神西亜樹

神西亜樹「透明な林檎」 Vol.31(最終回) – おわりに
Paper Idol - Clouds (Official Visualizer)この曲、YouTubeのインディーズソング紹介チャンネルなんかでは300万再生いっている曲なんですが、本人のチャンネルではほどほど。いや、これでも…

神西亜樹「透明な林檎」 Vol.30 – 後日談
僕は作業の手を止め、ジジノスケの方を見た。ジジノスケは我が家に住み着く黒猫だ。モップのように長い毛を垂らし、普段はジッとして動かない猫だが、今日は朝からドタバタと騒がしい。理由を訊いても、「点検している」だの、「お前は音楽でも聴いて…

神西亜樹「透明な林檎」 Vol.29 – 透明
Zion.T & Gen Hoshino - Nomad (Official Video) | Shang-Chi: The Album 「雨だぞ」と男が言った。 そういえば、いつの間にか降っている。男は傘をさし、し…

神西亜樹「透明な林檎」 Vol.28 – 黒猫
街が私を見下ろす。無駄に背の高い建物たちが、まるでひとつの生命のように協調し、私を凝視し、関心を示しているのを感じる。これは実に奇妙な感覚だった。すくなくとも、現実世界でこの感覚は味わえまい。私は街を歩いた。手がかりはある。…

神西亜樹「透明な林檎」 Vol.27 – よだか
「おっと、呼び鈴が鳴らされたぞ」何回だい、と僕は尋ねた。「・・・一回だ」僕は玄関へ向かう。廊下へ出ると、においがこもっていたので、空気清浄機をつける。この地域は下水に少々難があって、夏から秋にかけて嫌なにおいがこもる…

神西亜樹「透明な林檎」 Vol.26 – 節変わり
「今日は暑いな」と、猫のジジノスケがげんなりした調子で言った。黒猫は四肢を広げ、フローリングで伸びている。まあ、まだ九月も前半だから、暑くて当然の頃合いだ。僕ら日本人共通の意識として、八月が終わってしまえば夏も終わり、という感覚がなんと…

神西亜樹「透明な林檎」 Vol.25 – リンチバーグ・レモネードを彼らに
「よお、旦那」バーカウンターに座っているのは私だけで、席はいくつも空いていた。だと言うのに、男が私の右隣に座る。口内に収まらないほど長い舌を、不気味にだらりと垂らし、大きな口の端を釣りあげている。何もしていないのに、ただそこにいるだ…

神西亜樹「透明な林檎」 Vol.24 – 立場と見方
LUCKY TAPES - Trouble (Official Lyric Video) 「小説と歌詞、それぞれ組み立て方が違うなら」とジジノスケが言った。先ほどの話の続きらしい。あれ? 先ほど、とはいつだっ…

神西亜樹「透明な林檎」 Vol.23 – 詞
大橋トリオ / ミルクとシュガー duet with 上白石萌音 (Music Video)まただ。「どうした?」とジジノスケが声をかけてくる。僕はPC画面の検索窓を指差した。そこには弾き語りのコード譜を探そうと思っ…

神西亜樹「透明な林檎」 Vol.22 – 春の所在と昼の原因
A_o - BLUE SOULS (Music Video)「玄関に新しいスニーカーが出てる」ジジノスケは、それがさも重大な出来事であるかのように言った。ジジノスケはウチに住み着いている黒猫だ。モップみたいに長い毛を垂ら…