た東京”をテーマに掲げ、 混沌としたリアルな 東京の面白さを世界に発信する。
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Kohei Murata

Kohei Murata編集長・ライター

投稿者の過去記事

バンド活動を通して、自分の音楽を世界に発信する事を志しながら、同時に仕事での独立を目指して様々な業種を経験する。バンドでは日本のみならず台湾でも活動を行い、台湾でのアルバム2枚のリリースや大型野外フェスティバルへの出演も果たす。
その後、様々な仕事を経験し2015年独立。
現在は音楽メディアOptimanotesの編集長兼ライターとして、記事の執筆をしている。

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