[Album Review]大比良瑞希- IN ANY WAY

大比良瑞希「IN ANY WAY」が発売されて早5ヶ月。
今年の春も夏も彼女のアルバムで感じてきたような、私にとってはそんな年ですが、
言葉までもが芳醇な香りをたて、心に染み入る季節になったので、改めてアルバムレビューを書くことにしました。
今回は「IN ANY WAY」で秋を味わう、それが私の勝手な目的。
聴く季節によって、今まで感じたものとは別の作者の想いを新しく想像したり、自分への問いかけに繋がったり、音楽の色んな表情に出会えることがとても嬉しいです。
ストーリーを感じるアルバムのままの曲順で聞くのもオススメですが、どの順で彼女の歌が流れても
大比良瑞希の歌声が聴く人の心に向き合ったり寄り添ってくれたりしてくれるのを感じます。
こちらは『甘い涙』のサビの歌詞。
秋は短いけれど、いろんなものを運んでくるのでぜひ“気づき”は忘れないようにしたいですね。

甘い涙よ 頬を伝って
私を綺麗にさせてくれると約束したから
歪む太陽も寝起きの月も
どんなことも気づけるように
心の窓を開けておきたいよ

1曲目『Eternal My Room』
夏から秋への入り口は、まだ少し湿っぽい空気が夜漂っていることがあります。
あ、移り変わるなっていう二つの香りが漂っていて、そんな静寂の中、ゆっくりと秋を運んでくれるかのようなピアノの音からこのアルバムの幕が上がります。シックでくすんだ秋色を感じさせる曲。

2曲目『甘い涙』
秋の澄んだ空気の中で、過ぎた季節や事柄を思い出す曲になりました。前向きに広がっていく楽曲の展開によって、経験してきたことを肯定し積み重ねて、新しい世界へ向かえるようなそんな背中を押してくれる曲。
そのためには、サビの一説。
“どんなことも気づけるように
心の窓を開けておきたいよ”

誰もが大事にしたい部分かもしれない。

3曲目『無重力』
tofubeatsプロデュース曲。
夜に涼しい風が入るようになったので窓をあけて
ベッドの上で曲を聴きながら、月の光がぼんやり溢れている雲を眺めて
“私はきっと宇宙に長くにいすぎた”という歌詞から感じたのは、このコロナ期に突入してからの自分を暗喩しているかのようだということ。
まるで生活が変わってしまった私の自由(決心が自分から離れる瞬間を憶えたこと)に対する不安定さのようでもあって。
でもそろそろコントロールできそうかな。笑。

4曲目『SAIHATE』
昔は「愛」という言葉を恥ずかしくて口にできなかったけれど、今は全てにおいて辿るところ、「愛」を探す旅に出ているのだなと感じるようになりました。
キミという存在の大きさは何に置き換えても楽曲中の大比良瑞希の強い意思を感じるギターバッキングと同じくらい伝わる気がします。

5曲目『RESCUE』
夏夜にはリゾートのうっとりするような水際を一人で眺めている風景も想像していましたが、
今はグリム童話の眠り姫のお城を思い浮かべています。海と森もかけ離れているけれど(笑)、
『RESCUE』という言葉に感じたほんの少しの期待と希望のみえる世界観が、少し変化させたのかもしれない。

6曲目『In a small lake』
この曲順の秀逸さたるや、アルバム中盤の大比良瑞希ギター一本の弾き語り。
背中に陰っていく夕日を感じながら歩きつづけて
どこまで行けるか自分に課した想いを思い起こすような曲。
胸を焦がし続けるって難しいし、それができなくなった自分に気づいた時には、
素直に外に出すことすら出来なくなっていることもあります。
初めた聴いた時からずっと残っている歌詞の一節
”少し疲れた”
それだけで秋は感傷的になります。

今年なんて特に、みんな疲れたよね?未だにわからない世界の中、前を見てよく頑張っている。
会いたい誰かに会えなくて、自分にだけ向き合う時間も増えたでしょう。
正解か不正解か、誰からかも分からないS N Sの言葉が気になり、想像し過ぎたこともあったかもしれない。
いろんなことを抱えて生きている皆に聴いてほしい曲です。
ふとした瞬間が背中を押してくれます。私はコロナ期に入って、この世界を大切な人たちが生きていることを「元気?また会おうね」と確かめ合った瞬間の思いが今も自分の前を向くスイッチを入れてくれます。

さらにこの曲が沁みる最高の瞬間がありました。
「IN ANY WAY」アルバム完全再現ライブでギター一本の弾き語りから次々と静かに音が加わり、バンドアレンジ曲に変わっていったのです。
寄り添ってくれる仲間の素晴らしさと、大比良瑞希の歌と大比良瑞希という人間の魅力をとても強く感じました。

7曲目『ムーンライトfeat.七尾旅人』
2020年10月1日、中秋の名月。夜空を見上げましたか?
私は帰り道、一際明るい月に足を止めて深呼吸をしました。
そしてあまりの明るさにこのまま夜が続いていくのではないかとも思いました。
七尾旅人さんと大比良瑞希のデュエット曲は、一つ一つを確かめながら軌跡を残して丁寧に前に進んでいく
人生のようで、ずっと続いていくものへの大切さに気づかせてくれます。

8曲目『いかれたBABY』
フィッシュマンズのカバー。
オリジナルとはまた違った妖艶なアレンジの味わい深い曲で、大比良瑞希の質感豊かな動きのある声に、
ハンドクラップの重なりやオルガン、ストリングのビブラートで歌詞、音の余韻が細かく表現され、
奥行きのある空気感に仕上がっています。何度でも繰り返し秋の夜長に聴きたくなります。

9曲目『ミントアイス』
爽やかな楽曲ですが、秋の澄んだ空気にもとてもよく似合います。
一つ一つの音にたくさんの成分が重なっているのですが、それがきちんと届くのが秋の澄んだ空気に
とてもよく似ているのかもしれません。聴きながら上昇してく気持ちの高鳴りを感じられます。

10曲目『からまる feat.大比良瑞希/KERENMI』
KERENMIプロデュース曲。
秋ってどこか不思議と奇妙に感じることがあります。
大比良瑞希の歌メロとその後ろでなるメロディが絡まりすれ違う奇妙な美しさの沼にどんどんハマってしまいました。

11曲目『Somewhere』
気づいたら焚き火を囲んで、子守唄のように弾き語っている優しく、心温まる楽曲。
一日とか、何かの物語とか、何度でも次を迎えられるそんな終わりを感じさせてくれます。
最後に残るギターのアンプノイズの余韻までも感じて欲しいです。
「IN ANY WAY」というスピード感のあるアルバム名を一気に落ち着かせてくれるようなそんな楽曲。

12曲目『Real Love -熊井吾郎Remix-』
ボーナストラックとしてある曲ですが、これはもう眠りについて夢の中のいるようで、覚めて欲しくない
中毒性のある熊井吾郎氏によるリミックス楽曲。

そして最後に。
やっと来年の希望も見え始めた初秋、太陽の出る時間は減ったけれど、空を見上げる機会は増えた気がします。
澄んだ空気の中でのぐうぜん見上げた空の夕焼けに感動したり、感傷的になったり
そんな中思い出す曲があります。

大比良瑞希 『焚き火』

どうかみんなが、健康で豊かな秋を過ごせますように!

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『IN ANY WAY』

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34423電子音楽家

投稿者の過去記事

愛媛県出身、東京在住。電子音楽家。コラージュ音楽家。幼少より録音機器や楽器にふれ、独自の音創りをはじめる。容姿と相対する硬派なサウンドと鮮烈なヴィジュアルイメージで注目を集め、2013年待望の世界デビュー盤『Tough and Tender』(邂逅)をリリースし話題をさらった。
2015年に2nd アルバム『Masquerade』(邂逅)をリリース。
また、鈴木光司原作・福田陽平監督のホラー映画『アイズ』、田中佑和監督長編映画『青春群青色の夏』、ヤマシタマサ監督『東京ノワール』など多岐にわたる映画の劇伴や、広告音楽、サウンドロゴなどの作編曲も手掛けている。
2018年は、5月より3ヶ月間デジタル配信での連続リリースを行い、ラップトップの他、モジュラー、コンパクトエフェクターなどのアナログ機材を使用したライブパフォーマンスが話題。

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